第5話 歪む星の元に

いきなり星に迫られた。

俺は赤くなってから彼女の想いを受け止めつつも遠慮した。

その行為は俺達にはまだ早すぎると言いながらだ。

それから俺達は教室に戻り授業を受けてからそのまま放課後になる。


俺は歩いて帰宅していると...「ねえ」と背後から声を掛けられた。

それから振り向いてから反応する。

「お前か」と言いながらだ。

その場に居たのは鈴島だった。


顔立ちは整っている顔。

モデル級の顔だ。

黒髪も艶やかなロング。

だけど...裏切った野郎である。


「何を考えているの?」

「...何を考えているの?とは?」

「私の事を...SNSに書き込むとか尋常じゃない。どうせ貴方でしょう」

「...お前のやった行動より遥かにマシだと思うがな」

「...私が何をやったって?」

「お前は俺に黙って浮気した。これに間違いないな」

「...」


鈴島は苛立つ様な感じで俺を見る。

それから「そうだけど」と返事をする。

俺はイライラしながら「何でそんな事をした」と聞く。

すると鈴島は石ころを蹴飛ばしながら俺を見てくる。


「...私は...どうしてもコレクションしたかった」

「...何を」

「...貴方と...相手の男性を」

「...意味が分からないな」

「...コレクション。私は...男の人が好きだから。貴方だけじゃ満足できなくなった」

「もう別れよう。そういう奴とは付きあえない」

「逆に何で別れる必要があるの?」


逆に何でってコイツ何?

俺は訳も分からずその姿を見る。

鈴島は「それを黙認すれば何でも良いよね?」と言ってくる。

それから足元に来た猫を見る。


「...それを黙認すれば良いってか。お前馬鹿か?」

「...外国では一夫多妻制というものがある。...それと同じだよ」

「ここは日本だ。お前の理想論は通じない」

「...私はそうは思わない。...理想論は所詮理想論でしかない」

「...お前な。屁理屈ばかり言うな」

「私は屁理屈を言っているんじゃない。あくまで私は貴方が好き。...これは普通の浮気とは違う」


訳が分からない。

俺は猫を抱える鈴島を見る。

そして猫は暴れて鈴島から逃げて俺に擦り寄って来る。

俺はその姿を見ながら「この猫だってお前を嫌がっている」と言う。

すると鈴島は真顔になる。


「...それが?所詮は生き物だから」

「猫は人の感情を読み取れるらしい。...お前を嫌がるのはそういうのじゃないのか」

「...貴方は私が嫌いなの」

「嫌いだな。汚らわしい」

「...そう。...じゃあその汚らわしいのを取り払えば良いんじゃないかな」

「...どういう意味だ」


そう聞くと鈴島はいきなり俺の胸倉を掴んだ。

それからそのままキスをしてこようとする。

この売女!何をしてやがる!?

俺は慌てていると「待ちなさい」と声がした。


「...お前...すず!?」

「...何。貴方」

「...お兄をどうする気ですか」

「...どうするって見て分からない?キスする」

「馬鹿ですか?汚らわしい。ここは人が通ります」

「馬鹿なのは貴方でしょう。邪魔して」


俺は隙が見えたので鈴島の腕を振り払った。

それから咳き込んでから「大概にしろこのゴミ屑が!」と言いながら鈴島を見る。

鈴島は振りほどかれた手を見ながら無言で俺を見る。

俺はその姿を見ながら「お前の事を愛していたんだぞ俺は。心から信頼していた。だけど今となってはもう何も感じない。別れるぞ」と告げた。


「...お兄がそう言っていますので」

「...」

「...帰ろう。すず」

「そうですね」


それから俺は鈴島を残してからその場を去る。

俺は鈴島をチラ見した。

鈴島は俺を見据えたまま暫くその場に立ちつくしていた。

何を考えているのかさっぱり分からない。

そもそも気持ちが悪い。


「...お兄」

「...何だ?すず」

「...あの女にキスされたの」

「...されてはない」

「変な女だからウイルスが移ったりすると思うから気を付けて」

「...そうだな。心配有難うな。すず」

「それはそうでしょう。だって...」


だって?

俺は「?」を浮かべながらすずを見る。

すずはハッとしてから赤面した。

それから顔を横に向ける。

俺は「???」と思いながらその姿を見る。


「待て。すず。どうした?熱があるのか?」

「...ない。聞かないでほしい」

「...???」


女子は分からない。

思いつつ俺は前を見る。

ん?そういえばアイツはどうした。

りんは。


「すず。りんはどうした?」

「...お姉ちゃんは部活に入るって。...漫画部」

「...漫画部とかあるのか?良いな。...お前は何も入らないのか」

「...私は穏やかな方が好き。昔から」


昔から。

そうか...確かにそうだったな。

俺は目線を横にしながら「なあ」と聞いてみる。

するとすずは顔を上げた。


「...ジューススタンドでジュース買って帰るか」

「...え。でもお金」

「気にすんな。俺が出す」

「いやでも。お兄。お金が勿体無い」

「気にすんな」


それから俺はすずの手を握る。

そして笑みを浮かべた。

そうしてから俺はうっぷんを晴らす様な感じでジューススタンドに向かう。

オリジナルジュースを買った。

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