第144話 皆、幼馴染パーティー
再び凪原旅団とダンジョンに入る日がやって来た。
新しく手に入れたポールメイスの出番は……まだ無い。
斥候のリヴァルの索敵が上手いのか、ダンジョンが混んでるのか、ほとんど魔物と遭遇しない。たまに遭遇しても凪原旅団があっさり片付けてしまう。
まあ、仕方がない。今の階層はEランク帯。Cランク冒険者パーティーである凪原旅団にとっては楽勝な相手だ。私が乱入して連携を崩すのはよろしくない。
そしてなにより、私がフレンドリーファイアをやらかしたら超やばい。死人が出るわ。
元々、Cランク帯までは彼等に戦闘は任せる取り決めだしね。
でも、一匹くらい……うっかり私に流してくれても良いんじゃよ?
……と願うも、流石優秀な護衛パーティー。魔物を一匹も通さない。
君達……案内は要るけど、私の護衛は必要無いんだよ?
そんなこんなで順調に二十階と二十一階の間の転移魔法陣に辿り着いて転移碑に登録し、転移魔法陣で入り口に帰還した。
休暇及び準備期間はポールメイスの予備と黒鉄製の
もっと長いタイプも注文する。ダンジョンでは振り回せなくなるけど、とにかく長けりゃ何かしら使い道は有りそうだ。
ブルースに「親方に建材でも作ってんのか? って言われそうっすね。まあ、ルーノさん発注なら大丈夫っす。たぶん」と言われた。
頼むよ。ブルース。
◇
そして再び凪原旅団とダンジョンに入る日がやって来る。
凪原旅団とそれなりの期間、ダンジョン生活を共に過ごしたお陰でそれなりに仲良くなれた。
「皆さん、ラディエンス王国出身でしたか。戦争にならなくて良かったですね」
「ええ。とはいえ、俺達の出身地は田舎なので、王都中心の内乱であれば影響は少なかったでしょうけどね。それでもホッとしてますよ」
「このヴェダには出稼ぎですか?」
「はい。Cランクになってからは、ダンジョン攻略では無く、護衛中心に切り替えましたけどね」
現在の凪原旅団は、西のラディエンス王国とこのヴェダの街を行き来する定期便や行商人の護衛を、主な仕事にしているそうだ。
「へー。皆さん幼馴染なのですか」
「ええ。俺とリヴァルは狩猟を中心とした獣人族の集落で、ファンドとカンナは農業中心の人族集落の出身でした。お互いの集落は近い事もあって、結構交流があったんですよ」
「役割分担はしてましたけど、距離も近い事も有って、ほぼ同じ村って感じでしたね」
食事をしながら凪原旅団の事を聞く。
男三人とも次男三男と言う事で家業を継げず、冒険者になる為に街に出たそうだ。カンナは幼馴染のファンドに付いて来たらしい。
そういえばグラッツのパーティーも幼馴染連中だったか?
「幼馴染でパーティー組む事って、やっぱり多いのですか?」
「全部がそうと言う訳では無いですが、多いと思いますよ」
「特にダンジョンに潜るパーティーだと、閉鎖空間に何日も一緒に居る事になりますからね。気心知れた幼馴染同士の方が負担が少ないです」
「連携も取り易く、背中を任せられる……です」
「他には盾士のニクスにまず防具を集中投資するとか、皆がパーティー全体の事を考えて実行する事が出来ますね。稼いだ資金をパーティー内の一人に偏らせるとか、いくらパーティー全体の為だとしても、関係性の薄いメンバー同士では出来ませんからね」
「一蓮托生の仲だからこそですね」
「なるほど。ダンジョン都市の冒険者パーティは、幼馴染パーティーが有利なんですね」
「そういう傾向は有りますね。そういえばドレイクバスターズの方達も幼馴染同士らしいですよ」
へー。あいつ等もか。ホント幼馴染パーティー多いんだな。
まあ、その理由にも納得だ。気心知れた仲で無いと、長くダンジョンでの共同生活はきついよね。
実際に日帰り可能な転移陣に近い狩場ではその場限りだったり結成して日の浅いパーティーが、転移陣から離れた比較的空いてる階層で長く籠って狩りをするのは気心知れた幼馴染パーティーが多いらしい。
そんなこんなで順調に三十階と三十一階の間の転移魔法陣に辿り着いて転移碑に登録し、転移魔法陣で入り口に帰還した。
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