第2話






 一つは後宮の事務方のトップになる女官長


 一つは下賜という形で家臣に嫁ぐ皇帝付きの侍女・・・またの名を専業主婦


 一つは皇帝の正室になる皇后



 まずは女官長から説明いたしますわね。


 女官長になるには言語・数学・一般教養・礼儀作法という四つのパラメーターが群を抜いて秀でている事と、攻略対象者達に一度も接触しない事が条件ですの。


 晴れて女官長になったヒロインは見ているだけで美味しそうな黒パンとチーズ、そして『〇ララが立った』で有名なあのアニメに出てくるあの人のような恰好が標準ですし生涯独身ですけれど、その代わり皇后の座を狙う或いは専業主婦になる事を夢見ているライバル達に命の狙われずに済みますし、何よりお給料様が高額なだけではなく豪邸が貰えるのですわ!!


 次に侍女ですが、皇帝付きの侍女になるには言語・数学・一般教養・礼儀作法・音楽・詩歌管弦・芸術・立ち居振る舞い・話術・手芸・美・ファッションセンス・メイクのうち五つのパラメーターが群を抜いて秀でている事と、皇帝以外の攻略対象者達と接触して好感度を高めている事です。


 皇帝への好感度がゼロであるヒロインは下賜という形で好感度の高い攻略対象者に嫁いで専業主婦になるのですよ。


 攻略対象者達は皇帝の臣下。


 乙女ゲームという事もあり高スペックの・・・私の好みから大きく外れていますがイケメンです。


 しかも、お給料様が高いと来ているのですから当然と言えばいいのでしょうか。


 皇帝の目に留まらないのであれば臣下に嫁ぎたいという侍女も存在していたりします。


 専業主婦になる為にライバル達を蹴落としながら攻略対象者と接触して好感度とパラメーターを上げる。


 中々にハードモードです!


 専業主婦になるって大変な道のりだったのですね・・・


 専業主婦がハードモードだとすれば、皇后はナイトメアと言ったところでしょうか?


 皇后になるには言語・数学・一般教養・政治経済・礼儀作法・音楽・詩歌管弦・芸術・立ち居振る舞い・話術・手芸・美・ファッションセンス・メイクという全てのパラメーターが秀でている事と、皇帝と接触して好感度を高めている事です。


 何とかというドラマに出てきた主人公のように「カッターキャー」的なものを自作自演したりという風にライバル達を蹴落としながら皇帝の心を掴んで皇后になる・・・


【百花乱舞~愛憎と欲望の花園~】は恋愛と育成シミュレーション、ルートによっては策を弄してライバル達を蹴落として成り上がる乙女ゲームなのです。


 前世がどこにでも居る普通のおばちゃんだった私に皇后なんて務まるはずがありませんよ!!!


 無理無理無理!!!


 皇帝には何とかというドラマの主人公をモデルにしたラスボスな寵妃がいますし、それだけではなく皇帝は彼女との間に子供を六人も儲けているのですよ!?


 第一皇子は優秀だけど父親に似ているところが一つもない・・・要するに托卵(皇帝自身がそれに気付いていないし第一皇子は病死する)、第二皇子は脳筋、第三皇子は酒と女に溺れているし、第四皇子は文字の読み書きが出来ない文盲に加えて簡単な計算も出来ない、第一皇女と第二皇女は皇帝亡き後に起こる後継者争いに口を挟んで国を乱す。


 寵妃は皇帝を含む攻略対象者達からラフレシアに喩えられるくらいですし、何と言っても公式が認めていますからね~。


 あれでしょうか?


 皇帝はB専・・・ではなく蓼食う虫も好き好きって奴なのかも知れません。


 要するに皇帝そのものが地雷ですし、仮に皇后になったとしても私としては何の旨味もないのですよ!!!


 だって、皇帝が私の好みではありませんもの!!


 よって皇后になるというルートは却下です!!!


 専業主婦は・・・彼氏いない歴=実年齢でおひとり様を満喫していた私には無理かも知れません。


 お給料様が高くて豪邸が貰える女官長でしょうか?


 ですが女官長ってハードワークなのですよね~。


 ハードモード・・・見方によってはナイトメアな乙女ゲームの世界に転生した私の人生は詰んだのかも知れません。


 自分の人生についてどれくらい悩んでいたのでしょうか?


 気が付けば私達を乗せた船はジェミニー帝国に到着していました。


 ・・・・・・・・・・・・腹を括って自分の人生を切り拓くしかありませんわね。


 こうして覚悟を決めた私は後宮へと足を踏み入れたのです──・・・










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