#605 『サバゲ―』

 僕は数人の仲間と一緒に、サバイバルゲームのチームを作っている。

 ある時、別のチームから試合を申し込まれ、お互いの中間地点の辺りのフィールドを借り切った。

 さて、五対五の試合を始めたはいいが、何試合かする内に「知らん奴が混じっている」と言う噂が流れ始めた。

 どうやらそれはウチのチームに混じっているらしく、向こう側は「そっち六人いるぞ」と文句を言い、そして味方チームは「俺の前を歩いてた」とか、「見覚えの無いスーツ着込んでたな」と噂する。

 そしてそれは確かに僕も見た。黒いコンバットスーツに、水色のスカーフを首に巻く知らない“誰か”だ。

 一旦中断と言う事となり、フィールドに集合するのだが、やはりそこには該当する者がいない。

 これはもう外部の者だなと管理事務所に連絡をすると、すかさず「水色のスカーフを巻いた人ですか?」と聞き返して来るのだ。

「そうだ」と答えると、すかさず管理人が飛んで来る。そしてフィールド中央辺りにあるバスの残骸へと乗り込むと、そこの運転席の辺りを何やらごそごそとやっている。

「もう出ないと思いますので」と管理人は帰ってしまうのだが、残された僕らは納得が行かない。

 一体何をしていたのだろうと運転席を覗き込むのだが、メーターの辺りに置かれた何かのマスコット人形がある以外、変わったものは何も無い。

 そうして試合は続行されるも、僕は何となくその人形が気になって、つい出来心でそれを転ばし、床へと落としてしまった。

 少ししてまたもや、「そっち六人いるぞ!」と、相手側から文句が来た。

 僕はその直前、背中に銃弾を受け、味方から打たれたなと思いつつ「アウト」と手を挙げて振り返ったのだが、そこには誰の姿も見当たらなかったのだ。

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