第23話 演目:種植え その1

その日はいつもと変わらない日だった。

少し雲が空を覆っていたが、気温もちょうど良く過ごしやすい日。

そんな日は後の歴史家にこう呼ばれる。


“戦いが始まった日“と。


【計画始動】演目:種植え【戦えない配信者】


10000柱が待機中 1分後に公開予定

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:ついに来た!!

:この日を待ち望んだ……!!

:心なしかタイトルがカッコよく感じる!

:お、始まるぞ!!

:キタぁぁぁああ!!お?

:複数窓?

:しかもメルヘスくん、いない?

:あ、GCできるようになってる。

:ほんとだ。

:¥100000P フェシズ『おめでとうーーーー!!!!』

:¥10000P『GCおめでとー!』

:¥15000P『メルヘスちゃんどこ〜?』


「あ、神様たちどーも。GCの実装って勝手にしてくれるんだね。めっちゃ便利!」


GCは“God Chat“の略称で配信で神様がポイントを消費して特別なチャットを使う権利を買うことができる。一応、上限は50000Pとなっているが“とある手段“を使うことで上限を取っ払うことができる。


ちなみに、その気になればどの神様も無限にポイントを使うことができるが、それだと配信者のためにならないと最上位に近い神様たちが階級に見合ったポイントを全神様に毎月付与している。


付与されたポイント以上を使うことは最上位に近い神々に唾を吐いて喧嘩吹っかけてるのと同義なため神々は限られたポイントをどの配信者にどれだけ使うのか日々頭を悩ませている。

そしてGCが解禁されるには一定の条件がある。


チャンネル登録者が5000柱以上で動画の総再生数が5000時間以上だ。

そして条件が満たされると配信魔法が勝手に解禁する。

ちなみにポイントは100%配信者の懐に入る。


「そして僕は画面に映ってないよ〜。今日は神様たちに驚いて欲しくて色々さいk……コホン、工夫してるからね!楽しみにしててよ」


:トゥンク……!

:ドキッ!

:バキューン……!

:可愛い……!

:かっこいい!!

:あれ、細工って言いかけて……


「じゃあ僕は魔物たちの指揮に戻るよ。じゃあ楽しんで!」


:……行っちゃった

:配信主がいない配信ってw

:やっぱりメルヘスちゃんの配信は面白い!

:さぁこれまでの工作の集大成を見ようか!!


そして黒幕は合図を出す。

独りよがりな快楽を求めて。


「ベルゼ。スタート」


仕掛けた爆弾が炸裂する。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『緊急事態発生。緊急事態発生。戦闘可能な魔法少女はすぐに事態に対処してください。非戦闘員の職員は作戦室近くにあるシェルターを利用してください』


突然、基地で警報が鳴り響いた。

いつも聞くようなものではなく、危機感を煽るように甲高い音が鳴り続けている。

そんな状況に私、焚野火乃香は慌てふためいていた。


「ど、どうしよう彩楓!?対処って何をすればいいのぉ」


「落ち着けや火乃香。訓練の時に習わんかったんか?

緊急事態の時こそ冷静に、や。まずは状況把握」


「そ、そうだね……ふぅ…よし!大丈夫!

まずは涼菜ちゃんを探さないとね」


確か、今は作戦室に行ってたよね。

そこに向かおう!


「お待たせ二人とも」


「あ、涼菜ちゃん!ナイスタイミング!」


「んで、どんな状況や?」


「訓練所のかしこで未確認の魔物が大量発生したみたいだわ。

とりあえず、私たち魔法少女はこの魔物を全部倒せばいいわ」


「でも訓練所の魔物って爆弾を埋め込めれてるんだよね?

なんで爆破しないの?」


そうしたら一発で解決なのに。


「もうすでに全ての爆破スイッチを押したのよ。それでも死なないってことだから爆弾が埋め込まれてなかったのでしょうね」


「そんな、何で!」


「分かんないわ。単純に考えるなら職員の不注意なのだけど、この数だから………」


「原因究明は後でや。まずは事態の解決。いくで二人とも!」


「うん!」


「訓練室に沢山いるみたいだから訓練室に行きましょう」


私たちが訓練室に着くとそこには、とても大きい蠅の魔物が数え切れないほどいた。

周りを見たわしても蝿の魔物が映るだけで他の魔法少女は見当たらない。

多分、他の訓練室で対処してるんだと思う。


「よっし。焦らずいつも通りにやろうや。私が防御、涼菜が回復、火乃香が攻撃!」


「「了解!」」


数が多いタイプは大抵弱いから、最初にどれだけ減らせるのかが重要になってくる。そしてその減らす役目は私!!


