#203 『雨上がりの波紋』
まだ私が小さかった頃の話だ。
昨夜から降り続いた雨が上がり、ようやく空に太陽が昇り始めた日曜の日の朝の事。私は近所に住む友達に逢いに行こうと家を出た。
途中、道路に大きな水溜まりを見付けた。近寄って覗けば、そこには千切れた雲が浮かぶ青空があった。
下に見る青空が面白くて飽きずに見ていると、ふと、その視界の端に他の子供の顔が写った。
見上げれば誰もいない。だが、視線を下げて水溜まりを見ていると、どこからともなくひょいと子供が顔を出す。
「誰?」と私が聞くと、少しの間を置いて、水溜まりの上を“見えない誰か”が、足跡の波紋を広げて横切って行った。
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