#36 『死に行く者』
北海道の某所での事である。何も無い草原に、人が落ちて来るのだそうだ。
その草原でぼーっと上空を見上げていると、日に何度か、男の人が落ちて来る。
もちろん、生身の人間ではない。姿形と悲鳴、そして落ちた瞬間の衝撃音はリアルだが、見に行けばどこにも人の姿は無い。要するに、そんな怪奇現象なのだ。
事故や自殺をした人は、ほぼ永遠にその場所で死を再現し続けると語られているが、どう考えても何も無い草原に飛び降り出来るような場所は存在しないし、旅客機事故がこの上空で起きたと言う話も無い。ならばその上空から落ち続けている男性は一体何者なのだろう?
今日もその草原で、「どしゃっ!」と言うとても嫌な音を聞いた。
振り返るが、おかしなものは何も無く、とても平和な草原が広がるばかりだ。
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