#3 『紅茶』

 事故物件では無いはすなのだが、新居で頻繁に怪異が起こった。

 それは時々、リビングで紅茶の香りがすると言う事。いつもではないのだが、時々淹れ立てのような香しいお茶の香りが漂って来る事があった。

 ある日僕はその怪異に規則性を見付けた。リビングのテーブルに洋菓子を推している時に限り、その香りが漂うのだ。

 前に住んでいた方がどんな人なのかは知らないが、もしかしたらクッキーやビスケットでお茶をするのが好きだったのではないかと推測した。

 以来、僕が洋菓子を買って来た時には、必ずテーブルの片隅に一皿だけ、取り分けたものを載せるようにしている。

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