第3話 ここどこ〜?改稿完了



「………どこだろ、ここ」


僕ことメルヘスは転生した。

転生の間(僕命名)で色々決めたあとに扉を潜るように言われて、潜ってみるとそこには一面に広がる雄大な自然。グランドキャニオンに植物が生えるとこんな感じなのかなって景色だった。


フェシズは地名は違っても地形については何も言ってなかったのを思い出して

とりあえず異世界日本(僕命名)に向かうことにした。

うん、天使はデフォで飛べるから西方向へ飛んでいたんだよ。


けど飛べど飛べど一向に陸が見えてこない。

見渡す限りの海。

………僕って方向音痴だったんだね。


それにしても飛んでいてもあんまり体力は消費しないんだね。

もう何時間も飛んでるけど筋肉痛とかもない。

うーん便利な肉体だけど、これって疲れないんだからどんどん動画更新しろって神様からのメッセージじゃ………違うと思いたい。


さて流石に景色も見飽きたので何か変化が欲しいところ。

というかここ本当に魔物いるか?

グランドキャニオンらしき場所から色々唸り声とか聞こえたりしたんだけど。


海って魔物いないのかな?

いや、でも魔力は感じるしなぁ。

あ、そうだ。魔物に襲われても良いように精神魔法の練習だけしようかな。


「まぁ辺り一面海だけど、一応ね」


というわけで行動開始。

まずは魔物を呼び寄せます。

どうやってするかは知らないけど、まぁ魔力振り撒いてれば来るでしょ。


戦力はあって困るものではないので目一杯振り撒く。

お、来た。体調が2メートルくらいの蛇みたいなやつ。

まんま海蛇だね。サイズおかしいけど。



「さて精神魔法の実験だ。理性がある相手には効きにくいみたいだけど、魔力に釣られる程度なら大丈夫でしょ」


でもどうやって使うんだろ?

うーん、ヘルプみたいなのないかなぁ。

すると何故か配信魔法が反応する。


「え、なぜに?」


あ、配信魔法のアカウントのところが光ってる。

何々?


アカウント名:メルヘス

所持魔法:精神魔法……相手の脳、認識に干渉し、精神を操る魔法。

     理性のある相手にはかかりにくい。→洗脳、魅了、意識誘導、使役、

     自失、高揚、恐怖などができる。イメージをしながら魔力を相手に絡

     めつけるようにすると成功しやすい。

所持アイテム:神癒のイヤリング

所持ポイント:0ポイント

チャンネル登録者数:0人


何これ便利ー。

もう配信魔法だけで良いんじゃないかな。

それにしても洗脳、魅了、意識誘導、使役、自失、高揚、恐怖……できる事物騒だな。


おっと、海蛇の事忘れてた。

えーと、イメージをしながら魔力を絡めつけるだよね。

まず海蛇を魅了。


魔力を絡めつけるようにぶつけると海龍を怪しい紫紺の魔力が覆っていく。

あれって僕の魔力?

ひたすら怪しいな。


魔力が頭を覆い終わるとそのまま海蛇に吸収されていった。

………成功かな?

試しに手を振ってみる。ハーイ。僕はメルヘスだよー?


あ、キューンって鳴いてくれた。可愛い。

じゃ次は洗脳。こうやって徐々に支配して行く方が成功率高いでしょ。

再び怪しい紫紺の魔力が覆って、頭に吸収される。


「やぁ海蛇。言葉が理解できるか分からないけど、とりあえず抵抗はしないでね?」


最後に使役。一際怪しく光る僕の魔力が海蛇に絡みついて吸収される。

成功、したかな?


「お手、はできないか。じゃあジャンプして」


そう命じると海蛇はそのしなやかな体を捻り、まるでイルカショーのイルカのように綺麗なジャンプをした。おお、すごいじゃないか。


「うんうん。成功だね。一発でできるとは思わなかったよ」


使役できたのを確認できたので海蛇に近づく。

すると海蛇も僕の方によってきて、体をすり寄せてきた!

か、可愛い……!!


見た目完全に爬虫類だから無理な人は無理かもだけど、僕は全然大丈夫!

逆に無理な人はこう考えてみて欲しい。海蛇を猫に置き換えてみるんだ。

猫が擦り寄ってきて、顔を自分に擦り付けるアレ。


可愛いでしょ?ま、でも可愛さとかの見た目は僕担当だからどうでもいいんだよ。

問題は戦闘能力があるかどうか。魔物だから戦えると信じてるよ!

仮に戦闘能力なくても大丈夫。ちゃんと育成するよ。


魔物なんだから進化くらいはするよね?