「大きいの行くよー!“花火“!!」


蝿の魔物たちが固まっている場所に突然大きな爆発が起きる。

その爆発でその場にいた魔物たちが消し飛び、離れた位置にいた魔物も衝撃波で吹っ飛んでいった。

そうして魔物たちはバラバラに散らばる。


「各個撃破!!」


「「了解!」」


戦闘時の指揮は基本的に彩楓ちゃんがとる。

私たち三人の中で一番冷静に戦況を把握できるからだね。

でも絶対に従わないといけないわけじゃなくて、緊急事態とか身を守るためだったら無視しても良い。


そして数が多い系の魔物は何度か戦った事がある。

こういうタイプの強みは圧倒的な数的有利を活かした物量作戦か連携攻撃。

そしてそれらは分断することで機能しなくなる!


「ふっ!」


彩楓ちゃん……魔法少女名ムサメちゃんが自身に風を付与して刀で魔物に切り掛かる。

ムサメちゃんは『風』の魔法少女。どうやら放出系の魔法が苦手みたいで、戦い方は近距離戦になる。

自分に風を付与してスピードを上げたり、刀に付与して切れ味を増したりしてバッサバッサと魔物を切り捨てる。


そんな攻撃に向いてそうなムサメちゃんだけど、師匠のオキさんの訓練の成果で防御の方が得意なんだ。

オキさん、本当に強いもんね……。

そんなムサメちゃんが前線で戦ってくれるお陰で私たちは攻撃などに集中できる。


「“鮮火“!“赤刀“ はっ!!」


私もムサメちゃんに色々教わってるから少しは前線の戦い方もできるけど、ほとんど中距離からの敵の削りが多いかな。今回も“鮮火“でムサメちゃんの死角を潰したり、敵の数を減らしたりしてる。


「ウォーターボール!」


涼菜ちゃん………魔法少女名セレナちゃんは基本的には回復役。

でも負傷していない時は牽制役。

自分に魔物が寄ってこないように魔法を飛ばしてる。


これが私たちのいつもの戦い方。

魔物のタイプによって変わったりするけど、役割は滅多に変わらない。


「よし順調やな」


「そうね。このペースだとあと30分ってところかしら?」


「だね!このまま押し切るよ!」





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【計画始動】演目:種植え【戦えない配信者】


10642柱が試聴中 公開中

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:ああ……またやられた!

:やばくね?このままのペースじゃ時間稼ぎにならない

:だよね……メルヘスくんはこの状況分かってるのかな?

:流石に………分かってるよね?

:ま、まぁ!この時間稼ぎが上手くいかなくても保険はあるし!!

:そうだった

:遅れたー……今どんな感じ?

:全然上手く行ってない

:時間稼ぎが機能してない

:え、大丈夫?

:保険はあるから……一応?

:でも六華もまだ戦ってなくね?

:いや一部は戦ってる……明らかに殲滅速度が違うよ

:え、どこ……あった。本当に速度が違ぇ……

:これ、本当にまずい感じ?

:¥200P『メルヘスちゃーん!!絶対対処した方がいいって!!』

:¥3000P『メルヘスちゃん気づいて!!』

フェシズ:ふふふ……大丈夫よ、みんな。

古参の神その1:だな……って何これ!?

フェシズ:私が付けたわ。初期の頃からずっと見てくれてたでしょ?

古参の神その1:いやまぁ確かにずっと見てるけど……というかその1ってことは他にもいるのか?

フェシズ:その3までいるわ

:俺のことか!?

:違ってて草

古参の神その3:いいなぁ……って私!?

古参の神その2:自覚ないのかw……俺も!?

フェシズ:ええ。これからもヘルヘスをよろしくね

:立派なママや……!

:はいはい、そういうのはスレにでも行ってやってね。で、大丈夫ってどういうこと?

フェシズ:多分、古参の神たちは分かってるんじゃないかしら?

古参の神その2:ああ分かるぞ。理由はあの蠅の魔物の能力を知ってからだな。

古参の神その1:ある意味あいつも特級戦力だよな

古参の神その3:攻撃はアレだけどね

:もったいぶってないで教えてよぉ!

:¥10000P『へへへ……これは、ほんの気持ちでさぁ』

:¥15000P『だから、ね?教えてくださいよぉ』

:賄賂で草

フェシズ:もちろん教えてあげるわ。実はね………

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ようやくここまで来た……!

この物語を思いついた時に書きたいと思ったのはここともう一つの場面なんです。

ここから筆がのりますよぉ!!


と言いたい所ですが、もうすぐ学校が始まるんですよね。

ので、いつも通りの不定期だと思います。すみません。


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