#232 『白線の上を』
外回りをしていた時の事だ。学校帰りの小学生達が、車道と歩道を分ける白線の上を、綱渡りのようにして歩いているのを見掛けた。
あぁ、俺もそんな遊びして家まで帰ったなぁと懐かしく思いながら眺めていると、四人いる内の最後の一人が、ぐらりとよろけて白線を踏み外したのだ。
そして落下して行く少年。僅か一瞬の出来事だった。その少年は道路脇に倒れ込むでもなく、文字通り、踏み外した白線から落下して消えてしまったのだ。
「ね、ねぇ、ちょっと!」と、背後から声を掛ける俺。そうして振り返った少年達に、一番後ろにいた子が落ちて消えた事を告げると、少年達はまるで馬鹿でも見るかのような目付きで、「行こうぜ」と立ち去ってしまった。
どうやら最初から、四人目はいなかったらしい。
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