第21話 反省と改善。次なる策
「失敗だったなぁ」
僕は何をするでもなく、だた空を飛んでいた。
考えることは先日の大ポカ。
現代日本に近いことから普通は電子データにすることくらい普通分かるのに。
うっかりしてたなぁ。
いつまでも失敗の事をウジウジ言うのはダメだとは分かってる。
分かってるんだけど、やっぱり僕も人間なわけで。
………いや僕、天使だったわ。
それに空を飛んでたら何かどうでもよくなっちゃったな。自然ってすごいな。
よし!切り替えてこう。まずは反省だ。
失敗は活かさないとね。
今回の失敗、魔法少女の長距離移動手段についての情報が手に入れられなかったのは、そもそも電子データという存在を失念していたという前提条件の勘違いが原因だ。
そこを分かっていたら、また違うアプローチで情報を得ていただろう。
パッとでは全然思いつかないけど。
これを防ぐにはやっぱりこの世界の常識を知ることが必要不可欠だね。
何となくこの世界を現代日本とほぼにていると仮定して動いていたけど、現代日本には魔物はいないし魔法少女もいない。だからこのままこの世界を現代日本モドキとして動いていたら絶対にどこかしらの場所で致命的なミスを犯す。
まぁ、つまり図書館にでも通って情報を蓄積していこうって話だね。
「でも、それだけじゃ危ないよねぇ」
ミスは何よりも犯さない事が一番なんだけど、絶対にミスしないなんてことはありえない。
そのため人間は保険という補いを用意する。実際、会社はいくつもの保険をかけている。仮にかけていないとしても、それはリスクを受け入れているということだからね。
その保険が今回はなかった。というか、この調査自体が保険だったんだけどね。
でも今回は上手く行かなかった。ので、新しい保険をかけようと思う。
今度の保険は発動するだけで一定の効果を発揮するようにしたい。
今回みたいに空振っても大丈夫なように。
僕が仕掛けを施したのは全ての前線基地。
僕が合図をすると一斉に暴れ出してもらう予定になっている。
目的は魔法少女の足止め。
時間稼ぎが目的だからそれなりに厄介な魔物を配置してるし、簡単にはやられないと思う。
けど、六華と呼ばれる魔法少女の力は未知数だから、もしかしたら一瞬でやられてしまうかもしれない。
そんな場合で代わりに時間稼ぎをする策が必要だ。
「けど、そんな都合の良い策なんてあるかな?」
あ、時間稼ぎじゃなくて負傷者を増やすっていうのはどうだ?
軍師の言葉でこんなのがある。
『敵を殺す必要はない。負傷させるだけで良い。さすれば相手は負傷者に人員を割き、食料を割き、場所を割く』
いや、まんまこの通りじゃないかもしれないけど、大まかな意味はあってるはずだ。
つまり、いっぱい負傷者を出して魔法少女たちの仕事を溢れさせてやれば良い。
「いける………!いけるぞ!これならいける!」
よーし!思い立ったが吉日!
早速行動しようじゃないか!
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やって来ました!四国ー!!
ここは四国全部丸ごと魔物の領域になっていて、四大魔物と呼ばれるめっちゃ強い魔物の領域でもある場所。
そんな場所に何をしに来たのかというと………
「じゃあみんな。捜索開始!」
新しい魔物の捕獲に来ています!
もちろん配信中!
【現在反省中】精神魔法使いメルヘスの突発配信!!【戦えない配信者】
5000柱が視聴中 公開中
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:いきなりどうしたw
:配信開始と共に捜索開始ってどういう状況w
「やあ神様たち。前回の失敗を活かして新しい策を立てたんだ。今はその策に必要な魔物を探してるってわけ」
:なるほど
:反省したんだね
:ちなみにどんな策なの?
「策?端的にいうと街の中に魔物を嗾ける」
:どうしてそんな鬼畜な策になっちゃったかなぁ……
:いけない方向に進化しましたね
:前は調査だったじゃん……なんでそうなるんや
「前も今回も全ては時間稼ぎのためにやる事だからね。今回のはより直接的な妨害だけど」
:あー前は魔法少女の移動手段を潰すためにしたんだっけ?
:そういえばそうだったわ
フェシズ:遅れちゃったわ!
「あ、ママいらっしゃい。今ね、新しい魔物の捜索してるの」
フェシズ:新しい?でも空も陸も海も対応出来るんじゃないの?
:それ気になってた
:そうそう。街に嗾けるんだから海はないとして………陸?
:案外両生類系だったりしてw
「両生類かぁ。その発想は無かったなぁ。海とか大きい川があるならそれもありだね。
けど今回は違うよ。今回探してるのは地中で活動する魔物だよ!」
:地中
:地中……
:地中?
「あれ?思った反応と違うなぁ。あんまりびっくりしてないね」
:いや意外過ぎたというか……
:というか陸の魔物で良くない?
