第2話 貴族に転生した社畜、オムツで悲しむ。グレイス―0~2歳


「あうあぅあー!!」


「はいはい、おしめを変えますねー、グレイス様ー」


 そう言って、十代前半くらいの幼いメイドの少女が、俺のオムツに手を掛けた。


 え? ナニコレ? 俺、今からこの少女にM字開脚してチ〇コ見せるの? え、マジで?


「はい、取りますよー。お尻上げますねー」


「アゥア゛アゥアアァァ――――――ッッッ!!!!!!!」


 俺の悲痛な叫びも空しく、メイドはオムツを外し、俺は……幼い少女の前で、今まで一度も使用したことがない新品のエクスカリバーを見せつけてしまった。


 なにこの羞恥プレイ!? 嫌だ……本当にやめて!! 恥ずかしくて死にそうなんだけど!! あたいの大事なところが見られちゃってるわ……!!!!


 小さな手で顔を覆い隠していると、メイドは俺のオムツを素早く新しいものに取り換えていった。


 ―――――ご覧の通り、俺は現在、赤子の身だ。


 当然、自分で立つこともできないので、トイレにすらいけない。


 小も大も、このままオムツの中にしなくてはいけないのだ。


 正直、寝たままウ〇コするのには慣れなかった。尻にウンコ付く感触分かるか? 本当に気持ち悪いよ?


 なるほど……赤ん坊はオムツにウンコした後、こういう気持ちでわんわんと泣き喚ていたのか。


 まさかこの歳になって、赤さんの辛さが分かることになるとはな。


 人生、どうなるか分かったものではないな。


「はい、お尻ふきふきしますねー」


 尻を上げられ、薄い紙切れでケツを拭かれる。


 三十間近の俺が、まさか、幼い少女の介護を受けて生活するなんて……この現状を考えると本当に死にたくなってくる。いや、もう死んでるけどな。


(なんなんだこれは……)


 尻を拭かれながら思わず真顔になる俺。何だこれ。思わず現実逃避したくなってくる。


(俺、本当に赤ん坊に転生してしまったんだな……)


 頭上でカラカラと回るベビメリー。俺はそれをレ〇プ目で見つめて、引き攣った笑みを浮かべた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「うぅ、うぅぅぅ……!!」


「おぉ、お坊ちゃま! その調子です!!」


 メイドにそう声を掛けられ、俺は壁に手を付きながら、立ち上がる。


 この赤子の身体に転生してから、7か月ほどが経過した頃。


 俺はついに、自分で立つことができるようになった!


 何とか壁を支えにして、自身の小さな足で身体を持ち上げる。


 すると、おさげ髪のロリメイドがパチパチと、拍手を鳴らしてきた。


「お坊ちゃま!! すごいです!!」


「ぜぇぜぇ……」


 ま、まさか、ただ立ち上がるだけで、ここまでの筋力と体力を使うことになるとはな……!!


 何とか立ち上がったは良いものの、すぐに足元がおぼつかなくなり……ステンと、俺は地面に座り込んでしまった。


 なるほどな。これでは一人で立って歩くまで、かなりの時間を要しそうだ。


(もう少し、練習が必要かな)


 自分がいったいどんな場所に転生してしまったのかが気になるが……まずは何よりも先に、自分の足で立って、動けるようにならなければならないだろう。


 もう、下の処理を幼い少女にさせたくないし、オムツの中でウンコもしたくない。


 この赤ん坊生活を続けていては、俺の自尊心はいずれぶっ壊れてしまうからな。


 その前に、早く、成長しなければ――――――!!!!


「あぅあぅああああーーーーッッ!!!!」


「お坊ちゃま、再チャレンジですか!? ガンバです!!」


 おさげ髪のメイドはそう言って両手の拳を握り、俺を応援してくる。


 ま……負けてたまるかぁぁぁぁぁ!!!! こちとらブラック企業で過労死した社畜じゃぁぁぁぁぁぁ!!!! 立ち上がることくらい、なんぼのもんじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!

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