#22 『石灰』

 学校のグラウンドにある用具室にて、生徒の一人がやらかしてしまった。

 用具室一杯に広がる白い石灰の粉。こりゃあ掃除が大変だぞ、皆がつぶやく声が聞こえた。

 自然、マネージャーをしている私が、先生を呼びに行く係となってしまった。

 渋る顧問を連れてグラウンドへと戻ると、なにやら用具室の方から悲鳴が聞こえる。

 何があったのかまでは聞かなかったのだが、その状況を見てなんとなく察するものがあった。

 用具室の中から校舎の方向へと続く白い石灰の足跡。それは何故か幼い子供の裸足の足跡のようで。

 とても高校のグラウンドには似合わない、私はそんな足跡に思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る