第18話 勤務地へとGo!

「みんな!久しぶり!!」


「久しぶりね火乃香。いつぶりかしら?」


「半年やな。久しぶりやな火乃香、涼菜」


今日はとても久しぶりに3人で集合していた。

それぞれの訓練が終わり、これから勤務場所の発表なのだ。

そしてついに実戦となる。


私としてはこのまま3人一緒の場所がいいんだけど、こればっかりはねぇ。


「おはようございます、皆さん」


あ、マジックヘルパーの人。

この人も久しぶりに見た気がするなぁ。


「まずは訓練お疲れ様です。報告書を読む限り、このまま実戦に出ても大丈夫だと思うほどでしたよ。今からは事前に聞いていると思いますが、所属勤務場所の発表です。前線は中々に辛い事もあると思いますが、皆さんなら大丈夫です」


「うぅ……ちょっと不安だなぁ……」


「そうね、私も緊張するわ」


「ウチは覚悟出来てるでぇ……どんと来いや!」


わぁ彩楓ちゃんすごいなぁ。

いや、私も不安がってる場合じゃないよね。

うん、ついに私も魔法少女として活動するんだ。


頑張るぞー!


「では発表します。皆さんの所属場所は………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「私、船なんて初めて乗るよ!」


「私もよ。でも3人一緒の場所で良かったわ。もしかしたらバラバラになるんじゃ無いかって心配してたの」


「まぁ向こうもなるべくマイナスな感情を持って前線に行ってほしく無いやろし、何となく分かってたけどな。しかし、南大前線が所属場所とはな」



「でも中国地方戦線でしょ?あそこは強い魔物のことなんて聞かないから安心ね」


南大前線とは名前の通り、人類領域の南側に位置する大きな戦線のこと。

中国地方戦線、四国地方戦線、九州地方戦線など複数の戦線をまとめて南大前線って呼んでるの。


もう一つの北大前線に比べると圧倒的に戦線が多くて国内最大級の戦線でもある。でも私たちが勤務するのは中国地方戦線。

南大前線の中でも比較的魔物の強さが弱い戦線だから、そうそう怪我はしないんじゃ無いかな?

というかそう思いたいなぁ………。


「でも不思議ね。陸にはあんなに魔物がいるのに海には全然魔物がいないなんて」


「確かに不思議やな。生物の起源は海っていうのが通説やのに。魔物は生物やないんか?」


「でも魔力反応自体はあるみたいだよ?それも陸地よりもはるかに大きい反応が」


その反面、水棲魔物は発見されていないから魔物七不思議の一つに数えられているだよ。

七不思議には他にも魔物はどこから来たのか、急激に増加した理由など色々ある。

まだどれも解決されていないから、仮に一つでも解決したらすぐに国に召し抱えられるんじゃないかな?



もしかしたら深海とかの人間が調査出来ないところにいたりして。

まぁ私たちにはあんまり関係ない話かな。

そんな暇があったら少しでも人間の領域を取り戻した方がいいもんね。


そうして船に揺られる事数時間。

私たちは陸に足をつけた。


「んー!長かったね!」


「せやなぁ。最初は物珍しくて楽しかったけど、何時間も見ると飽きたな」


「危うく酔うところだったわ……。それよりこの後はどうすれば良いのかしら?

行きのマジックヘルパーさんはもう帰ってしまったし」


「あ、あれじゃない?」


私たちの視線の先には軍事用の車が走っている姿があった。

車は私たちの前で止まると、運転席から人が降りてきた。


「すみません。お待たせしました。中国地方戦線基地勤務のマジックヘルパーです。

ここからは車での移動になります。移動中に勤務内容などを軽くご説明します。本格的なのは基地に戻ってからになります。ではどうぞ。あ、荷台に乗っても良いですけど、最悪振り落とされちゃうんで、そこはご了承ください」


実はちょっと荷台に乗りたかったけど、釘を刺されちゃった。

後部座席が結構スペースがあったので結局三人で後部座席に乗った。


「では出発します」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


基地についた。

勤務内容について説明はあったけど本当に簡単なものだった。

基本的には基地の人が戦力バランスの取れたチームを考えてくれて、そのチームで魔物を倒すことになるって。


ただ、回復系の魔法を身につけた魔法少女は前線勤務、チームの一員となって一緒に出動するか、後方勤務、基地内で負傷して帰ってきた人を回復するかを選択できるんだって。でも出来れば前線勤務の方が有難いって言ってた。


仕事は他にも後輩の育成だったり、政府からの依頼をしたり、多岐に渡るみたい。

もちろん強制ではなく、拒否できるけど、あまりに拒否し続けて仕事をこなさなかったら魔法少女としての立場を剥奪して元の学生に戻ってもらうって。


「では基地をご案内します。ついて来てください」


基地は姫路にあったものを再利用しているみたいで、結構住宅街の中にあった。


「何だか普通、の場所にあるね」


「そらそうやろ。山の中とかにあったら不便でしゃーない」


「それに新しく基地を建てるお金もないでしょうね」


「そっか。それもそうだね」


「それでは基地内をご案内します。といってもほとんど他の基地と変わりませんけどね」


マジックヘルパーさんの言った通りで基地内はトレーニング室、休憩室、作戦室が主だった。

他の施設は私たちが寝泊まりする生活エリアというのがあった。帰る家以外にも本屋、電気屋、小物売りなどの娯楽施設もあって、街の中にもう一つ町があるって感じ。


家も学生寮みたいな感じじゃなくて、普通の家。もちろん学生寮みたいなのもあるけど数としては圧倒的に家が多い。私たちも好きな空き家を使って良いみたい。

もし希望した家がすでに使われていたら諦める。けど、仮に相手が自分よりランキングが下なら優先権は私たちにあるみたい。


ランキングは貢献度の多い順で並んでいて、ランキング上位は何かと優遇されるみたい。

まぁ来たばかりの私たちにはあまり関係ない話だけどね。


「以上で基地内案内を終わります。明日はチーム分けがあるので9時頃に作戦室に来てください。

あ、これを忘れていました」


マジックヘルパーの人は持っていたカバンから何かを取り出して、私たちに渡してきた。


「スマホ?」


「はい。周辺の地図だったり、この基地内で活用すると色々便利になるアプリなどが入ってます。

もちろん出動の際も忘れずに持って行ってください。いざとなればスマホの位置情報を調べて救助に行きます」


「分かりました!あの、チーム分けのことは……」


「残念ながら、どのようにチーム分けをされるかは作戦部が考えることで私たちは知りません。

明日まで待ってもらうことになりますね」


「そうですか……分かりました。今日はありがとうございます!」


「はい。では失礼します」


「う〜…みんなと離れたくないよぉ」


「私も出来ればこの三人でチームを組みたいわね」


「やな〜。魔法少女になった頃から一緒やから動きやすいしな」


「とりあえず家を決めましょう。最寄りの空き家は背後のこれだけど、どう?」


「ええんちゃう?ボロボロでもないし、作戦室からもあんまり離れてないし」


「よーし!じゃあここに決定!早めに寝て明日に備えよう!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

めっっっっっっっっっちゃ久しぶりに更新しました。

早くメルヘス視点に戻りたい……魔法少女sideは書きにくいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る