第2話プロローグ兼説明回(2) 改稿完了
「提案?」
「ええ、精神魔法を取ってくれない?
便利アイテム付けるから、ね?」
何だか怪しい勧誘みたいだなぁ。
「えーと…精神魔法、精神魔法………あった。
何々?」
精神魔法:相手の脳、認識に干渉し、精神を操る魔法。理性のある相手にはかかりにくい。
「ふーん。搦手系の魔法だね。
で、何でこの魔法を取って欲しいの?」
「アンケートの結果よ」
「アンケート」
めちゃめちゃ意外な単語が出てきたから思わずオウム返しをしてしまった。
えっと、神様だよね?
「ええ、次の転生者にどんな魔法を取って欲しいのかアンケート。
そこで堂々の一位が精神魔法なのよ」
「そりゃまた何で?」
「うーん、これは配信活動と関係があるから、そっちから説明させてもらうわね」
「うん?精神魔法と配信活動にどんな関係が?」
もしかして配信を通して洗脳してほしいの?
………そんなわけないか。
「まぁ、どんな関係か気になるわよね。簡単に言うと集客が見込めるのよ」
「配信にたくさん人が来てくれるようになるってこと?」
「ええ」
そりゃあ、アンケートで一番の魔法を使うのは集客効果はある。
けどそもそもの話、何で集客の必要があるのさ?
そこのとこを聞いてみると
「集客は結構大事よ?配信活動の説明と同じなのだけど……」
何でも転生特典魔法とは別に配信魔法という魔法が授けられるらしい。
配信魔法は配信するために生み出された魔法で、場面にあったカメラワーク、質の良いマイクの代わり、投稿者や視聴者の両方に配慮した編集、そして投稿までしてくれる優れ魔法。
うん、確かに便利だ。
けど、なんか魔法ってそんなので良いのかって思ってしまう。
破壊魔法とか見たあとだから余計に。
まぁそもそも何故そんな魔法を授けてくれるのかって話だけど、それは神々の娯楽のためらしい。
神様ってのは不滅の存在で、基本的に消えることはない。
そして神界は何もない真っ白なところ。
そんなところにうん千年、うん万年もいたら気が狂ってしまう。
仕事はあるらしいけど、神様なので、片手間で済んでしまう。
暇を持て余した神々は立ち上がった。
退屈という永遠の渇きを潤す娯楽という雫を得るために。
そんで試行錯誤の末、出てきた方法は天使に配信させること。
最初は魂から体まで全て創造した完全人工、いや神工天使に配信をさせていた。
しかし神工天使はとても機械的だったので、大した内容の動画は作れず、すぐに飽きていったそうな。
このままだとまたあの渇きの日々に戻ると危惧した神々は次の案を出した。
それは元人間の魂を転生させて配信させるという案。
結果は大成功。
神々は数多くの娯楽を手に入れた。
が、これも途中で問題が出てきた。
投稿される動画の質が下がってきたのだ。
理由は簡単。天使たちの気力が尽きたのである。
ここで天使たちの立場になって配信活動を見てみよう。
衣食住の保証なし。
報酬なし。
持たされたのは転生特典魔法というほぼほぼ戦闘にしか役に立たない魔法のみ。
しかも不老である程度の戦力を持つため、下手すればこの待遇が永久に続くのだ。
地獄である。
天使は憤怒を通り越して、悟りを開き、悟りを超越し、機械になっていった。
神々は大いに悩んだ。
どうすればある程度のクオリティーの動画を永久的に得られるだろうかと。
それはもう悩んだ。
具体的にいうと五百年くらい。
ちなみにその間も転生した天使たちは死んだ目を通り越して、無機質な目をしていたそうな。
そんな長考の末、出来たのがポイントシステムだ。
配信者は配信をすることによってポイントを獲得。
ポイントはギフトカタログに載っているアイテムの購入に利用できる。
ポイントを獲得できる方法は多い。
生配信、投稿問わず、配信を一回するたびにポイントを獲得。
更にその配信のいいねの数×2ポイントを獲得。
スーパーチャットにて投げられた数のポイントは配信主に100%帰属。
チャンネル登録者数分のポイントを一ヶ月に一度獲得。
メン限の人数×2ポイントを同じく一ヶ月に一度獲得。
他、神がスポンサーに付くことがあるそうなのだが、その神がグッツなど作って売った分のポイントも配信主に帰属。
まぁ他にも配信主が思いついたことをママ(転生させた神)に提案し、許可されればその方法も追加される。あと天使も動画は見れるらしい。
どんどんインスピレーションを受けて面白いのを作って欲しいからだそう。
アイテムも数多くある。
美食や数多くの文庫。神器や転生特典魔法まであるんだとか。
このポイントシステムを追加後、天使たちが狂喜乱舞、歓喜鼓舞したそう。
色々話が膨らんだけど、要するに俺の今後を考えると精神魔法を取った方がいいよとフェシズは提案してくれたみたい。
「ふむ。話は分かったよ。精神魔法をとった良いっていうのも」
「じゃあ……」
「けど、だからこそ疑問がある。何で精神魔法を取ると便利アイテムまで付いて来るの?
