#47 『ゴミを喰らう家』
私の住む地域のゴミ集積所は、誰も人の住まない廃屋の真ん前だった。
別にその家にまつわる因縁めいた噂などは何も無い。ただ、人の住まない古びた家屋がそこにあるだけだ。
ある日の事、近隣住民達だけの話し合いで、集積所を移動しようと言う事になった。
別にその廃屋前が嫌な訳ではない。むしろその逆で、誰も住んでいないのだから、道端ではなくそこの敷地に置かせてもらおうと言う事になったのだ。
そうして集積所は、前の場所から一段上の、廃屋の庭の隅へと移動した。当然その判断に対し、どこからも苦情は出なかった。
だが意外にも、ゴミ収集の清掃員から意見があった。ここ最近、全然ゴミが出てないのだが、何かありましたかと言う問い合わせだった。
いや、出ていない訳が無い。いつも通りに皆が出している。そう言うと向こうは、「いやいや全然出ていない」と返して来る。不思議に思った住民達は、井戸端会議の結果、もしやとばかりに、その廃屋の中を調べてみる事にした。
無理に玄関をこじ開け、中を覗く。なんとなく家中に敷き詰まったゴミ袋を想像していたのだが、その空き家はまんま空き家の様子で、荷物も家具もないがらんとした部屋ばかりだった。
結局、消えたゴミの行方は分からず終いで、集積所は元の道端に戻された。
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