幕間のウイトラコチェ 10
希望の意外なところを垣間見て、割かし彼も安心し、笑みすら浮かべていた。
まあ希望がそんなだったんだ、いきなり”魔術”の話をされても驚きもしなかったのに納得できる。
信じる信じないじゃなかったんだ。わたし達”魔術師”と同じで、彼もまた”好奇心”に取り憑かれているのだ。旅が好きなのも、そういった好奇心が故か。
『旅人』と『魔術師』・・・・・・古来より、人間が編み出した『占術』に同じようなのがある。旅人とは『愚者』を示す始まりの”ゼロ”であり、『魔術師』はその次の”1”である。隣り合う者同士、息が合うのだろうか。
だが、彼のこの物語こそが始まりの”ゼロ”であって、”1”ではない。順序が逆だ。だがこの話はまだ先の話し、今は止そう。
なんにせよ、希望はイイ奴なのだ。
「サイコパスときたか・・・・・・まあぶっちゃけ、そうかもしんねえなぁ」
「いや、受け入れんのかい」
「だってさ、進が生きて帰ってくるんならさ、それしかねえわけじゃん?そしたらさ、そう思うしかねえのよ」
「まぁ、そうなんだけど・・・・・・」
「だしょー?でもよー、そうゆうのってさ、戦う相手も同じなわけじゃん?だったらよー、尚更倒すしかねえわけじゃんよー?」
希望の一言一言に、彼は頷くしかなかった。
「うん、やっぱ勝つしかねえっしょ!」
「簡単に言ってくれるなぁ・・・・・・」
「だってよー、俺、別に魔術師でもねえし?実際、おめーが見せてくれた魔術しか知らねえわけだし?それだけなんだよなあ」
「それだけって?」
「要はよ、『おめーを信じてる』ってことよ!」
「信じてる・・・・・・」
そう言って希望は、彼の肩を叩いて激励した。
「俺はおめーに生きていてほしい、そんで、帰ってきてほしい!それによ、聞きてえのよ。魔術師との戦いってのは、どんな感じだったか?とか、俺の知らねえ”神秘”とか」
「それおめーの興味じゃねーか!最初だけ見直したのに、後半になって裏切られたわ!」
「はっはっは!」
「笑い事じゃねーし!!」
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