第13話 林檎、英二、星
☆藪本英二(やぶもとえいじ)サイド☆
アイツはアイツなりに一歩を踏み出している様だ。
俺はそんな事を思いながら星を見る。
星は集中して黒板を見て授業中なので勉強をしていた。
視線を外に向ける。
そこでは体育の授業があっていた。
「...ふむ」
そんな事を呟きながら俺はノートを纏めた。
それから教科書を読む。
正直...この先はどうなるんだろうか。
その様な事を思いながら俺は黒板の文字を必死に書き写す。
☆
「やあ」
「...うん?どうした。星」
「君、さっきの時間私をチラチラ見ていたね?」
「お、おう。バレていたのか」
「そうだねぇ。私は千里眼が使えるからね」
「そうか。すまないな。星。変な視線を向けて」
「まあ君だからね」
星は言いながらウインクする。
俺はその言葉に苦笑しながら星を見る。
そして「さて。今日の授業も終わりだね」と言う。
まあ確かにな。
「...本当に今日という日もあっという間だな」
「おや?いきなり詩人になった感じかい?」
「...いきなりって程じゃ無いが...まあ詩人にはなったな今ので」
「うんうん。で?何でいきなりそうなるんだい?」
「...いや。...アイツの。鈴島の事を考えてな」
そう言うと星は「成程ね」と言いながら顎に手を添える。
それから「小説に関して投稿をしたみたいだね」と言ってくる。
俺はその言葉に見開きながら呟いた。
「そうか」
とだ。
すると星はスマホの画面をササッと調べて見せてきた。
そこには確かに鈴島による投稿とみられるものがあった。
俺はその事に苦笑する。
「お前ブックマークでもしているのか」と聞くと星は「そうだね」と回答した。
その言葉に首を傾げる。
「何故だ?」
「それは簡単さ。私も知りたいのさ。彼女の動向をね」
「...お前散々怒っていたよな」
「そうだね。私は激高した。...だけど冷静になってみたけど私が怒ってもねと思ったししかも彼女は結構反省しているからね」
「...そうか」
そう言いながら俺は星を見る。
すると星は「じゃあ掃除しようか」と言い出す。
俺は「そだな。日直だしな」と言いながら俺達はそのまま教室を片す。
そして作業していると星が聞いてきた。
「鈴島はもう君には恋しないのかな」
「彼女はそんなたちではない。...恐らくな」
「...そうか。君はモテるからね」
「...心配しているのか。お前は」
「ち、違うよ。それは無いね」
「嘘吐くなよ。お前が何をしたか忘れた訳じゃ無いだろ」
「そ、それはもう言わないでくれ」と言う星。
俺はその言葉に「はいはい」と言いながら答える。
それから教室を掃除していると星が「私は君が好きだ」といきなり言った。
何だいきなり!?
「だ、だが私はやり過ぎたと思っている。...正規ルートで私は君にお近づきになりたいな」
「...いきなりビックリする様な事を言うな」
「アハハ。ごめんよ。だけどこの決意だけは言いたくてね」
「...そうか。有難うな」
「...だ、だからその」
「...?」
「今日は時間は空いているかね」と聞いてくる星。
俺は考えながら「デートか」と聞く。
すると星は「ち、違うもん」と言った。
本音が漏れている。
「お前さん本音が漏れているぞ」
「あ、そ」
「熊本かな?」
「う、煩いね!私を馬鹿にするとは宜しく無い」
「いやいや。お前が悪い」
「とにかく付き合いたまえ!!!?!」
ごり押しワロタ。
思いながら俺は手をひらひらさせてゴミを片付けに行った。
そして戻って来ると星は片づけを終えていた。
何だ一体。
まだ途中だったろ。
「...お前どうした?まさか全部片したのか?」
「君とのデートは待ち遠しくてね」
「...お前開き直ったな...」
「ちがわい!」
「また本音が漏れているぞ。お前」
真っ赤になって反撃してくる星。
俺はその姿を見ながらゴミ箱を置いた。
それから教室に施錠をしてから鍵を職員室に返した。
そして俺達は歩き始める。
「...」
「...」
無言の時間が流れる。
生活音がする。
車の音がする。
人の話し声がする。
だけど俺達は無言だった。
するといきなり星が俺の手を握った。
それから微笑む。
「お、お前いきなり!?」
「ほ、ほほう?この程度で真っ赤になるとはね」
「お前もな!!!!!」
「私は赤くなってないね。何故ならこれは太陽の光の反射だ!!!!!」
「お前この期に及んで言いわけする気か!!!?!」
「私は嘘を吐かないからね」
「今吐いているけどな!!!!!」
全くコイツという野郎は!
思いながらそのまま歩いていると目の前から「あ」と声がした。
顔を上げるとそこに鈴島が居た。
俺達を見ながら「!」という感じになる。
「御免なさい。お邪魔だね。私はノートを買いに行こうって思っていた」
「...鈴島さん」
「...貴方は?」
「私は園島星。...貴方に一度は会ってみたかった」
「...私なんかに会ってもどうしようもない」
そう言いながら鈴島は頭を下げる。
それから歩いて去って行こうとするその背中に星が「待ちたまえ。私は君と話がしたい」と声を掛けた。
俺は「!」となる。
鈴島も「?」となった。
「...私と話?何の?」
「...君のエッセイもそうだが。君と話がしたい」
「...」
「...時間は有るかね」
「...あるけど...」
まさか星から声を掛けるとは。
そう思いながら俺は星を見てみる。
そして。
俺達は近場のファミレスにやって来た。
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