第114話 会議
「それでは次の作戦の分担を発表します。帝国へ向かうのは、フール様、リーメル、ナッカ、アザレア。そしてアオイさまの使役獣であるガウもついていってもらいます」
そういえばガウのことをすっかり忘れていた。どうやら空島では神聖騎士団と戦い抜き、今はこのアジトで休息をとっているようだ。
「そして紛争地帯には
「では私から詳しい話をしよう」
サフランに代わってアザレアが作戦の詳細を話し始めた。
まずこの革命軍はこの紛争地帯に点在する勢力を傘下に加えなければならない。これからの聖教との戦いで戦力になってもらうためだ。この不毛の大地に未来はないので、たとえ戦場に出るつもりがない部族でも、アジトでの後方支援などをしてくれるなら革命軍の庇護下に入れてあげるそうだ。
紛争地帯の中には他部族を支配し、食物や女子供を税のように徴収している野蛮な大勢力もいる。そういう無法者たちは革命軍に入ることを拒み、支配する部族を解放する気もない。今地上で竜人族たちが戦っている相手はそのような者たちで、支配された部族の解放を目指しているのだとか。まあ大勢力といっても、竜人族を味方に入れた俺たちの敵ではないようだが。
正直俺はなんで戦ってるか分かっていなかったので、アザレアのこの解説は助かった。
最終的に全ての勢力を吸収すれば5万もの大軍になる見込みの様だ。それでも聖教相手には心もとないが。
そしてこれだけの人数を支えるだけの食料の問題だが、これは帝国で解決する予定らしい。帝国は飽食の国と呼ばれるほどに土地が肥えているらしいので、その土地をロズリッダの重力魔法で一部をわけてもらうのだ。
「紛争地帯で戦力を、帝国で食料を得て革命軍を強化するわけか」
「そうだ。だが問題はフールの目的の方だな。クラスメイトを助けるとなると帝国の奥深くにまで行かなければならないかもしれない。できるだけ女帝との直接対決は避けてくれ」
アザレアが俺に釘をさしてきた。サフランだったらもっとガンガン行こうぜの精神で俺を放り出すのだが、アザレアはそれよりも思慮深いようだ。
「女帝を倒せば、話が早いんじゃねえのか」
ロズリッダの質問を受けてアザレアがその意図を話し出す。
「まず女帝と戦うということは、帝国という国と戦うということになる。聖教との戦いも考えるならできるだけ消耗は避けたい。女帝に手を出すなとは言わない。だが挑むならその覚悟をしてからにしてくれ」
「帝国が聖教との争いを始めるなら、それを利用したいですしね」
「女帝も聖教に抗うという部分では私たちと同じ考えなのね。じゃあ無理して倒す必要はないかも」
「うーん。難しいのです」
「つまりメアは竜になって暴れればいいんだよ」
「ガーネット。わかったふりして適当なこと言わない」
帝国には聖教を排除する動きがあり、女帝カーラは聖教の神聖騎士団幹部のパレッドを使って何やら暗躍をしていた。サフランとナッカがしている帝国と聖教が争うというのも完全な夢物語ではないだろう。
本来の目的は葵を救うこと。そしてついでの他のクラスメイトもか。これを第一に考えて行動するべきか。くれぐれも女帝への復讐心を燃やして突っ走らないようにしよう。
「分かったよ。帝国では慎重に動いて、女帝に喧嘩を売るならアザレアの許可を得てからということで」
こうして俺たちは帝国へ向かうことになった。
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