第15話 戦闘訓練②
「はーいもっと圧縮して〜」
「うぐぐぐ………」
私の魔力量が少ないと判明した。
あの後、バルニアさんに言われて魔力測定機、検査の時の揺り籠みたいな機械に入って魔力量を測った。
結果、確かに私の魔力量は少なかった。
その日はもうそれで解散したんだけど、家に帰ってから落ち込んだよ。
私は助けてくれた魔法少女みたいになれないのかなって。
ベットの枕を濡らして、そのまま眠った。
そして気持ちの整理が付かないまま今日も魔力の圧縮の訓練をしてる。
バルニアさん曰く、魔力量を増やすのも大事だけど今は魔物に効く能力の使い方を身につけないとダメとの事。そうだよね……私の能力のまだ最下級の魔物にも効かないんだ……。
「コラーフィリア!集中を乱さない」
「あ、すみません………」
つい余計なことを考えちゃった……。
ダメだなぁ私。
「………ここ数日触れないようにしてたけど、訓練に身が入らないようなら放っておくことはできないなぁ。魔力量の事気にしてるの?」
「……はい」
「そんなに気にしないで良いのに……極論、魔法少女なんて魔物さえ倒せれば良いんだから」
「………でも私、最下級の魔物さえ倒せないじゃないですか」
「いや、だから今訓練してるんだけど………あぁもう!魔力量が少ないくらいで何よ!
世の中にはフィリアより魔力量が少なかったり、一切放出できない魔法少女だっているんだよ?」
「……一切魔力を放出出来ない?本当にそんな魔法少女がいるんですか?」
その魔法少女の人はどうやって魔物と戦っているんだろう。
怖くなかったのかな。
「いるよ。ほら、オキがそう」
「オキさんですか?」
確か彩楓ちゃんの先生だよね。
刀を持っててかっこいい雰囲気の人。
「そうアイツ。ちょうどいい。ちょっと見に行ってみよう」
そう言いとバルニアさんは歩き出した。
彩楓ちゃんの所に行くんだろう。
ついて行って着いたのは闘技場のステージ。
コロッセオがモデルになっててそこそこ広い。
そのコロッセオの中心で彩楓ちゃんとオキさんが試合をしていた。
互いに得物は刀。しかし、対等な条件と言われると違う。
オキさんは片手を後ろで縛り、右目を目隠しで覆い、さらに左足に長い棒を括り付けていた。
対して彩楓ちゃんは何も縛りがない。
圧倒的なハンデ。しかし肩で呼吸をして、汗を流しているのは彩楓ちゃんだった。
「嘘………」
「信じられないだろ?オキは魔力が放出出来ないけど、代わりに刀剣の扱いは異次元なんだ」
彩楓ちゃんが刀を構え、オキさんに大きく弧を描きながら接近する。
ちょうどオキさんの背後をとった所で彩楓ちゃんが刀を振る。
しかしオキさんは左足を軸に回転し、正面から受け止める。
いや、受け止めていない。水が流れるように自然に受け流した。
彩楓ちゃんは体勢を崩して前のめりによろける。
オキさんはそのまま彩楓ちゃんの首に刀を添えた。
彩楓ちゃんは両手を上げて降参した。
そして再び試合が行われる。
「オキは魔力放出が出来ない代わりに身体強化が頭一つ抜けてる。だから魔物の討伐スコアは低いけど対人戦なら六華にだって劣らないんだよ」
私は暫く、二人の試合に魅入っていた。
魔力が放出が出来ない。それは魔法少女をする上で大きなハンデ。
しかしオキさんはそんな事を微塵に感じさせなかった。
何故だろう。それは刀剣を扱うのが上手いから。
ハンデを感じさせないほど強いからだ。
「バルニアさん、ありがとうございました」
「もういいの?」
「はい。やるべき事は決まりました」
「ふふ、そっか。じゃあ訓練再開だ!」
必ず、私も強くなってみせる。
「バルニアさん。やっと見つけました」
「あ、マジックヘルパーの人。どうしたの?」
「どうしたの?じゃないですよ!魔物!倒し過ぎなんですよ!補充が追いつかないじゃないですか!」
「そ、それは……」
「言い訳は良いです。後で始末書提出してくださいね」
「……はい」
………けど、ほどほどにしないとね!
「あ、こっちです。すみません、このステージにお願いします」
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「あ、こっちです。すみません、このステージにお願いします」
「はーい。こちらの荒野ステージでよろしいですか?」
「はい。すみません、もしかしたらまたお願いするかもしれません」
「はは、大丈夫ですよ。では爆弾を埋め込みますので」
「お願いします」
「じゃあ時が来るまで繁殖と潜伏だ。よろしくねベルゼ」
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