:空の魔物でも良い気が
「あーそれね……ぶっちゃけ僕も最初そう考えたんだけど、前線基地ってさ魔物が街に行かないようにしてる防壁の役割もあるのね。もちろん抜け道はあるだろうけど、そんなところで博打はしたくないからね。
空も同様。魔物って一定以上の高さに行こうとしないんだよね。だから陸の魔物より見つかりやすいかも」
:なるほど
:というか何で特級戦力を動かさないの?それで解決じゃん
:お前……
フェシズ:本気で分かってないの?
「いやいや特級戦力動かしたら面白くないじゃん。曲がりなりにも配信してるんだし、ちょうどいい塩梅ってのがあるの。それに無双系の動画は飽きたんでしょ?」
:それはそう
:意味が分からん。解決策があるなら使えばいいのに
:というか早く作戦実行してよ!めっちゃ待ってるんだけど!
:準備長すぎで笑えない
:なんか湧いて来たなぁ
「まぁ確かに無双系の動画が好きならこの配信はつまらないかもね。そういう神は後で流れるであろう活躍シーン抜粋集みたいなのを見てよ。僕は僕のやり方で配信するから」
:そうする
:切り抜き上がるの待つかぁ
:なるほど。エンタメというわけだな
「そうそう。エンタメだよこれは……ん?あ、見つけた?
じゃあ行こうか」
:どんな魔物だろうな?
フェシズ:やっぱりモグラじゃない?
:ワーム系でしょ
「どんな魔物だろうねぇ。僕のイメージだとワーム系なんだけど……流石にミミズとかはやめて欲しいなぁ」
発見した魔物について行ってみると、そこにはごろごろと大きさ様々な岩が転がっていた。
えっと………
「魔物は?」
:逃げたのか?
:いや監視くらいしてるでしょ
:じゃあどこにいるんだよ
フェシズ:まさか………
案内してくれた魔物からの思念ではこの岩たちを指しているけど……まさか!
軽く岩を蹴ってみると、岩が動き出した。
地面がひび割れて巨大な岩の塊が出てくる。どうやら地中に体のほとんどを隠していたようだ。
「デッッッッッッカ!!」
というか地中から出てきた振動で他の奴らも起きたのか立て続けに地面が揺れて岩の巨人が次々と出現する。しかも最初に出て来た個体は足を振り上げており、気のせいでなければ僕の真上のような………。
「迦楼羅っっ!!」
特級戦力の迦楼羅を呼んで回避。
念の為に呼んでおいて良かったよ。
「あぶなっ!神癒のイヤリングごと踏み潰されたら再生できないでしょ!!」
:そうじゃないと思う。
:何でそんな感想になるかなぁ……
:慣れてしまったんや……体の半分失っても神癒のイヤリングでゴリ押しする女(?)やで
「さてと……さっさと使役したいんだけど、こいつって精神魔法効くの?そもそも精神とか本能ってあるの?」
:分かんないなぁ
:ゴーレムは本当に世界によるから……
:試してみればわかるって!
「こいつゴーレムだったんだ……まぁいいや。とりあえず魅了っと………うん失敗だね」
ゴーレムは変わらず暴れてる。リーチが足りてないから脅威にはならないけど時々飛んでくる岩の砲丸が怖い。ボッ!って効果音ついてるね、あれは。すっごい勢いだった。
「じゃあいきなりの使役は……ダメか。んじゃ洗脳、もダメか」
:思わぬところに強敵が……!
:強敵?
:強敵って一方的に精神魔法受けるんですか?
:全部弾いてるし強敵なんでしょ、きっと…多分。
「んー……自失は?あ、いけた。こいつ自我あったのかよ」
:正確には違うだろうな
:お?詳しい人?
:うむ。おそらくこのゴーレムには自我、本能といったものはないのだろう。しかし代わりに条件式のようなものがあったはずだ。その条件式を満たせば特定の行動をする、というようなな。メルヘスの行った『自失』はこのゴーレムの条件式を消去するに等しい効果を発揮したのだろう。そのため今は何も行動ができないのだろうな。こいつを『使役』した状態にしたいなら何らかの方法で条件式と特定の行動を設定する必要があるだろう。方法はおそらく『洗脳』『意識誘導』『使役』のどれかだろうな。『高揚』『恐怖』などでは出来ないのは分かりきっている。
:いや長いわ!!
「なるほど。このゴーレムは受動的な生き方しか出来ないわけだ。うーん、こういう命令に忠実なのも色々使い道はあるけど、今は状況に合わせて行動できるような魔物が欲しいからなぁ」
:というか、そもそもこいつ地中で活動してるって言えるのか?
:あ。
:確かに
フェシズ:確かにちょっと条件を満たしているとは言い難いわね………
「よし!とりあえずコイツらは放置!使役方法も難しそうだし、魔物探し続行!!」
結局この後は地中の魔物を使役するまで耐久配信した。
ちなみに丸三日。そしてやっぱりワーム型だった。
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っしゃあ!課題終わったぁ!!多いんだよチクショウめ!!
っていうテンションでつい先ほど書き上げました。多分後から大幅に変更すると思います。
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