第3話 制裁

☆藪本りん(やぶもとりん)サイド☆


翌日になった。

私はルンルンな気分で準備をする。

かつて好きだったお兄ちゃんの義妹になった。

そして今は大好きなお兄ちゃんの。

私は中学校の制服を着ながらそのままリボンを結ぶ。


「...」


私とお兄ちゃんが出会ったのは私が3歳でお兄ちゃんが8歳の時。

当然、歳の差がある。

それも5年ぐらい。

だけど私はお兄ちゃんが好きだ。

それも異性として世界で1番好きだ。


そんなお兄ちゃんを振るとか何を考えているのだその女は。

私は訳も分からず怒りながらそのまま部屋を後にする。

そして下に降りて行くと妹のすずが朝食を作りながら本を読んでいた。

私は周りを見渡す。


「お兄ちゃん」

「...おう。それが制服か」

「そだよ。ムフフ。発情する?」

「お前の様なクソガキに発情するかこのアホンダラ。犯罪だ」

「ちぇ。つまんない」


教科書を置きながらお兄ちゃんはそう反応する。

私はその姿を見てからすずを見る。

すずは本に熱中していた。

それから料理を作っていく。

相変わらずだなと思う。


「すず。何か出来る事はある?」

「お姉ちゃんとお兄は危ない。だから何もしないで」

「そ、そうだね。うん」

「...だけどそろそろテーブルクロスとか出してほしいかも。お兄も」

「ああ。分かった」


そして私達は準備をする。

するとすずが味噌汁、卵焼き、塩焼きのお魚、ご飯を持って来た。

お兄ちゃんがそれを片っ端から手伝う。

そしてそれをすずは柔和に反応しながら並べていく。


「今日は鮭の塩焼き」

「凄いなお前。家事も出来るようになったんだな」

「...中学生だから。お姉ちゃんには任せられないし」

「何それ!?私がまるで火とか扱うのが駄目みたいな!?」

「そうだね。...味覚音痴だから」

「あう!」


私は萎れながら「そうだけどぉ」と呟く。

するとお兄ちゃんが苦笑した。

それから料理を見る。

そして私とすずを見る。


「まあまあ。料理も個性だしな」

「お兄。甘やかしすぎ。お姉ちゃんを」

「甘やかしてはないぞ」


お兄ちゃんは優しいもんだ。

私は苦笑いを浮かべながら2人を見る。

するとすずが「お母さん達は先に出たから。...ご飯食べよう」と言ってくる。

私は「だね」と返事をしながらお兄ちゃんと一緒に座った。


「それじゃあいただきます」

「はい」

「私も」


そして幸せな時間は過ぎて行き。

私達は登校する事になった。

どんな人達に出会えるだろう。

そんな事を思いながら私は学年は違うが同じ学校のすずと登校する。


☆藪本英二(やぶもとえいじ)サイド☆


俺は浮気された事を思い出しながら学校に登校して来る。

すると学校でこんな事が噂になっていた。

つまり...俺と付き合っていた彼女の鈴島林檎(すずしまりんご)の噂。


(浮気したのではないか)という事が蔓延していたのだ。

俺は苦笑いで居た。

SNSって怖すぎるのだが誰がばら撒いたんだよ。


「これは事件の匂いだね」

「まあ確かにな...」

「ノリが悪いじゃないか。どうしたんだね」

「お前がいきなり出て来たからビビってんだよ」


園島星(そのじまほし)。

探偵の様な感じのベレー帽を愛用する少女。

黒髪のぱっつんな感じのヘア。

そして美少女である。

女子の友人であるが...。


「星。お前か。これやったの」

「...はて?何の事だい?」

「お前が噂を広めたな?」

「私はあくまで友人を困らせる輩に不届きものとして罰を与えたまでだ」

「いや。それ完全な自白だろ」


俺は額に手を添えながら星を見る。

すると虫眼鏡を持った星は「決して野蛮な行為は許されるものじゃない」と小さな声で呟く。

俺は「?」を浮かべながら星を見る。

星は赤くなっていた。


「何だお前。風邪でも引いたか」

「そんな訳無いだろう。...わ、私が赤いのは気にしないでくれたまえ」

「...まあどっちにせよ有難うな。...暴露はしようとは思っていたけど」

「私は探偵の仕事をこなしたまでだ」

「そんな馬鹿な。これが探偵の領域かよ」


俺達はそう会話をしながら歩いてから教室に来る。

すると教室の女子と男子が会話をしているのを止めて俺を見てくる。

それから「大変だったな。藪本」とか。

「藪本くん大変だったね」と声を掛けてくる。


「...あー。まあな」

「ふむふむ。友情が芽生えそうだね」

「お前な。決して褒めている訳じゃ無いけどな。お前の事」

「何故だい?私は当たり前の事をしたまでだ」

「当たり前とはいえいきなりぶっつけ本番で暴露するとかもはや鬼だぞ」

「...君は許せるのかい?鈴島を」

「...俺は許せんけどな」


そう言いながら俺は肩を竦める。

それから机に荷物を置く。

そして俺は星を見る。

星はニコッとしながら俺の前に座った。


「正義は勝つのさ。絶対にね」

「...やれやれだ」


そして俺達は他愛無い会話をする。

だが俺は正直予測して無かった。

これにより...全ての歯車が回り始めたという事にだ。

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