第33話 確証バイアスのトリック
古参の神その1:と言うか今のメルヘスはどっちの無戸籍者か分からなくないか?
「お、よく気が付いたね。そう、今僕はどっちの無戸籍者か分からない状態なんだ。街を徹底的に破壊したのはこの状況を作るためだったんだよ」
:そうだったの?
:え?魔法少女になるためじゃなかったっけ?
:その魔法少女になるために戸籍が問題だったはず
:そうそう
:他にも色々兼ねてた気はするけど……
「そうだね。他にも色々兼ねてたと思うけど、最終的な目的は魔法少女になるため。その目的最大の障害の戸籍をどうにかするために街を破壊した」
:なるほど……
:でも結局スラムの方の可能性があるんでしょ?
:それな
:私もそう思う。最初から街に潜入して児童養護施設に入った方が良かったんじゃ?
「それは違うよ。街の無戸籍者っていう可能性が手に入るんだ。
最初から児童養護施設に潜入となると今よりずっと時間が掛かるし、疑われると思う」
:んー?
:あー!だから街を破壊したのか!
:……ふむ。分からん
:確かに用意した確信よりも疑う余地があって、相手に直接確信させた方がより強固だ
:分かった神と分からない神が半々だね
:もうちょっと噛み砕いて説明してくれると……
「噛み砕いて……うーん……じゃあ簡単な例を挙げよう。
あなたが知り合いの神から紹介してもらった便利アイテムと自分で発見した便利アイテム。どっちの方が信用が高い?」
:そりゃ自分で発見した方……あー!
:そう言うことか!!
:完全に理解した
「分かってくれたみたいだね。と言うことで、この怪我が治るまではさっきの人が僕を魔法少女にしても問題ないって確信するように演技をするってわけ」
:なーるほど
:と言うことはしばらくはベットから動けないね
:その怪我だと……半年くらい?
「そうだね。そのくらいだね。まぁ気長にするさ。
よし、報告も見せたいものも見せれたし今日の配信はこれで終わり。見てくれてありがとね」
:えー
:もう終わり?
:もっと見たーい
「いや、この後は適当にごろごろしてるだけだよ?
そんなの見ても面白くないでしょ」
:いや絶対面白い!!
:是非見させてください!!
:お願いします!!
:¥5000P『よろしくお願いします!』
:¥5000P『後生じゃ!!』
:¥10000P『スッ つポイント』
:¥100000P『続けて?』
「えぇ……GC送ってまで?
まぁ神様達が良いなら良いけど……反応ないよ?」
:大丈夫です!
:静かに見守ってます!!
:っっっっシャアアアア!!!!!
うん……まぁ神様が良いならいいや。
と思考を放棄したメルヘスだった。
ーーー魔法省
「どうしますか中井さん?」
「どうしましょうかね」
病院から出たスポーツカーの中。
中井とその部下が霧島志鶴について話していた。
「まさか魔法少女候補に無戸籍者がいるとは」
「ちょっと予想外よねぇ。
市役所が完全に壊れちゃってるから戸籍が確認出来ないなんてね。
これからはスラムにも対象者に含めた方がいいのかしら?」
「と言うことは中井さんは霧島さんがスラムの人間だと?」
「うーん、微妙な所ね。私たちと話していたとき、自然体に見えたけど目は警戒してたのよ。
けど、それだけでスラムの人間と決めつけるのはねぇ」
「え、警戒されてたんですか?気づきませんでした」
「取り繕うのが上手な子なんでしょうね。頭の回転も早いわ。
魔法少女の到着が遅れた言い訳にあれほど突っ込まれるとは思わなかった」
「本当の事言わなくて良かったんですか?話しておいた方が信用を勝ち取りやすいんじゃ」
「しょうがないでしょ?上から口止めされてるんだもの。
でもやっぱり話しておいた方がよかったかなぁ」
あの子の推定性格上、事情を話せば合わせてくれそうだし。
と口にはしないが、考える。
「まぁ、そこ辺は中井さんにお任せします。
僕、こういう腹の探り合いみたいな交渉苦手なんで」
「私も得意じゃないわよ………でも確保しないとダメよねぇ。
あの魔力量は六華並みよ」
「何を操るのかは精霊次第でしょうけど
きっとデビューと同時に六華、いや七華入りですかね?」
「それは分からないけど、何か特別なポジションにつくでしょうね。
まぁ、それもあの子が安全だと確認がついて、且つ相性の良い精霊がいたらの話だけど」
「たとえ相性の良い精霊がいなくてもアッチに配属されるんじゃないですか?
ほらあそこですよ」
「対魔部隊の事?確かに今回で人数が減ったって聞くし、あり得なくはないわね」
「でしょ?
で、明日はどうします?もう一人の方に行くんですか?」
「いえ明日も霧島さんの面会に行くわ。もう申し込んであるの。
明日はちゃんと手土産を持って行かないと」
「まさか池澤さんが直前でもう一人の方が良いとゴネ出すとは思いませんでしたねぇ」
「おかげで用意してた手土産がパーになっちゃったけどね。
………ほんと、あなたに頼まなきゃ良かったわ」
「失敬な!僕だって相手が女性だったら女性用の手土産を考えましたよ!」
「だからって18禁の漫画はないでしょう!?
直前で中身見てびっくりしたわよ!!」
「入院経験のある僕から言わせてもらうと、入院生活はめっちゃ暇なんですよ!
退屈を紛らわすものが必要なんです!」
「だったら普通の漫画で良いじゃない……なんで枕詞に18禁がつくのよ……」
「そりゃあ入院中でも男ですから?」
「疑問を付けないで……」
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本編で使ったトリック?が本当に確証バイアスなのかは保証しかねます。
一応ちゃんと調べて、自分なりに応用したつもりですが………。
:本編を見てもトリックが分からないって方へ
要するに相手に確認させておくと、その人が自分を中々疑わなくなるって事です。
人間、自分のことは割と正しいと思ってるので、それを利用するってわけですね。
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