第6話 大切な貴方
☆藪本すず(やぶもとすず)サイド☆
私はお兄が心配である。
何故お兄が心配かといえば毒牙が...迫っている気がした。
私はその事もあってお風呂に入りに行ったお兄を追跡する。
それから服を恥じらいながら脱いだ。
そして鼻歌を歌っているお兄のお風呂に入る。
「...は?」
「...お兄。背中流す」
「うあぁ!?ちょい待て!?お前は何をしている!!!!!」
「お兄の背中を流したい」
「ば、馬鹿野郎!?何年前かとは状況が違う!」
私はバスタオルを外す。
するとお兄は真っ赤になってからそっぽを向いた。
私はそんなお兄を抱き締めた。
正直...つるぺただがそんな事は気にしない。
「ば、は、離れて。頼む。俺は...もう大人なんだ」
「何?10代の女の子の身体で興奮するの?エッチ。お兄のエッチ」
「お前な!お前だって女の子の身体になっていくんだぞ!馬鹿野郎が!マジに考えてやってくれ!?好きでもない男の浴槽に入るとか!」
「...本当にそう思うの。お兄」
立ち上がる。
それから私はお兄を見る。
お兄の耳まで真っ赤な顔を見ながら私はまた抱き締めた。
それからお兄の前に手を添える。
それは...丁度お兄の下半身辺りに。
「待て待て待て!!!!!」
「お兄。好きでもない男の子にこんな事すると思うの。それは違うと思う」
「馬鹿...お、お前...って、え?」
「私はお兄が好き」
お兄は思いっきり見開いた。
そう告白しながら私はお兄の下半身に触ろうとする。
だがお兄に弾かれてしまった。
私は残念な気持ちになりながらボディソープをしみ込ませたタオルを用意する。
それから「お兄。擦る」と言いながら背中を擦る。
「...なあ」
「...何。お兄」
「...お前マジか。マジに俺が好きなのか」
「それは当たり前でしょう。...もう何年一緒に居るって思っていたの。...途中で空白は空いたけど」
「お前はこんな真似をする様な女の子じゃ無かったから。だから驚愕だ」
「心理学的に言うと女の子は気持ちが昂ると大切な人に触れたくなる。だからこそ私はお兄に触れたい」
「馬鹿かお前は。13歳だろお前は」
「12歳超えたら女の子は大人だから。中学校に入ったら女の子は大人だから」と言いながら私は泡立てる。
それからお兄の背中を一生懸命に擦った。
正直私は胸も無い。
お姉ちゃんには勝ち目が何一つとしてない。
だったらこうするしかない。
「...貸してくれ。お前の背中も擦るから」
「...そう」
「...何だお前は。耳まで真っ赤じゃないか」
「...そ、そんな事はない」
「無理するなって」
そう言いながらお兄はバスタオルを取る。
それから「前を隠せ。擦ってやるから」と言ってくる。
こういう所だ。
お兄が好きだと思う理由は。
生理学的に愛を持ちたいと思う。
「...お兄。有難う」
「...そうだな。お前はごり押しでやってしまうからさ」
「そう」
「決して無理はするな」
「...はい」
そして私はお兄にバトンを渡す。
それから小さな私の背中を擦ってもらう。
するとお兄の手が止まった。
私は「お兄」と聞くとお兄は「すまん。女の子らしくて滅茶苦茶恥ずかしい」と言ってくる。
「...女の子の身体って思ってくれるの」
「それはそうだろ。丸みを帯びてしかも...その。女の子らしい体つきだ」
「...そ、そう」
私は急速にカァッと赤くなった。
それから汗が噴き出してくる。
そうしているとバシッと何かが背中に当たった。
お兄が「あ」と言ってから「すまん。上がる!」と言ってくる。
そして大慌てで出て行った。
理解が出来なかったが数秒してからボッと赤面した。
まさか今当たったのは。
そう思いながら。
アレ、か。
私は何だか身体が急速に熱くなっていく。
そして下半身を見て触って驚愕する。
ぬるぬる過ぎた。
☆藪本英二(やぶもとえいじ)サイド☆
信じられないぐらい心臓がバクバクしている。
俺は「くそくそ...」と言いながらさっきの感触を確かめる様にしながら表に出る。
服を着てからリビングに向かった。
するとそこでは勉強しているりんが居た。
「...ああ。勉強していたのか」
「だよ」
「...どんな勉強をやっているんだ?」
「つまんない数学とかだよ。...でもやっとかないとね。...私は...本当に落ちこぼれの馬鹿だから」
「...」
りんはそう言いながら落ち込む。
俺はそんなりんの頭を撫でた。
それから「それも個性だ」と言う。
そしてりんの頭をガシガシ撫でているとりんは「お姉ちゃんが優秀じゃ無いから。だからすずに申し訳無いって」と涙声になる。
「...人はな。得意な事と苦手な事がある」
「...?」
「...」
亡くなった母親が妊娠9カ月目で出産も本当にあと少しの所で病気で流産した時があったのだがそんな母親に俺はこう言った。
テストで良い点も取れなかったから苦笑してから。
『テストで点も取れない俺が生き残ったね』と悔やむ様にだ。
すると珍しく母親は俺に激高したのだ。
その時に限って。
普段あまり俺に怒らない母親がキレた。
そして母親は「貴方は運命を。使命を持って生まれた。...そんな事言わないの」と力強く怒ってきたのだ。
それから俺を力強く抱きしめた。
今でも忘れない。
「...」
「...お兄ちゃん...?」
「俺はお前の事。認めている。だから頑張れ」
「...お兄ちゃん...」
「俺は絶対にお前は大丈夫だって思っている。大切な義妹だからな」
するとりんは頷いてから涙を拭った。
それから立ち向かう姿勢になる。
俺はそのりんに勉強を教えた。
というかなんかすずの奴遅いな?上がるのが。
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