#49 『靴』
とある地方の住職さんのお話し。
その住職さんは、村で死人が出るのを事前に知る事が出来るらしい。
朝起きて、本堂の雨戸をひらくとそこに並べて揃えられている靴があると言う。それがあると、ほぼ確実に死人が出る。同時にその靴の大きさや種類によって、大体の年齢や性別、職業までもが分かると言う。
ある朝、雨戸の外に良く見慣れた草鞋が一足置かれてあった。それはもう完全に幼なじみの友人のものであると確信した住職さんは、まだその家族が起ききらぬ内に家へと押し掛け、友人の死を見付け、悲しみ、相当に不思議がられたと言う。
とある秋の日の朝の事。そんな現象には慣れた筈の住職が、悲鳴を上げて驚いた。本堂の前には老若男女、入り乱れて置かれた沢山の靴があった。
こりゃあ村で何かある。察した住職は一計を案じ、猟友会の連中に声を掛け、ウソの情報を流してもらう事にした。
「熊が山を下りて来てるぞ!」
その日は秋の収穫祭であったのだが、そんなウソの情報で急遽、お祭りは中止となった。
だが、実際に熊の目撃情報があった。場所は、収穫祭の会場となる筈だった公民館の前の広場だったらしい。
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