第3話「昇格戦」
次の日、私は朝早くから冒険者ギルドに来ました。
中に入ると朝早いのにもか変わらず周りの冒険者は早速集まっていて、色々情報交換などをしたり、ただ単にお喋りしてる声が聞こえます。
「エンリテェアさん、おはようございます、ゆっくり休めました?」
私が受付の方まで歩いていると、何時もの受付してくれる人はこちらを見つけて、優しく聞いてきますが、私の雰囲気がいつもより違うことに少々びっくりしてるようでした。
「はい、ゆっくり休めました」
「なら良かったです、それで今日も近くの山に行くんですか?」
私はゆっくり息を吸って深呼吸すると、目をバッチリ開けて言います。
「昇格戦をさせてください」
私のその一言に周りの冒険者が一気に注目した。
「わかりました、昇格出来るように頑張ってくださいね」
昇格戦とは自分より強い冒険者と戦い、相手が基本ができてると認めてくれたら装飾品が貰えるというものである、これができるのは装飾品が4個以下の冒険者しかできない、まぁある意味基本が出来るかどうかのテストの様なものだ。
ちなみに5以上は完全にギルド側から認められた際のみになり、昇格戦は出来なくなる。
そして、ほかの冒険者が反応した理由は対戦相手になりたいという事とかではなく、ただ単に観戦がしたいだけで、期待の新人だったらパーティに誘いたい人もいるし、ただ単に観たいだけという人もいる。
なら、対戦相手はどう決めるかと言うと、ギルド側...というか、受付してる人が決めた冒険者が対戦相手となる。
私の場合、対戦相手は多分....
「エンリテェアさん、対戦相手の確認が取れましたので、あちらの扉から中に入ってお待ちください」
「わかりました」
私は受付さんに言われた扉を開けてその先に進む、石造りの通路をゆっくりと歩いていると光が見え始めた。私が通路から出ると、周りが石の壁囲われた円形状の広場に出でて、私はその広場の奥まで歩き対戦相手が来るまでしばし周りを見る。
壁の上にある観客席には少しづつ冒険者たちが集まって来ていおり、とあるひとりの冒険者がほかの冒険者に声をかけてお金を受け取っていたのが見えた...
(賭け事か...)
禁止されている訳では無いけど...私が道具か何かだと思われているようで何か嫌だ...
(うぅん...気にしちゃだめ)
私は気分を変え、昨日考えた戦法を一通り思い返してイメージトレーニングをする。
(やっぱりどうやって隠すかだよね....)
やはり、頭の中で動かし方はわかったけどソリキッドをどう隠して使うかが問題だと思う、他の人にバレたら色々めんどくさいのもあるけど、対戦相手があの人なら必ずすぐさま対策してくる....
(....とりあえず出来ることだけの事はしよう!)
心の中でそう決めると同時に、目の前の通路から爽やかな青年が現れた。
その青年は白銀に輝く鎧を頭部以外に着ており、こちらを見るとニカッと笑った。
「やっぱり先輩でしたか」
「いやだった?」
「いえ...」
私は少し1呼吸置くと、鞘からレイピアを取りだして構え、そして少し笑みを浮かべながら言い放た。
「先輩!今回は認められるよう頑張りますからね!」
私のその姿勢にいや、多分雰囲気にレカー先輩も喜んでいるのか、いつもより素早く鞘から黒い宝石が埋め込んであるロングソードを取りだし、そして構えながら大きな声で言い放った。
「何時もより自信があるようだな!しかし、そう簡単には認めないぞ!」
その声に体が少し震えたがそらは不安で怯えてるんじゃなく、この戦いが楽しい感じになりそうと感じたからだ。
観客席の1番前には審判役の受付の人がいて、それぞれ構えているのを確認するとバトル開始の宣言をした。
「それでは、エンリテェアさんの昇格戦開始です!」
それが聞こえた瞬間、私は即座に背を低くし先輩に向かって走る。
先輩はそれを見てまずは小手調べだと思われる火球を3発飛ばしてきた。
私はそれを見て最低限の回避するとそのまま先輩に突こうとするが、いとも簡単に弾かれてしまう....
(やっぱり強い...だけど!)
私は風魔法を使って速さを出しつつバランスを崩れないようにすると同時に、ソリキッドを靴中でたして包み込み固定させ、そのまま先輩の胴体に向かってキックを放つ。
先輩は腕でガードするが予想以上の強さだったのか少し身体がよろけたのが見え、私は素早く体制を整えるとそのレイピアで突こうとするが、目の前に魔法陣が見えたため慌てて横に逸れて判定外に出たと同時に魔法陣から水の槍が出てきた。
「びっくりした..」
「これでお互い様だな!」
先輩はそう言って片手でロングソードを薙ぎ払うように振るう、私は後ろに離れて回避したあと、再び背を低くし素早くダッシュして先輩の腹部を貫こうとするが、目の前にナイフが飛んできた。
私はそれを弾き返そうとするが、嫌な予感がしたため横に大きく回避する、横目でちらっと確認すると、ナイフピッタリ真後ろには雷でできた刃があった。
私はその芸当に内心驚きつつも、今は集中しないと行けないため、頭をすぐ切りかえて先輩の方を見た。
(このまま、隙を作って!)
私は屈んだまま、隠蔽魔法で消していた太もものナイフホルダーからナイフ2本取り出して先輩に投擲する。
先輩はそれを剣で弾こうと振るってナイフ当たった瞬間、ナイフが小さく爆発した。
先輩がよろめいたのがわかったため、私はこの気を逃さないために、走り出すと同時に自分の真後ろに風魔法を炸裂させ素早さをさらにあげてか、レイピアを前につきだした。
「甘い!」
目の前からそんな声が聞こえると同時に先輩の剣がしたから現れて、私のレイピアを弾き返した。
カラン...っと、私のレイピアが地面に落ちた音がすると同時に受付の人が「そこまで!」と言うと先輩はロングソードを鞘に戻した。
「攻めることに集中し過ぎていたな....しかし端っこから動けなかったし...」
「いや、あれわざとでしたよね?」
現在、私と先輩は冒険者ギルドに通じる道をゆっくりありきつつ話していた。
「いや、思ったより隙がなかった....」
「先輩のナイフ投げた時とか隙ありませんでした?」
「...あれ自分でも驚いてた」
「なるほど....」
そんな風に今日の感想を言いながらも、ギルドへ繋がる扉を開け、ギルド内に戻ってきた。
「お疲れ様でした。エンリテェアさん、レカーさん」
受付さんが私達の方に近ずいて、そう言ってくれた。
「それで、合格かどうかは」
「俺の方は認める、俺を動けないように出来ていたしちゃんと隙も作れたしな」
「わかりました、では私の方からもギルドマスターにそう言っておきますね」
「ああ、よろしく頼む」
私はその会話を聞いて呆然としてしまった。
「え?私合格でいいんですか?」
「おう!これで1人前だな!」
先輩はそう言って優しく笑うと、ぞろぞろと観戦エリアから戻ってきた冒険者達に向かってこう言い放った。
「エンリテェアちゃんか1人前になったのを祝って飲むぞ!!」
それを聞いた冒険者達は「まだ朝だぞ?!!」と言いながらも、先輩と共に冒険者ギルドから出ていくのだった。
「自由だな〜」
私はそう言いながらも、先輩と一緒にいる女性冒険者に連れられて一緒にギルドから出て行くのだった。
私は年齢的に飲めないからジュースとかだろうけど...
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