#400 『カモナマイハウス』
筆者の家の出来事である。
筆者には嫁と娘がおり、都内のマンションで三人暮らしをしているのだが、とある時期からとても頻繁に怪異に見舞われるようになった。
筆者自身の体験では、入浴中に洗面所を横切る人影を見たとか、玄関のスコープから漏れ出る光を何者かが遮ったとか、真夜中にギターの弦が突然に鳴り出したとか、キッチンのゴミ袋に詰まった空のペットボトルが一斉にバキバキと音をさせたとか、そう言った感じの物理的なものが多いように思える。
嫁は何者かの声を聞いたり、物音を聞く事がたまにある程度。最も多くの怪異を体験しているのは娘で、とてもではないがここで書き記すには大幅に文字数がオーバーしてしまう為、全ては載せる事が出来ない。
主たるものとしては、彼女のサポーター達と真夜中にZoomでのやりとりをしている最中、誰もが認める怪異がその画面中に現れたり、声が録音されたりと、“証拠に残る怪異”が数多く出没している。又、彼女は自身のスマホで就寝中の物音を録音するアプリを起動させており、時折、明け方頃に“子供の泣き声を確認”と言う表示が現れたりしている。
他には、玄関ドアをノックされ、スコープを覗くも誰もいない。だが背後を向いた瞬間にまたノックをされるなどと言った出来事も体験していたりする。
さて、そんな怪異は三者三様なのだが、全員に共通する怪異も数多く存在している。
それは、昼夜関係なく家のキッチンの辺りの廊下を歩く、謎の“足音”。これはもう全員が個別に聞いたり、一緒にいる時に聞いたりと様々ではあるのだが、確実に全員に共通する怪異なのである。
深夜に謎の足音が始まり、その動きに合わせてカウンター周りに置かれた物が次々となぎ倒されたりした事があった。
筆者の場合は、玄関ドアの方から足音が始まり、そのタイミングで廊下のドアが開いて足音が私の真横まで来ると言う事もあった。
娘の場合はもっと顕著で、Zoom中に足音が始まり、「ねぇ」と声を掛けられた事があり、インターネットを通じて何人かが同時にそれを聞いていたりもする。
時には天井裏を駆け抜ける四つ足の動物のような足音もあり、とある霊能者に相談した所、「四つ足ならまだいい。もしもそれが二足歩行になったら本気で気を付けなさい」とまで言われた。私はそれを聞き、「ほとんど最初から二足歩行でした」とは言えないままだった。
ある日の早朝、家の中で轟音が鳴り響いた。まるでぎっしりと詰まった本棚が、ゆっくりと中身をぶちまけさせ、激しく倒れ込むと言うような感じの、激しい振動を伴った轟音だった。
音は寝室の隣から聞こえた。だが隣の部屋どころか、本棚は寝室の壁にしか無い。
それでも各部屋を見て回る。だが何かが倒れている形跡も無ければ、その音の正体も分からず終い。後日、周辺の部屋の人達に「凄い音が聞こえませんでしたか?」と聞いて回るも、どこの家の人からも、「聞いていない」と言う返事しか出て来なかった。
怪異は――何故かこの“みっどないとだでぃ”を開始した直後から消えている。
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