あの話を聞いたらむしろ勧めてくれたことを感謝するくらいなのに」
「それはねぇ、今人気の動画の傾向が無双系の動画だからよ。
転生特典魔法を使って圧倒的な力の差を持って相手を倒すみたいなのが流行ってるのよ」
あー………。
それは……
「確かに、それは精神魔法を勧めにくいね……」
思いっきり搦手だからね。
絵面的に地味だし。
「つまり最初の集客は見込めるけど、それ以降は厳しいってことだね」
「ええ。だから何かアイテムをあげて凌いでもらおうって思ったのよ」
ふーん。そのニュアンスだとアイテムは戦闘系のものが多いのかな。
「とりあえずアイテムの一覧みたいなのない?」
「ちょっと待ってねぇ……はい」
「ありがと。わ、いっぱいあるねぇ」
廻焔魔剣リーバティン:強力な焔を纏う魔剣。その焔は敵を害し、味方を癒す。
電荷粒子収束砲Mrc2:魔力をチャージすることによって強力な電荷粒子を撃ち出
せる。
秘匿死霊帝の魔導書:とある世界の死霊を統べた死霊帝と呼ばれた人物の秘匿魔
導書。
.
.
.
うーん。見事に戦闘用ばっかり。
いや、そっちの方が便利なのは分かってるんだけど……
僕が考えてることができる世界なら戦闘用はむしろ要らないんだよね。
「ねぇ、先に転生する世界の事を教えてもらっていい?」
「あら、転生してくれるの?」
「面白そうだからね。イタズラ好きな僕の血が騒ぐんだ」
「そう。じゃあ説明しましょう。あなたが転生するのは前世とほぼ同じ世界」
おや?ちょっと雲行きが………
「けどちゃんと違うとこもあるわ。当然ながら歴史も違うし、地名も違う。
何より魔力があって魔物がいて、それに対抗する存在もいる」
「現代ファンタジーって事?」
「ま、そうね」
ほうほう。ほうほうほう!
いいね!なら………
「転生するよ。種族は天使で、転生特典魔法は精神魔法。便利アイテムは神癒のイヤリング。
あと、見た目弄らしてくれない?」
「はいはい、精神魔法でアイテムは……え、これでいいの?」
「うん。僕的にはこっちの方がいいの」
「まぁ本人の自由だから良いんだけど。それと見た目弄るの?
ちょっと待ってねー。はい」
目の前にウィンドが現れる。
そこにはゲームの見た目変更の感じでたくさんの変更項目があった。
「色々変更できるね。よーし、傑作を作ろう」
そこからいろんなパラメータを弄った。
髪色変えて、目の色変えて、服も指定して。
出来上がったのは10歳くらいの子供で、髪が肩にかかるくらいの白。
目は深い青色。フードのついたマントコートを着て、何故か目の辺りが影になっていて、少し怪しい雰囲気。チャームポイントは耳につけた神癒のイヤリング。神聖な雰囲気がより不思議な雰囲気を作り出す。
テーマは男女に好かれる中性。子供って10歳くらいまでだったら、髪をいじれば中性的になるからね。
やっぱり、精神魔法を使うなら中性的じゃなきゃ(偏見)
「終わったかしら?」
「うん。バッチリ」
「じゃ、そこの扉を潜ってちょうだい。そしたら転生するから」
「了解」
「あなたが人気配信者になる事を祈ってるわ」
「神様が誰に祈るんだよ。自分自身?」
「気分よ、気分。配信、楽しみにしてるわ、
「うん。ありがと
「いやぁ本当に助かるわぁ。最近の動画無双系ばっかりで飽き飽きしてたのよ。
これで新しい内容の動画が見れるってわね」
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