第14話 戦闘訓練①

施設案内から約一週間。

私達に先生が出来た。

マジックヘルパーの人が私達それぞれの能力に似た魔法少女の先輩を選んでくれて、今から初授業なのです。


あ、あの人たちかな?

私の視線の先には三人の少女がいた。


「では今日から聞いている通り、戦闘訓練になります。先生はこちらにいる三人です。

左からバルニアさん、ガーベルさん、オキさんです。細かい自己紹介はそれぞれでお願いします。

では火乃香さんはバルニアさんに、涼菜さんはガーベルさんに、彩楓さんはオキさんについていってください」


私は言われた通り、バルニアさんについていく。


「どうも、バルニアです。ごめんね、まずは移動するからついてきて」


「あ、はい」


バルニアさんについて行って着いたのは荒野ステージの訓練場。

所々に岩とか枯れ木があるステージだ。


「さて、まずは自己紹介といきましょうか。私はバルニア。能力は爆発で普段は東北の方に勤務してるよ」


「東北って確か四大魔物の雷虎の領域ですよね」


この国には四大魔物と呼ばれる強力な魔物がいる。

突然現れ、圧倒的な力を持って特定の領域を支配している。

未だ一度も討伐されておらず、人類が領土を取り返せていない最大の要因。


「まぁそうだけど雷虎の支配領域までまだ解放されてないからね。毎日毎日魔物の戦う日々よ。

だから久しぶりに都会に戻って来れて嬉しいわ」


「やっぱり前線はしんどいですか」


「まぁねぇ。政府の人も色々コンビニとかお店立てたりしてくれてるけど、やっぱり心から休まれないというか……っと、ごめんね?愚痴聞かせちゃって」


「いえ大丈夫です。私は焚野火乃香たきの ほのかです。能力は火を扱えます。つい最近魔法少女になったばっかりです」


「よろしくね。ところで、火乃香ちゃんの魔法少女名は?」


「え、魔法少女名?」


何それ?全然知らないけど。


「ほら私、バルニアって名乗ったでしょう?そんな感じで魔法少女になったら何となく頭に浮かぶんだけど……本当にない?」


また何となくか。

魔法少女ちょっと雑すぎない?

んーーと唸りながら考える。


魔法少女名よ、出ろ!と。

すると何やら頭に名前が浮かんできた。

バーニング!と。


「………」


え、嫌だ。

嫌だよ、そんなダッサい名前!

私、女の子だよ?


なのに“バーニング”なんて男の子でも付けないようなクソダサネームはないでしょう!

と私が抗議すると別の名前に変えてくれた。

何々、フィリア?


「フィリアだそうです」


いい名前があるじゃない。

最初からそっちを出してくれれば良かったのに。


「フィリアか。いい名前じゃない。これからしばらくよろしくねフィリア」


「こちらこそバルニアさん」


と、お互いに自己紹介が終わったところで訓練が始まった。


「じゃあまず、今何が出来るのかの確認をしましょう。能力は火だったよね?

どんな事が出来るの?」


「えっと、炎を体から出す事と手から炎を継続的に出して火炎放射みたいな事が出来ます」


実はこの訓練が始まるまでの一週間。

私たちは何もしていなかった訳ではなく、各々で能力の練習をしてた。

その結果、私は火炎放射みたいな事が出来るようになった。


「ふむふむ。つまりまだまだ改善の余地ありって事だね。

よし、じゃあ少し授業をしましょう」


「授業ですか?」


「うん。フィリア、魔力の動かし方は分かる?」


「え、はい。もちろん。能力を使う時は魔力を動かさないと発動しませんし」


「そうだね。その通り。私たち魔法少女が能力を使う時、大抵の人は魔力を外に放出する事で発動するの。

けど、発動位置はどうしても体の近くに固定されちゃう」


言われてみると確かにそう。

初めて火を出した時も火を体に纏うように出た。

あれ?ということはバルニアさんの場合……


「バルニアさん、大丈夫だったんですか?」


「あはは、まぁお察しの通り、至近距離で爆発しちゃった。少し火傷するくらいで済んだよ。

けど、おかげで私は離れた場所に能力を発動させないといけなくなったわけ」


それはとても大変だったんじゃないかな?

私もこの一週間、自己鍛錬をしたおかげで魔力の扱いの難しさというのは理解した。

離れた場所で能力を発動させるなんて、そんなすごい事できる気がしない。


「じゃあ今は」


「うん。ちゃんと遠隔発動できるようになったよ。見てて」


バルニアさんが片手を前方にかざす。

すると前方で爆発が起こった。

爆発位置はバルニアさんから約2メートル。


「すごい………!」


「ありがと。とまぁ最終的には完全遠隔発動とまではいかなくとも、遠距離用の技を習得してもらう予定だよ。頑張ってね!」


「は、はい!がんばります!」


………できるかなぁ。





と、目標が決まって始まった訓練。

私はバルニアさんが魔物をターゲットに能力を遠隔発動するのを参考にしながら能力を使う。

しかし、現状は上手くいっていない。


「うーん、確かに遠距離技を習得しようとは言ったけど、火炎放射の距離の伸ばしてもねぇ。

威力も全然足りてないし」


そう、魔物をターゲットにし出してから分かった事。

それは私の火は火力が全然足りないという事。

でもさ、訓練場にいる魔物も倒せないとは思わなかったよ!


「すみません……」


「いやいや、謝らないでいいよ。こういうのを改善するために私が派遣されたんだから」


ああ、バルニアさんの優しさが心に染みる………。

でも、これはちょっとまずいよね。

訓練場にいる最下級の魔物はあくまで訓練用。


それが倒せないってことは前線に行ったら全く役に立たない。

むしろ足を引っ張っちゃうかも。

はぁ何が原因なんだろ?


「うーん、多分だけど圧縮が足りてないと思う。魔力の」


「魔力の圧縮ですか?」


「うん。あくまで私の感覚の話なんだけど、フィリアは他の魔法少女に比べて魔力量が少ないんだと思う。

だから、こう、なんて言うんだろ?魔力の密度?が他の人より薄くなっちゃって威力が小さくなっちゃってる」


え、私魔力量少なかったの?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうも、欲しいキャラのピックアップガチャが重なりすぎて石が足りない祓戸です。なんで重なるんだよぉ………

昨日は忙しくて更新できませんでした。すみません。

火乃香ちゃん、実は他の魔法少女よりも弱いんですよねぇ。

こういう第二の主人公みたいなポジの人は大抵強かったりするんですけど、弱い方がちょっと書きやすくて。本当はそれなりに強い所からスタートだったんですけど、手が勝手に弱い方へと書き換えてました。

思いつきって恐ろしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る