#7 変態は控えめに
「お待ちしておりました。中へお入りください。」
うーん、あんな事がバレた後にこんな普通の反応されるととてつもなく怖い。なんだろう、無表情が怖い。さっきから殺気を感じるんだが。あれ、楽しい異世界ライフもここまでか?
「さて・・・いま私たちのほかには誰もいませんので・・・始めましょうか。」
「え、何をですか?」
「土神よ、我の願いに応え、この者を封じよ《Rock Lock》」
な・・・!!!手足封じられて磔にされた!?ヤバい、これはこれから拷問されるやつだな!?!?今までありがとう、セリアちゃん。さようなら、異世界。
「では、今から私がいくつか質問をするので3秒以内に回答してください。3秒以上経ったり、噓をついたりしたら・・・後は分かりますね?」
「はひぃ」
「まず、なぜあんなことをしたのですか?」
くっ・・・!下手に言い訳すると「後は分かるね」なことになるから・・・ここは正直に!!言うしかない!!
「セリアちゃんが好きだったからです。恋愛的な意味で。」
「ほう。では次の質問です。あなた、「グレン」の方ですか?」
「え、「グレン」って何ですか?」
「ほう。なら良いです。では次の質問です。犯罪歴は?」
「・・・セリアちゃんのパンツを盗もうとしたことだけです」
「では次の質問です。セリア様の魅力を語れるだけ。」
んえ?どーゆー尋問だ、これ?困るなぁ、こういう質問は。語れるだけと言われると夜が明けるぞ?まあいい、簡単にしよう、簡単に。
「えっと・・・まず、優しいことです。見ず知らずの私を助けてくれたことはもちろん、私を襲っていた盗賊にも手加減をしていました。また、私を家に泊めてくれたり、魔法を教えてくれたりしたことからも優しいといえます。」
・・・ヤバい、なんか緊張でレポートみたいな文になっちまった・・・
「あとは、物事に全力で取り組んでいること、料理が上手いこと、気が利くこと、誰に対しても分け隔てなく接すること、明るい性格だということもあります。」
「・・・容姿については?」
「可愛いです。宇宙一、可愛いです。笑ってる顔も、無表情な時も、寝顔も可愛いし、行動の一つ一つ、一挙手一投足全てが可愛いです。あとスタイルもよくて、その・・・大きい・・・です。」
「・・・ほう。セリア様のことをよく見ていますね。ですが、まだまだ、といったところですね。」
「は・・・はぁ。」
「では、質問は終わりです。これからのことについて話します。」
「あの・・・磔は・・・」
足がしびれてきたんだよ!!!!何か腕の感覚もなくなってきたし、背中も痛い!!!
「そのままです。罰だと思ってください。」
「はい・・・」
これが体罰か・・・怖。
「まず、変態は控えめにしてください。」
「はい・・・・」
「それから、あなたはこれからここのメイドとして働いていただきます。」
「え!?何故!?」
「第一に、あなたは旅の者のようなので住む場所がないでしょう?第二に、今この家のメイドが私ともう2人しかいないので人手不足だからです。第三に、監視しなければならないからです。あなたの行動を見ているとセリア様のことを襲うのではと心配になります。」
うーん、正しいな。ってかこのクソデカい家をメイド3人か・・・そりゃあ人手不足だ・・・
「あと、あなたには護衛の意味合いも兼ねてセリア様とともに学校に行ってもらいます。基礎的な魔法はセリア様に教わったと聞きましたので他の護衛に使える魔法は私が教えます。」
「・・・はい!」
そうか、お嬢様だから身の危険が無いという保証が無いのか。セレブリティ過ぎるってのも困りものだな。セリアちゃんに変な虫がつかないように見張らねば!!あ、俺が変な虫か。
「では、明日の朝奥様に『ここで働かせてください』という様に言ってください。」
「はい!!」
――――こうして、明日から俺のメイドとしての生活が始まるのだった。
・・・え、何で???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます