第4話「日常」
次の日
私はスキップをしながら冒険者ギルドに向かっていた。
「そこのお嬢ちゃん、今日はご機嫌だね〜」
何時ものルートを歩いていると、横から果物を売っているおじさんがそう言って、リンゴを私の手元に向かって1個投げてきたため、私は少し焦ってキャッチする。
「こっちも元気もらったからそのお礼だよ、この先も頑張りな!」
おじさんはそう言って、親指を立てながら笑う。
「ありがとうございます」
私がそう言ってお辞儀をして、後ろを振り向き冒険者ギルドに向かおうとすると、後ろから「いいってことよ!」声が聞こえた。
ギルドに着くと、受付の人が「エンリテェアさん!」と元気よく私の名前を呼ぶ。
私は受付まで向かって「こんにちは」と何時も通りに挨拶する。
「昨日はお疲れ様でした、ゆっくり休めましたか?」
「はい、ゆっくり休めました」
「なら良かったです。そして、1人前認定おめでとうございます!これからも頑張ってくださいくださいね」
受付の人はそう言って装飾品を手渡しでくれる。
「ありがとうございます」
私はそう言って装飾品を受け取り、さっそくつけようと懐中時計を取り出して装飾品をつける。
「やった」
私は小声でそう喜び、心の中で飛び跳ねる。
「ふふふ、良かったですね。さて、今日はいつもの山に向かうんですか?」
「その予定ですね」
「分かりました、怪我がないよう頑張ってくださいね」
「分かりました」
私はそう返事をして冒険者ギルドの外に移動して、近くの山に向かうのだった。
山の麓について前、古代都市に落ちてしまった原因の洞窟を探してみる。
「見つからない....」
私は道程を思い返しながら探してみるも見つからない、ほぼ3年間この山に通っているためある程度の場所は把握してるはずだ。なのに洞窟は一向に見つからなくて、私は気分を変えていつも通り、モンスターや薬草など売れる物を集めようと回りをよく見ながら歩き始めた。
「カサッ」
私はその音とを聞いた瞬間、瞬時に後ろを振り向き、ナイフを投擲する。
「キュ...」
子犬ぐらいの大きさを持つ、水色の液体出できた水滴のような見た目のそれは、潰されたような可愛い声をだして溶けてしまった。
「スライムか」
スライム、水の魔物。
様々な場所にいて、場所により見た目の色や大きさ、攻撃方法が変わるというモンスターだ。ちなみにここら辺の個体はとても弱い。
私はナイフを回収して、倒したスライムの1部を瓶に入れ他の場所に移動する。
しばらく歩いていると、そこら辺の茂みに赤い実がなっているのが見えた。
これは食べられる物なのだが、どちらかと言うと魔物や動物をおびき寄せたりする時によく重宝されている。
これも少し貰っておこうとポーチの空いてるスペースに何10個か入れると、周りに食べに来た魔物が居ないかよく確認する。しかし、音がしなかったため私はその場から離れるのだった。
自然の中を歩いていると、少しだけ危機感がなくなってしまう気がする、人が多い所は全員を警戒しているからそのせいなのだろうか。
そんな事を考えていると目的の場所である池があった。
ここは少し特別で周りにモンスターがよってこないため、初心者冒険者の休憩スポットとしておすすめされてたりしている。
まぁ、大体の初心者冒険者は山の麓や、山と町の間にあるちょっとした草原で狩るため、ここには来ない人が多いいけど。
「休憩しよ」
私はそう言って、その場に横になってぼーっとする。
「そういえば、この街から離れるのか....」
私はそう呟いて、銀色の懐中時計を出して空中に水色の針を出す。
その針は街の方向を刺しており、思い返してもその方向には例の洞窟は無いため、どうやらもうここの古代都市はないことになっているらしかった。
いや、そもそも私はトラップで飛ばされたからこの場所じゃないのかもしれないが....
少なくとも他の古代都市を探すのなら、この街から離れてしまのだ、私はそう考えると少し寂しく感じてしまう。
(でも、私はまた新しく古代都市を見つけるんだ)
私はそう思うと、その場から立ち上がり。
そのまま森の探索を続けるのだった。
しばらく歩いていると、子供ぐらいの大きさで足先が鋭く伸びている足跡を見つける。
(ゴブリンか....)
