第3話

:思い出した!古代文明を滅ぼした特級モンスターの写真だ!

:またまたー嘘だよな?

:さすがに嘘だって

:え?


「嘘だろ?特級モンスターって魔女だよな?それはさすがに、一配信者がどうにかできるレベルを超えてるだろ。とりあえず退散しよ「ガコ」え?」


机に手を置いた拍子に何かのボタンを押してしまった

それと同時に大音量でアラームが鳴り響く


「やった?」


:やったな

:これはやった

:なんでこんなところでドジ発生させるの?

:わざとじゃないだろうな


「わざとじゃないってホントに」

俺がリスナーに弁明しようとした瞬間、宝石にビキリとヒビが入る


「あーこれはヤバそうだ」

俺は一目散に部屋から抜け出すと何かの影が頭上に差す

見上げると広場には眩しいほどにライトが点灯され10メートルはあろうかというほどの怪物がこちらを見ていた


「悪りぃ。俺死んだ」


:ふざけてる場合じゃないだろ

:さっきまでいなかったのに!

:ヤバいヤバい!


怪物は俺が部屋の入口から離すようにして持っている棍棒を振り回す


グオオオ!


殺気と狂気が感じられる叫びを聞いて腰が抜けそうだったが気合いで己を奮い立たせ怪物の攻撃を避ける


大振りの攻撃だったため避ける事が出来たが、そう何度も避ける事は出来なそうだ


ジリジリと広場の隅に追い詰められるが間一髪通路に入る事で攻撃を避ける事が出来た

しかし、完全に避ける事は出来ず足から血がダラダラと流れていた


「クソ、カスっただけでこれかよ」


グオオオ!!


「ちょっと待てよ!休む事は出来なそうだ!」

怪物は四つん這いになって通路に入り込もうとしてきた

肩がつっかえているようだが無理やり押し込んで何がなんでも殺してやるというかのように俺を見据える


このまま座り込んでいても死ぬだけだと感じた俺はさらに奥に逃げる


怪物と俺の鬼ごっこは長くは続かなかった

なぜなら先ほどまではいなかった狼のようなモンスターが俺を待ち構えていたからだ


「なんだってこんな事になったんだよ」


血を流しまともに歩くことが出来ない俺を獲物だと認識したモンスター達は襲いかかろうとするが、後ろから追いかけてきた怪物が俺の獲物だとでも言うようにモンスターを威嚇する


「ハハ、アイツのせいでこうなってるのにアイツのお陰で少し長生きできるとは皮肉だな」


力なく笑う俺の耳にコツコツとヒールの音が聞こえてきた


「誰だ?俺以外に人はいないはず…」

怪物の背後から現れたそれは先ほど見た特級モンスターだった先ほどと違うのは長く赤い剣を持っている事とヒールを履き黒いワンピースを着ている事だった


「目障り」

鈴の鳴るような声で不快さを示す言葉を発する魔女の言葉を聞いたモンスターは先ほどまで争っていた事も忘れたかのように魔女と対峙する


「雑魚が」

先手を取るかのように狼が集団で魔女に襲いかかるが魔女は剣を一振しただけで狼をバラバラに斬り裂いてしまった


「お前は私を外に出さないようにするための番犬でしょう?私を殺さなくてもいいの?」

怪物はその言葉に反応したのか憎悪に満ち溢れるような唸り声を上げて魔女に突進した


「犬死とはまさにこの事ね」

魔女は怪物とすれ違うと血を飛ばすように剣を降って鞘にしまった

その瞬間怪物は血飛沫を上げ真っ二つに斬り裂かれたのだった


怪物も狼のモンスターも俺には絶対に勝てないような強力なモンスターだったのに魔女は汗一つかかず埃を払うかのように倒してしまった


魔女は俺を見つけるとこう囁いた


「お前が私の封印を解いたのでしょう?何が望み?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る