第17話 作戦開始
生徒会室に集まった私達は、普段使わない生徒会会議室を使用して作戦会議を始めた。
「まず犯人は先程話した通り、透明になる異能を使う事で人前でも大胆に犯行を行っている」
この
「まず2つのチームに別ける。様々なことを踏まえ私が考えた。まずAチーム――」
――――――――
Aチームメンバー
リーダー氷坂凛華
サポート斎木翔
糺明院聖愛
扇雀累
――――
Bチームメンバー
リーダー成城寺高峰
サポート神楽楓
益城壱+ポチ
獄門凶寺
――――――――
そうしてメンバーが発表されると、皆それぞれ違った表情を見せる。
リンカが異論があるものや質問を受け付けると、真っ先に獄門凶寺が手を挙げた。
「氷坂凛華! 俺はお前とチームが組みたいッ!!」
「却下」
筋肉バカを無視して、それぞれの異能と戦力を踏まえた作戦会議がいよいよ始まる。
主な役割があるものとして、リーダーは指揮官としてメンバーを管理する役割。サポートのカケルとカエデは、周辺監視カメラやドローンによる後方支援を行う。ドローンには魔素を視認する特殊レンズを搭載し、互いの端末によりAチームとBチームの相互連携も委ねる。
「今日から各チームで行動し街の見回りを行う。だが犯人に探している事を気付かれよう自然に振る舞ってくれ」
それからリンカに詳しい見回りルートや、街で再び犯行が行われた時の連携。その他詳しい作戦内容を全員に分かりやすく話す。
その後はAチームとBチームに別れて独自の作戦会議。また互いの異能を把握しそれに合わせた戦法を話し合う機会が設けられた。
ターゲットは魔素の痕跡すら見えない透明人間。
未知の異能である事からAランク上位の敵を想定し入念に作戦を練ったリンカ一同は、いよいよ街に出てチーム行動を始める。
――Aチーム――
氷坂凛華、斎木翔、糺明院聖愛、扇雀累
「さて、今のところ周辺に怪しい人物はいないか?」
「居ません」
カケルが大きなタブレット型の端末を操作し、周辺監視カメラとドローンで怪しい人物を探索する。
そして私――氷坂凛華とマリア、ルイは周辺を警戒しつつも犯人を追っていると悟られないよう振る舞う。
カケルとルイはどうやら仲良くなったようで、2人で何やら話しながら歩いている。しかしその最中もずっと本から目を離さないルイの活字中毒っぷりは流石である。
対してマリアは私の腕に抱きついていて、豊満な胸が押し当てられ歩きにくい。
まあ恋愛対象が女の私からすると嬉しい事でしかないのだが。
「リンカ会長♡ もしも戦闘になってお怪我をされた時は私が居ますのでご安心下さいね♡」
「ああ、心強いよマリア」
マリアの異能はB2。どんな怪我も切断以外なら完璧に修復する回復系の異能力者。以前私がモンスターの攻撃で貫かれた時もマリアの手によって全て元通りになった。
モンスター駆除をする身としてマリアの能力は必須級だ。
「会長の麗しい肌に傷など残せませんから♡」
身を寄せるマリアの胸が更に強く押し当てられる。
「糺明院聖愛……君がそうしてくっついているせいでいざという時に氷坂凛華が即座に動けなかったらどうする。主戦力の足を引っ張るのだけは辞めてもらいたいのだがね」
「あら扇雀様。別にリンカ会長が嫌がっていないのだから、余計なお世話ですわよ」
「そうだな。マリア、離れてくれ」
「そんなぁっ!?」
敵はおそらく攻撃を仕掛けるならA5で有名な私を最初に狙うだろう。いざそうなった時に回復要因のマリアも巻き込まれては危険だ。
「しかしだ。ルイ。お前もずっと本を読んでいて警戒してるのか? お前の "視界に入れた対象の動きを止める" 能力は戦闘において要だぞ」
ルイの異能も実に強力だ。対モンスターに関しては攻撃手段に乏しくB1ランクだが、連携の取れる攻撃手が居れば欠点は無くなる。
「視界に入ってさえいれば問題ない。それに本を読むことはカモフラージュにもなるのだよ」
「扇雀様こそ足を引っ張りそうですわねっ」
「二人とも落ち着いてください。近くに怪しい魔素反応を見つけました」
カケルが何か見つけたようだ。
どうやら人通りの少ない路地裏で微力な魔素反応を見つけたらしい。それが例の透明になる異能を持つ犯人なのかは分からないが、街中でモンスターもいないのに異能を使うのは怪しい。
「行くぞ」
魔素反応の元まで、私達は悟られないよう歩みを進める。
事前の調査で、犯行中の犯人から魔素は確認出来なかった。おそらく透明になる瞬間しか魔素反応が分からない可能性があるのだ。
私を先頭にマリア、カケル、ルイの隊列を組み路地裏へ入る。
「警戒を怠るなよ」
1番後ろでリンカ殺害を企てるルイの口元が怪しく歪んだ。
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