第74話 再び期待のダンジョンクリア報酬
「さてと……」
残念ながらドロップは魔石のみで、通常品のドロップは無かった。
勿体ないけど、今回もBランクの魔石は放置して祭壇に向かう。
鑑定される冒険者ランクBに上がる訳にはいかないのだ。
それよりも向かうは祭壇の方。
祭壇の上には宝箱。
宝箱の目の前に立つ。
「ドゥフフフフ……久しぶりですねぇ」
久し振りと言っても、以前のルタダンジョンクリアから半月くらいか。
ルタの村のダンジョンクリア報酬は聖水だった。罰当たりになりそうなのであまり口には出来ないが……まあ、所謂ハズレだった。
二回連続でハズレはないだろう……きっと……おそらく……多分。
いやまあ、こういうのは期待し過ぎては駄目なのだ。物欲センサーという奴ですな。期待せずに期待するのだ。
期待しては駄目なんだけど、やっぱり欲しいのはマジックバッグだな。
ルタの村を出て旅をするようになって実感したんだけど、荷物がホント邪魔。
何処に行くにしても荷物をどうするかを考え無いといけないのがね……。
武器も切実にほしいし、スキルの宝珠にも期待が膨らむ。
……うん、これだけ思いを馳せてる時点で、めっちゃ期待してしまっている。
いや、宝箱を目の前に、期待しないなんて無理だよね。
「ではでは~、あけま~す」
宝箱を開ける。
「お、おお?」
中身はソフトボール位の球体である。
それに加えてスクロールの様な物。
「も、もしかして……これがスキルの宝珠!? きたぁああああああ!」
きた! きましたよ!
これで私もスキル無しからようやく脱却だぁああ!
これで遂に私もスキル持ちだぜ!
……何の?
お、おおお落ち着こう。
えっと……こ、これは何のスキルの宝珠なんだ?
というか、これは本当にスキルの宝珠なのか?
このスクロールは開いてみて良いのかな?
まあ、薬みたいに減るもんじゃないし、開いてみますか。減ったりしないよね?
スクロールを開いて中を見る。
そして最初に書かれた文字を見ると、そこには『再生のスキルの宝珠』と書かれていた。
「……お、おおお……お? ……再生?」
本当にスキルの宝珠だった……が、再生のスキル……いや、もう再生のスキル持ってますがな。
あれ?
転生の時、私はスキルを一つも取ってないはず。
実は私、再生のスキルを持ってた?
私の再生能力は再生のスキルだったのか?
いや、私の再生能力はこの再生のスキルと同じものなのか?
やはり悪魔の種族特性? 活性の特性?
……分からん。
と、とりあえずスクロールには続きが有る。読んでみよう。
『この宝珠に魔力を流すと『再生』のスキルを獲得する。『再生』のスキルは『録音』及び『録画』のスキルと対になるスキルであり、単体では意味を成さない。『録音』及び『録画』のスキルによって記録した情報を再生するスキルである』
「再生ってそういう意味かよ!」
思わず叫んでしまった。
……ええ?
び、微妙……。
微妙といったがその表現も控えめかも……これ単体では全く意味が無い訳だし、もしかしなくても、またハズレじゃね?
いや、一概にそうとも言えないか……権力者とか商人とかに需要ある……かもしれない。むしろ権力者はこの宝珠を流通させない為に積極的に買い取ってくれるかも……持ってたら危険とか無いよね?
売れない聖水よりかは、まだ売れそうなだけマシかな? 売るのも危険だったり?
う~む、録音と録画のスキルの宝珠を持ってる人が探してるかもしれないし、とりあえず使わずに取り置きしておくしかないか……。
ラノベなんかだと主人公の手にする報酬って、その時その時に必要なものが無駄なく手に入るイメージなのだが……まあ、私は物語の主人公って訳じゃないしね。
現実なんてこんなものだよね。
儚い……。
……さて、帰るか。
ダンジョンクリアしたら地上にワープすればいいのになぁ。この世界のダンジョンにはそういうシステムは無いようだ。
ゾンビゾーンを通らないと帰れない……あぁ、嫌だ嫌だ。
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