第13話 施設案内



「今現在いるのはトレーニング場です。施設の半分以上を占める場所で、サッカーのコートのようにただ広い場所もあれば、アマゾンのように密林になっている場所もあります」


私たちはマジックヘルパーの人に付いて行って施設案内をしてもらってる。

と言ってもほとんどがトレーニング場だけどね。


「ほんまに広いなぁ。他はどんな施設があるんや?」


「休憩室と作戦室が主ですね。この三つはどこの拠点でもあります。

ここの拠点ではありませんが、魔法少女のことが色々記してある資料室がある拠点もありますよ」


「ではトレーニング場の種類はいくつあるのですか?」


「種類ですか………そうですね、ざっと8種類ほどですかね。

ですが、実戦での環境から、ほとんどの魔法少女はビル群だったり荒野のステージで訓練してますよ」


あ、そっか。

魔法少女が戦うのは元々人間の領域を取り戻すためだもんね。

そりゃあ似た環境で訓練する方がいいよ。


「では移動しましょう。休憩室に行きます」


マジックヘルパーの人はそう言うと歩き出した。

私たちはそれについて行く。

歩いている通路の左右を見るといろんな環境のトレーニング場がある。


さっき言ってた荒野のステージやアマゾンステージ。

雪が吹き荒れるステージなんかもある。

…………ん?アレって………


「すみません」


「はい、どうかしましたか?」


「あそこにいるのって……魔物、ですか?」


私がそう言って指差している先には肌が緑色で腰布を身につけ、棍棒を振り回している所謂ゴブリンと言われる魔物がいた。え、何でいるの?危なくない?


「ああ、ゴブリンですね」


やっぱりゴブリンなんだ。


「えっと、大丈夫なんですか?」


「はい問題ありません。あれはこの施設で飼っているゴブリンです」


ちょっと待って。

今ゴブリンを飼っているってパワーワードが聞こえた気がするんだけど?


「それってどう言うことなのですか?」


「色々使い道があるんですよ。研究する時のサンプル、あなた達魔法少女の戦闘訓練の相手、対魔物兵器のカカシ役などですね」


うわぁ、流石に魔物とは言えちょっと同情したくなる程の待遇だなぁ。


「なるほどなぁ。で、アレはこっから逃げ出さんのか?」


「はい。このガラスは特殊な技術で作られていまして、あのゴブリンがいくら叩こうと壊れることはありませんよ」


そんなすごいガラスだったんだこれ。

でも銃弾を防ぐガラスもあるくらいだし、おかしくはないのかな?


「それに万が一の場合は頭部に埋め込まれている爆弾で処理できます。

後々学ぶと思いますが魔物は脳か魔石を破壊すると活動を停止するんです」


…………ゴブリン哀れ!!


「着きました。ここが休憩室です」


休憩室はたくさんの机とソファがあって、暖色系の光で程よい暗さのリラックスできる空間だった。

何となく高級ラウンジってこんな感じなんだろうなって思った。

あ、カウンター席もある。


「休憩室では簡単な食事と飲み物を利用できます。職員はいないのでセルフですけどね。

それとここにはありませんが、最前線の支部には魔力を少し回復できる機械が置いてあります」


「−–ッ!」


「嘘、やろッ!?」


「魔力って回復できるんだ………」


魔力に関することはさっぱりだけど、本当にすごいことを成し遂げた事は分かる。

だって魔物達が初めて確認されたのが5年くらい前だよ?

すごい天才がいたんだね。


「最後に作戦室ですね。近くにはあるんですが、魔法少女の人はあまり立ち入りはしないんですよ」


「そうなのですか?むしろ一番出入りするのかと」


確かに。

こう、作戦室に入って常に戦場の様子を確認してるイメージ。


「あはは。まぁ実際に見てもらった方が早いかもしれませんね。こっちです」


そう言ってマジックヘルパーの人が歩き出す。

作戦室は結構近くて徒歩2分くらいの場所にあった。

作戦室は映画でみるようなのと全く同じで、たくさんのパソコン、大画面のスクリーン、後ろの高い場所にガラスで覆われた特別な部屋があった。


そこにたくさんの人がパソコンと向き合っていて、ちょっと声をかけにくい雰囲気を醸し出していた。

うーん、確かにこれはずっと居たいとは思わないなぁ。

私たちは作戦室をそっと出た。


「と、感じてもらった通り、中々に入りにくいんですよ。精々出動する時や作戦を聞く時に入るくらいですね。あそこで働いてる人も結構忙しいのでお互いの為にあまり出入りはしないようにしましょう」


「分かりました」


「雰囲気あったなぁ」


「もうそんな勇気ありませんよ……」


何人か振り返って私たちを見た人がいたんだけど、パソコンを見過ぎてなのか目が血走ってたんだよ……。

悪気はなかったんだろうけど本当に怖かったんだよ!!

絶対必要最低限しか入らないからね!


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あとがき


ちょっと書きたい場所までの道のりが長くて心折れそうな祓戸です。

この施設紹介も本当は『訓練場がほとんどであとは休憩室と作戦室があるんですよー』『へー』で終わらすつもりだったんですけど、一応この物語は暗躍タグつけてるので、後々工作できそうな場所の描写はしっかりしたいんです。


偶にある、“え、この施設こんな機能あったの?なんか後付けばっかでちょっとなぁ“みたいな事を避けたいのです。どうせなら“あ、こんな描写あったな!“的なコメントを頂きたいので色々ばら撒いてるのです。なので展開はものすごく遅くなりますが、できるだけ早く面白い描写ができる場面に持っていきます。がんばります!

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