第9話 状況打開
☆藪本りん(やぶもとりん)サイド☆
私とすずは自室で向かい合っていた。
それからすずが話し始める。
私は唾を飲み込む。
「お姉ちゃんはお兄ちゃんが好きなんだね」
という感じで話し掛けてきた。
私はその言葉に「...うん」と返事をする。
曖昧乍らしっかりと。
するとすずは何故か泣き始めた。
私は衝撃を受ける。
「同じ人を好きになった。これは...私にとっては凄く嬉しい」
「...すず...」
「...私にとってはお姉ちゃんはお姉ちゃんでしかない。...例えそれが...」
「...それは言わない約束でしょう」
「だけどお姉ちゃん。お兄も知らないよこれ」
「...」
私達は実は姉妹ではない。
姉妹では無いというのはどういう意味か。
実は血が繋がっているが父親が別々である。
だから姉妹では無いのだ。
まあそれで性格に差が有ったりするのだが。
私は元の名前は飯島りん。
そしてすずの本名。
太古の昔に切り替わった名前だが重松すず(しげまつすず)という。
今は飯島すずを経て藪本すずになっている。
因みに私達の父親は。
私の父親が浮気。
そしてすずの父親が事故死した。
なので私達はこんな感じで居たのだが。
それからお母さんがまさかお兄ちゃんのお父さんと再婚するって思わなかった。
「...不思議な運命」
「だからこそ分からないでも無いけどね」
「...お姉ちゃん」
「...何?すず」
「私はお姉ちゃんにもこの戦いに参加する権利があると思っている」
「...それはお兄ちゃんを奪う為の?」
「そう。今お兄はとっても傷付いている。だからこそ励ましが要る」
そう言いながらすずは真正面から見据えてくる。
私はその言葉を受けながら頷いた。
それからすずを見る。
「絶対に負けないよ。貴方には」と言いながら笑顔でだ。
「それでこそお姉ちゃん。...私のお姉ちゃん」
「...だけど策略の腕はすずの方が上でしょう?アハハ」
「...そんな汚い真似はしない。お兄の彼女の様な」
「...そっか」
すずは恋愛の漫画本を取り出す。
それから「お姉ちゃんにお願いがある」と言ってくる。
私は「?」を浮かべながらすずを見る。
するとすずはこう言ってきた。
「私は内面的すぎる。だからこそ知りたい事が沢山。貴方に教わりたい」
「...すず...」
「...ほら。お姉ちゃんだって...必要でしょう?」
「...分かった。手取り足取り教えるけど...どうなってもしらないよ」
「うん。覚悟は出来ている」
私達は笑い合いながら恋愛漫画を見る。
それから恥じらったり。
笑顔を浮かべたりしながら姉妹の時間を過ごした。
☆藪本英二(やぶもとえいじ)サイド☆
楽しそうだ。
そう考えつつ俺は扉をゆっくり閉めた。
それから階段を降りているとメッセージが入った。
それは...ブロックするのを忘れたアイツから。
(英二。...私は病院に行く。...まともになる)
(だからどうした。何が言いたい)
(...今まで悪かった)
(...いや。だから何が言いたい)
(私達は別れて正解だったって事を言いたい。私がおかしかったんだろう)
そう書いてくる。
俺は驚愕しながら階段に腰掛ける。
それから(お前大変だったんだな。...兄の件とか)と送ってみる。
すると鈴島は(大変ではない。私がおかしかっただけだった)と送り返してくる。
(これからは貴方の人生を陰ながら支えたいと思う)
(よりは戻さなくて良いのか)
(戻してどうなるの。逆に戻して失敗する道しかない。だったら私は貴方を見守る)
(...そうか)
(有難う。英二。...これから貴方の横に立てる様に努力はする)
そう言ってから鈴島からメッセージは来なくなった。
俺は(鈴島。よく頑張った)とメッセージを送る。
すると鈴島からは1分後にメッセージが届いた。
(こんな私にそう言ってくれて有難う)と。
泣いているのかコイツ。
(お前はどうなるんだこれから)
(お父さんは育児放棄した。だったら私の行き場所はお婆ちゃんの家ぐらい)
(...そこは信頼出来るのか)
(心配してくれるの)
(お前は仮にも俺の彼女だったから)
(アダにならない様にね。その優しさが)
鈴島は(じゃあね)と言ってからメッセージを切る。
俺はそのメッセージを見ながら静かにスマホの画面を閉じた。
それから天井を見上げてから立ち上がる。
そして肩を回した。
「やっと光も差し込んできた感じかな」
そんな事を呟きながら俺はそのまま階段を降りる。
それからドアを開けてからリビングに向かう。
だけどまだ問題は終わった訳じゃ無いけど。
だが今は噛みしめよう。
この今の状況を。
「...ジュースでも飲むか」
そう呟きながら俺はジュースを入れてからそのままあおる。
正直言ってアイツが。
鈴島が反省するとはな。
そんな事を思いながら俺は窓から外を見る。
暗い感じだ。
「当たり前か。夜だしな。変な俺だ」
そんな事を呟きつつ俺はジュースを飲んでからコップを洗った。
それから俺は寝る為に歯を磨いた。
そして2階に上がる。
もう一度、りんとすずの部屋を覗いたが2人は寝ていた。
「寝るか」
そんな事を呟きながら俺は欠伸をしてから横になる。
そして柔らかい感触に少し後で目を覚ました。
いつの間にか横に寝ているりんが居た。
ホぁ!?何だこれ!?
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