第2話
「っはっ、んんっ、まだ、かよっ…」
歩いて5分も経っていないのだが、時計や携帯電話の所持が禁止されている矢場は時間の感覚が分からない。ポケットの中でハズカシイ部分をやわくではあるが、揉まなくてはならないほど切羽詰まっているのだから、尚更だ。
もじっ、もじっ…
無意識にぴくぴくと左右に揺れる尻。
(くそっ、道は合ってるはずなのにっ、)
1歩踏み出す度に、ずくずくと嫌な主張を繰り返す下腹。水風船を庇うように、背筋が曲がってゆく。
ヒクヒクと痙攣するチンコは、今か今かと出口を広げようとしている。
(しっこしっこしっこしっこ)
はやく、あの白い陶器はまだなのか、脳内トイレのイメージが着々と出来上がっていく。
(はやく、はやくはやくっ、スッキリしてえ、)
きゅうううううううう…
「~~~っ‼︎!」
モジモジモジモジっ、
一瞬の放尿イメージが脳を掠めたのが仇となったようだ。先っぽからおしっこが勢いよく噴き出して、小便器に勢いよく叩きつける自分の想像。トイレの目の前でもないのにこんな妄想をしてしまった彼は、ポッケの手をすかさず出して、直接ソコをグニグニ引っ張る。片足が不自然に上がり、おしっこ我慢している人が隠せていない。
「っはっ…ぁ…」
バッとキョロキョロとあたりを見渡す。
(よかった…誰にも見られてない…)
幸いおちびりを免れたが、さっきのように平然を取り繕うことはできなく、右手がソコから離せなくなってしまった。
(これ、マジでやべえ…下手したら…いやいや…中学になってまでそれはねえって!!)
「お漏らし」この4文字が頭をよぎる。流石にそれは無いとタカを括っていた可能性が、じわり、じわりと増していく。
くに、くに…
子供のようにちんこを揉みながら、歩く。もうスムーズな歩行は叶わない。いっぱいいっぱいで今にも溢れ出しそうなタンクを溢さないように、内股で、のろ、のろ、のろ、のろ。おちびりしないように、ゆっくり、ゆっくりおしっこを運ぶ。
「もっ、むりっ、」
すでにキョロキョロする余裕もない。落ちた色とりどりの葉っぱを凝視して、冷や汗を垂らす。だんだんと、腰が下がる。しゃがみこんだらもう、立てない。彼もそれはわかっているだろうが、ぱんっぱんの膀胱の限界には抗えない。
「ままーっおしっこーー」
後ろからの元気な声に、大きく体が震える。びっくりして出てしまいそうにはなるが、今はそれどころではない。この格好を見られることの方が問題である。
「んっ、んっ、ぅんんっ」
両手押さえの太もも重ね合わせ、膝の角度は90度。おしっこ我慢のオンパレードポーズで道から外れ、木の影に隠れた。
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