#411 『なりすましの子供』
前出の義妹の体験談、二夜目。
――ある瞬間から、家で見知らぬ子供の姿を見るようになってしまった。
その子供は五歳か六歳ぐらいの女の子で、特に悪さをするでもなく、ただ家の中にいるのである。
もしかすれば親が恋しいのだろうか、気が付けばいつも私の傍で添い寝をしている。
寝ていても、二人分の寝息が聞こえて来るのだ。
害は無い。だが、気分の良いものでもない。一体どうしたものかと悩んでいると、ある晩、いつもの通りに私の真横から別の寝息が聞こえて来た。
だが、その寝息がいつもの子供のそれではなく、まるで中年の男性かなにかのあげる鼾(いびき)そのものなのだ。
私は驚き、跳ね起きる。するとその薄暗がりで寝転ぶ子供姿のシルエットが、「なりすましてんのには気を付けろよ」と、野太い男の声でそう言ったのだ。
翌日、私は躊躇無くそれらを祓う事に決めた。
実存する人間でなかったとは言え、とても気色の悪い出来事であったと今でも思う。
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