ゴブリンは小さい体に緑の肌、そして鋭い耳、爪、目が特徴的なモンスターだ。
ゴブリンは集団で行動しており、知能は低いが罠を使ったり油断を誘ったりして、人や動物を狩るモンスターで、冒険者ギルドからはなるべく狩るようにと言われている。
私はレイピアの柄を手に握って、何時でも引き抜けるようにして、警戒しながら前に進む。
「ガサッ」
前の茂みが動いた為、私は鞘からレイピアを素早く引くぬき、後ろを振り向きそのまま少し上に突くと「ギェ...?」とゴブリンが声を漏らし首がガクッんと落ちた。
次に私は前に急いで振り向いて、動いた茂みに「ウォーターナイフ」という、水で出来た小さな斬撃を放つ初級水魔法を発射すると、「グガ....」という声がすると同時に、赤い液体が少し見えた。
(他はどこにいる?)
私は周りを警戒しながら足元から、銀色の液体を出し360°襲いかかってきたら貫けるようにする。しばらく待ってもゴブリンが来ないため私は貫いたゴブリンを適当な場所に落として、鞘の中にレイピアを収めようとする。
すると周りから10体のゴブリンが現れ、私に攻撃しようと飛びかかるが私が出していた銀色の液体に腹を抜く貫かれ全員倒した。
「使いやすい」
私はそう一言こぼすと、周りを警戒しつつ、ゴブリンの死体から牙と血を回収する。
牙の方は装飾品や簡単な魔法道具の触媒になったりする。血の方はポーション等の薬品に時々使われていて、どちらとも低価格だがよく売れるのだ。
一通り取り終わると、私は懐中時計で今の時間を確認して、まだ余裕があるため探索を続けるのだった。
空がオレンジ色になる頃、私は山と街を繋ぐ草原を歩いていた。
「今日は大量だったな」
あれから山の中をあちこち回って、モンスター素材や食材等をある程度ゲットできて、私は少しスキップを混じえつつ街へ向かっていた。
冒険者ギルドについて、何時もの受付の人に帰ってきた事の報告とモンスター素材を渡す。
「ゴブリン50体、ブルースライム8体、フォレストボアー4体分の素材ですね。換金までには時間がかかりますので、名前を呼ぶまでくつろいでください」
「わかりました」
私は返事をすると端っこの空いてる椅子にコソコソと向かって、ちょこんと座る。
「お、エンリテェアここにいたのか」
「あ、レカー先輩」
私がくつろいでいると前にいつの間にか先輩が居て、私の頭を強く撫でる。
「お前が強くなって俺は嬉しいよ!」
「先輩、髪が崩れるので...」
「あ、ごめんな!」
先輩はそう言って頭を下げる。
「何回もされてるので大丈夫ですよ」
私はそういって先輩の頭をあげようとするが、先輩はなかなか頭を上げてくれない。
「レカー?エンリテェアちゃんが大丈夫だっていってるんだから早く顔上げなさい?」
隣から、先端に鋭くとがれた白い宝石をついてる、木製の水色の杖を持った。白いローブを着て髪をまとめている女性がレカー先輩にそう言うと、レカー先輩は「わかった」と顔を上げた。
「こんにちは、ロコ先輩」
「ハローエンリテェアちゃん、怪我とかしてない?」
「最初の頃じゃないのでもう大丈夫ですよ」
「ならよかった」
ロコ先輩はそう言って私の頭を優しく撫でる。
「皆さんよく私の頭撫でますよね」
「気持ちいいからじゃない?」
「そうなんですかね?」
そんな会話をしていると、受付から私の名前を呼ばれたため「行ってきますね」と言って、ロコ先輩とレカー先輩にお辞儀して、受付に向かった。
「はい、こちら1335リックです」
そう言って受付の人は銀色のコイン13枚と銅色のコインを35枚を私にわたす。
私はそれをポーチの中の一つに入れると「ありがとうございました」と言って、ギルドから出て家に帰るのだった。
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