第4話

「何が望みかだと?」

「そうよ。お前は私の封印解いた。言うなれば恩人よ。ならば恩返しをするのは当然だと思うのだが」

「そ、そうなのか?」

「私が封印されてからどれほどの時がたっているのか分からないけど、自力で封印を突破しようとすればさらに時間がかかったはず。こんな穴蔵で時間を浪費するのは私の好みではないわ。だからこそ、お前には感謝しているのよ」

「…お前は、地上に出たらどうするんだ?暴れるのか?」

「その必要があればそうする」

「一体どういう事だ?」

「襲われれば反撃する。とても簡単な理屈でしょう?そしてそれは暴れていると言われることもある」

「じゃあ、自分から人を殺したりはしないのか?」

「そんな事をして何になる?私は人殺しが趣味の狂人ではない」

「本当だな?」

「本当よ。私は嘘が嫌いなの。」

「だったら外には行かない方がいい。」

「どうしてだ?」

「特級モンスターはすべての戦力をもって撃滅しろって法律があるんだ。あんたが望まなくても戦いが起きる」

「その特級モンスターとはなに?」

「モンスターには1〜10の等級があって特級はその例外だ。特級モンスターは個人が倒せる存在じゃない。だから軍隊の力を使ってでも倒すんだ」

「なるほど、私がその特級モンスターだと思った根拠は?」

「写真があるんだ。それがアンタにそっくりなんだよ」

「そう。ならば私は特級モンスターではないわ」

「は?何言ってんだよ」

「その写真に似ていると言うだけなのでしょう?私は長い間封印されていたか弱い女の子。とても簡単でしょう?」

「いや、そんな屁理屈が通る訳が」

「口裏を合わせてくれるなら地上まで護衛してあげる」

「口裏って全部配信してるのにって、ドローンのバッテリーが切れてる。ライトを使ったから想定より早く切れたのか」

「ドローンや配信というのは分から無いけど、どう?この足では地上まで、保たないでしょう」

「確かに、俺には選択肢が無いって事か」

「足元を見るのは交渉の基本よ」

「分かった。毒を食らわば皿までだ強力してやる!」

「思い切りがいいわね。そういう人は好きよ」

「や、やめろよ。そういうこと言うの」

「なに?照れているの?もしかして童貞?」

「ど、どどど童貞ちゃうわ!」

「図星ね」

「うるさい!」


「さて、そろそろ地上に向かうわよ。お前、名前はなんて言うの?」

「俺は三木 光太。コウタって呼んでくれ」

「私はジュリエル。長ければジュリとでも呼んでちょうだい」

「分かった」

ジュリエルは俺に自己紹介すると俺の傷口に手を当てた一瞬痛みが走ったが、ジュリエルの手が外されるとバッサリいかれていた傷が影も形も無くなっていた

「これって」

「これはサービスよ。ありがたく思いなさい」

「ああ、サンキューな」

「さっさと行くわよ」

「ちょっと、歩くの速いって!」


スタスタと歩いて行くジュリエルを追いかける事になるのだった

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