#79 『山奥のカーブミラー』
地元の先輩から、山奥の心霊スポットを紹介された。友人と一緒に心霊動画の番組を作ろうと企画していた矢先の事だったので、僕たちは当然それに飛び付いた。
何でも地元某所の奥の方に、謎のカーブミラーがあるのだそうだ。具体的に何が起きるのかまでは先輩も知らないそうなのだが、一見の価値はあるだろうと思い、僕たちは早速そこへと出向いた。
問題の場所は、とある廃墟の真上にあった。元々は集落のあった場所らしい。くねくねと曲がりくねった峠道が続き、その所々に朽ち果てた廃墟が点在していた。そしてそのカーミラーは、どのルートからでも辿り着けない場所にあった。先輩に終わった通りにとある廃墟の裏の崖を登り、ようやくそこへと到着する。片側は崖崩れ。もう片側は数メートルに及ぶ道路の崩落で、確かに噂通り、どうやっても辿り着けない場所ではあった。
僕たちはまだ日が傾き掛けない内に、試し撮りをする。そのカーブミラーに何か映るのだろうかと期待はしたが、結局は何事もなく終了した。
さて、下見も終わり、後は夜を待つだけ。僕たちはその下にある廃墟を探訪しながら時間を潰し、夜も更けてから再び例の場所へと向かう。
だが結局、その企画は失敗した。夜になって戻ってみれば、僕たちがいない間に誰かが来て砕いて行ったのだろう、問題のカーブミラーは割れて落ちていた。
ひどい事をするもんだと愚痴り、このタイミングで割らなくてもいいだろうと悪態吐きつつ家路を辿る。
だが、確かに怪異はあった。後で撮った映像を確かめてみた所、昼の間に撮ったカーブミラーは、既にその時点で割れて落ちていたのだ。
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