第7話

ジュリエルは巨人と距離を空けると数十個もの魔法陣を展開した


「その自慢の筋肉でどれだけ耐えられるかしら」


展開した魔法陣から視界が塞がれるほどの魔力弾が発射され、巨人の身体を破壊していった


「魔法陣の多重展開ってどれくらいできる?俺は3個くらい」


:俺も

:俺は5個

:マジでエグいんだが

:1級でも10個くらいだろ?

:か弱いってなんだっけ?

:ジュリちゃんがか弱いと言えばか弱いんだ!

:全肯定botみたいなの湧いてるって

:近接だけじゃなくて魔法も強いんだ

:さすがにあの弾幕を食らって無傷って事は無いだろ

:勝ったな風呂入ってくる

:フラグやめーや



ジュリエルは魔力弾を撃ち続けるが、一向に巨人は倒れる素振りを見せない


「まさか、再生能力?」

「グオオオオ!」

「めんどうな」


傷だらけの身体は瞬時に再生し、巨人は先ほどと変わらない素早い動きで襲いかかってくる


「遅い」


ジュリエルは巨人の懐に入り、滅多斬りにする


「グオオオォ」

「再生は出来るけど、減った体力は戻らないのね」


片膝をつき、肩で息をする巨人は憎々しげにジュリエルを睨みつける

ジュリエルは再度距離を取りファイティングポーズをとり、呪文を唱えた


「ギカント」


ジュリエルの左右には岩でできた巨大な拳が現れ、ジュリエルの腕の動きに合わせて動いていた


「なにあれ?」


:強すぎん?

:再生能力あった時はやばいと思ったけどジュリちゃんの方がやばかった

:デカい拳とファイティングポーズ、何をするかは皆さんお分かりですね

:でも再生能力がある敵をどうやって倒すんだろう?

:決まってるだろ。再生能力を超えるダメージを叩きつけるんだよ

:脳筋じゃねえか



ジュリエルが拳を振るうとそれに合わせて岩の拳が巨人に叩き付けられる

フェイントが織り交ぜられた素早い攻撃に巨人は対応出来ず、体力を着実に削られていく


「そろそろね。フリーズ」


岩の拳が氷を纏い、拳が当たった部分を凍りつかせていく

それからまもなく全身が凍りつき動けなくなった巨人に必殺のアッパーが繰り出される


「スマッシュ」


巨人の上半身が砕かれ、大きな破砕音と共に大量の氷が散らばった


「こんなものね。もう出てきてもいいわよ」

「…もう復活したりしないよな?」

「ここまでバラバラになったら無理よ。安心しなさい」


:めちゃくちゃカッコいい!

:ヤバすぎ!

:これが敵に回る可能性あるの怖すぎる

:あの岩の拳なに?


「よく勝てたな。もしジュリが負けたら次は俺だって、ヒヤヒヤしてたんだ」

「所詮は再生する度に体力を失うなんてお粗末な能力よ。私の敵じゃないわ」

「普通は再生する時点でめちゃくちゃ強敵なんだけどな」


:ジュリちゃんなら未踏破ダンジョンをクリア出来るんじゃないか?

:しかもこれで魔導装甲無しなんだからやばい

:あんなのが出てきたら並の探索者じゃ地面のシミにされちゃう


「出口は近いわ。さっさと行くわよ」

「お、おう」


俺たちはその後何の問題も無く出口までたどり着いた

しかし、この長かった1日はまだまだ終わっていなかった事をこの後思い知らされるのだった

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