第35話 精霊契約
「着きましたよ。少し段差になっているので気をつけてください」
「ありがとうございます」
やってきましたよ前線基地……ではなく周りが山だらけな場所。
何で前線基地じゃないんだろ?
精霊がいっぱいいる部屋に連れてかれるんでしょ?
前に女生徒3人に着いて行った時は前線基地近くだったと思うんだけど。
アレかな。精霊の集まる場所がここだったとか?
周りにちらほら精霊が
ちょっと突っ込んでみるか。
「こんな所にこんな立派な建物があるんですね。驚きました」
「ええ、少し事情がありまして」
「その事情って、このフヨフヨ飛んでる小さなアレに関係あります?」
「っ!!霧島さん見えるんですか!?」
ちょっと突っ込んだら思った以上のリアクションが返ってきた。
ていうか近い近い近い!!
女性同士(見た目)だから良いけど男だったらアウトだぞ。
「えっ……と、この小さなものの事なら見えますけど………」
何をそんなに興奮しているんだ?
もしかして、アレって精霊?
えー、僕てっきり人型とか動物型みたいな生物を模した姿だと思ってたのに。
何でまっくろくろ⚪︎けスタイルなんだよ。
目ん玉潰す?
「……確定ですね。霧島さん、あなたには魔法少女の適正があります」
「え、そうなんですか?ちょっと……びっくりです」
ま、そう判断されるようにわざわざ、あの薬水を買ったからね。
仕組みは簡単。
天使の体は進化すると精霊が見えるようになる。
それは始めの方の配信で神様がコメントしていた。
けど、僕は一向に進化しないし、そもそも進化のやり方すら知らない。
だから僕はショップを徘徊した。
もしかしたら特定のアイテムが必要ってパターンもあるかもだしね。
そしたらあの位階アップ(一時)の薬水を見つけた。
ピン!と来たよね。
一応配信で神様に確認してもらったら僕の予想通りの効果だった。
でも良かったよ。
一個上の位階になるだけで精霊が見えるようになって。
下手したら、あの薬水を5回も10回もガブ飲みして位階をもっと上げないとダメだったかもしれなかったから。
………本当に良かった。
「いくつか扉を抜けますので付いてきてください。
あまり離れると警報が鳴りますので出来るだけ近くで」
「分かりました」
また色々ロックが掛かってる扉をいくつも潜る。
手をかざしたり、虹彩をスキャンしたり、ワンタイムパスワードみたいなのもあったね。何かあらゆるロックを集めましたって感じ。
そして辿りついたのは、やはり自然豊かな場所。
けど、種類が違う。
前のは花が咲き誇ってる感じで今回は屋久島の雰囲気がする。
そして鬱陶しいくらいの精霊が。
多すぎてちょっと目がチカチカする。
原色が多過ぎる。もうちょっと多様性を出して?
「これは……すごいですね。その、彩度が高いというか」
「あはは。素直に目がチカチカすると言って大丈夫ですよ。
私には見えませんが、精霊との適正が高い人にはキツイみたいですね」
「適正、ですか?」
「ええ。適正が高いと多くの精霊が見えるみたいです。
相性がいいほど強力な魔法少女になる傾向がありますね」
へーそうなんだ。
そんな事図書館にも無かったな。
やっぱりまだ色々隠してる事は多そう。
「それで、何をするんですか?」
「そうですね。端的に言うと契約です」
「契約、というと先日交わしたようなものですか?」
「いえ、私共とではなく精霊と、です。
気に入った精霊がいたら契約を持ちかけてください」
「気に入った、となるとどの精霊でもいいのですか?」
「はい。しかし出来れば寄ってきた精霊と契約をして欲しいです。
寄ってきた精霊は相性がいいのです」
僕と相性の良い精霊ねぇ。
どんな精霊なんだろ?
出来れば戦闘向きの精霊がいいなぁ。
いくら魔物を使役できるからって言っても、本体は脆弱なのはねぇ。
僕も前世は男だったから、やっぱり強さとかには興味あるのよ。
だから、お願いします!!
「あ、この子」
そんな事を祈りながら歩いていたら、1匹の精霊がフラフラとやって来た。
原色の多い精霊の中、その精霊は透明と言うか、すりガラスに青色のインクを垂らしたような色をしていた。僕は何となく手を伸ばし、その精霊を手に乗せる。
すると配下の魔物がしてくるような念話が流れてきた。
『私と契約して』
と。
雰囲気たっぷりだな。
まるで聖剣の意思が勇者に話しかけているみたい。
実際は勇者じゃなくて人間の街を同時襲撃した最悪の犯罪者だけど。
「あなたと契約したら、私は強くなれる?」
僕も雰囲気に合ったセリフを誦じる。
さながら、魔物に復讐するために強さを求める少女のように。
多分、今の僕の目には復讐の火種が弾けようとしているだろう。
『もちろん。必ず、貴方の役に立てる』
おお、言うねぇ。
いいじゃんいいじゃん。
どうせ実際に活動するときは別の魔法使うし、こういうのに乗るのも一興だ。
「分かった。じゃあ契約」
そう僕が告げた瞬間、僕の魔力が精霊に流れていった。
って結構持っていくぞコイツ!?
倶利伽羅たちのおやつくらい魔力持っていくんだけど!!
と僕が混乱していると僕の体ピカっと光り出す。
今度なに!?
「霧島さん!?」
そして光が収まるとそこには……。
「これって……」
「変身してる……!」
ですよねー。
視線をしたにすると結構大きめなパーカーが。
ちゃんとフード被ってるし。
袖も結構大きい。
というか、どれだけ激しく手を振っても絶対に袖の先が手の甲から離れないんですけど。
ええ……正直邪魔。
あ、紐が2本ついてる。
引っ張っても特にフードが縮むわけでもないから飾りか。
下はズボンを履いてるね。
脛の半分くらいの長さの。
………もしかして、これが僕の魔法少女コスチューム?
めっちゃ現代じゃん。
もうちょっとこう、ファンタジーな感じでもいいのよ?
いや、ひらひらのレースいっぱいのドレスが来ても困るけどさ。
もうちょっと………あったじゃん?
「契約と同時に変身なんて……聞いたことないわ。
霧島さん、魔法少女の名前は分かりますか?」
「魔法少女の名前ですか?」
「はい。魔法少女として活動する際の名前です。
精霊が教えてくれると聞いています」
『じゃあ、ソラ』
じゃあって何?
明らかに今考えたよね?
まぁ変な名前じゃないからいいけどさ。
「ソラ、みたいです」
「ソラ……はい登録しました。
では魔法少女としての能力は分かりますか?」
来た。
精霊には悪いけど、君の能力は使わないよ。
「えっと、ちょっと説明が難しいです」
「では見せていただけますか?」
「はい」
空に手をかざす。
すると手の先の空間がパックリと口を開ける。
その口はとても綺麗な円で、その口腔は先が見通せない闇が広がっている。
僕はその闇に躊躇いもなく手を突っ込む。
すると僕の手は案内してくれた中井さんの肩に乗る。
中井さんが驚いて背後を振り返ると、そこには全く同じ空間の穴があった。
「まさか………空間を操る能力!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はい、2章終了時点での人物紹介を見てた人には見えていたオチですね。
それでですね。
メルヘスが契約して得た魔法少女としての能力、決めてないんですよね。
候補はあるんですが、どれもパッとしないというか……。
良ければコメントで意見を書いてくださいませんか?
面白いと思ったら採用させていただきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます