#775 『歓迎されていない神社』

 友人数人と岡山旅行へと出掛けた際の事。

 宿泊二日目、私達は全員で県をまたいだ某神社へと向かう予定だった。――が、何故か私だけとても運が悪く、頼んだ朝食は出て来ない、エレベーターは私が乗った途端にブザーが鳴る。電車の切符はエラーで買えないし、途中足をくじいて上手く歩けなくなる。

「あんたそれ、神社に行かない方がいいよ」と、友人の一人が真剣な顔で言う。

 それには全員が同調した。そう言う事が起きる時は、向かう先の神社が歓迎していない場合があるらしく、無理して向かうと余計に縁起が悪いのだと言う。

 仕方無く私は、「分かった」とそれを承諾し、神社手前の喫茶店か何かで皆を待つ事にした。

 結局、神社には私だけ行けず終いであった。

 皆は無事に参拝したんだろうなぁと恨めしく待っていると、友人達はやけに浮かない顔で戻って来る。

「何があったの?」と聞けば、神社鳥居の前で撮った記念写真に、なんと私の姿も写ってしまったのだと言う。

「何それ、見せて!」と私は言ったが、友人達は皆声を揃えて、「見ちゃ駄目」と言うのだ。結局その写真は友人達の手によって消去され、私はただの一度もそれを見る事なく終わっている。

 さてその旅行から戻り間もなく、妙な縁で私の結婚が決まった。

 例の旅行先での出来事が関係しているかは分からない。島根の出雲大社でのお話しである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る