ま、何はともあれ戦闘能力の確認からだね。


「ねぇ海蛇。適当に戦ってくれる?」


僕がそう命じると海蛇は海に潜っていった。

獲物を探しに行ったのだろう。


「さて、海蛇が戻ってるまで色々計画を立てておこうか」


最初にやるべきは戦力の確保。とりあえず陸海空の魔物を使役したいんだよね。

今は海の戦力しかゲットしてないけど、メインで使うのは多分、陸空の魔物になると思う。

ま、でも今は海蛇を強化するのが最優先かな。


陸海空の魔物に一体ずつ特級戦力を確保して、あとは必要になったら都度補充すればいい。

階級付けとかしてもいいかもね。固有名詞は多くの人を惹きつける。

そんなことを考えていると海蛇が戻ってきた。


「怪我しちゃってるねぇ。ほら回復してあげるよ」


神癒のイヤリングを使って怪我を癒す。

本当は僕が魔物に突っ込んで常時回復しながら攻撃する為に選んだんだけど、一発で成功したからこんな使い方になっちゃった。死んでなかったらどんな怪我でも治すから、育成にちょうどいい。


そういえば、魔物ってどうやって進化とか強化するんだろ?

配信魔法で………分かったりしないよねぇ。

うーん………魔物本人に聞いてみるか?


「ねぇどうやったら君は進化するの?」


尋ねてみると意外にも返答があった。

と言っても言葉で帰ってきた訳ではなく、こう、思念が直接流れ込んでくる感じ。

その思念によると


「魔力を大量に摂取するかぁ」


より詳しく聞いてみると、魔物は存在の約70%ほどが魔力で構成されているらしい。

そして魔力を大量に摂取すると肉体と魔力の構造比が崩れ、より大きな魔力に耐えられる肉体が構築される。これが進化。ちなみに強化は進化するほどではない量の魔力を摂取した時に肉体が徐々に適応することらしい。


魔力の摂取方法は色々ある。分かりやすいのは他の魔物を襲うこと。他の魔物を構成している魔力を食らって進化。他にも長い年月をかけて空気中の魔力を取り出して進化とか他の存在から直接魔力を注ぎ込まれて進化とか。


つまり海蛇を進化させるのに一番効率的なのは、僕が魔力を注いで、僕の魔力を回復させている間に海蛇は狩に行く。


「そうと決まれば実践あるのみ。じゃ、魔力注ぐよー」


さて、魔力を注ぐ………どうすればいいんだろ?

あ、魔法使った時はイメージをしながら使ったから逆に何も考えずにすればいいんじゃ。


「んー。こんな感じかな?上手く行ってる?」


上手く行ってるらしい。上機嫌な思念が届いた。

さ、魔力注入はここまで。

狩りに行っておいで。


海蛇は魔力を注がれて興奮していたらしく、大きく水飛沫を上げながら海に潜った。

うん、びしょびしょ。

これ乾くかなぁ。









実は動画の人気傾向を聞いた時から思いついていた事がある。


別に本人が無双しなくても良いじゃないかって。

そりゃ動画の主人公が無双してるのは面白いだろう。

まるで自分がその立場になったかのように錯覚することだってできる。


僕がいた前世日本でも無双系は人気ジャンルだ。

けど、視聴者は神様なんだよ?

配信者に無双できる魔法をなんだ。


今は戦うって事が神界では起こらないから人気を博しているんだと思う。


なら絶対にいつか飽きが来るはず。

となると次に来るブームは何だろうか?

まぁこれは個人個人で思う答えがあると思うんだけど、僕は頭脳戦、もしくは成り上がりだと思ってる。


特にその両方を満たした“スキル弱いけど試行錯誤、小手先の技術で強敵と渡り合う“みたいな内容は流行ると思う。

ここで僕の持っている精神魔法は?


どう見ても戦闘向きじゃない。

アイテムは回復系。

あとは肉体のスペックだけど、目立った能力はない。


精々鍛えた成人男性くらいの肉体と飛行能力。

それでどうやって魔物に対抗しろと。

その答えが魔物には魔物をぶつければ良いじゃない理論。


あと、魔物を使役するって悪役みたいじゃん。

悪役も一定の需要あるし。

そういうわけで、とりあえずは海蛇の育成期間かな。


陸を目指しながら道中の魔物を狩ってもらおう。

大丈夫。時間はたっぷりあるんだ。僕の納得のいくまで強くなってもらうよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




よ、ようやく陸についた………。

何日ぶりだろ?

一週間から先はもう覚えてないや。


まぁどう見ても大陸じゃなくて、海に浮かんでいるそこそこの大きさの島なんだけどね。ははっ!

はぁ……見える範囲に人は見えないし、無人島かな?

魔力が動いてるのが感じられるから魔物はいるみたいだけどね。


倶利伽羅……あ、海蛇の名前ね……は適当に島の周りを泳いで貰ってる。

いやぁあの子が強いのなんの。

適当に海にいる魔物と戦わせていたんだけど圧勝。


最終的に渦で相手を巻き込んで終わらせた戦闘もあったしね。

いくつか倒した魔物は使役して、配下になってる。

多分もう数百匹いるんじゃないかな。


できれば陸の戦力と空の戦力も欲しいところだね。

さて、ではこのジャングルを探索していこうかね。

こういうジャングルだと蚊が持ってる病原菌が怖かったけど、こっちの世界にもあるのかな?


それにしてもジャングルなのに、あまり暑くはないんだね。

この世界のジャングルは暑くないのか、それともこの天使の体がハイスペなのか。まぁ後者だろうね。


とりあえずジャングルの中心部に行って魔力を放出しよう。

どんな魔物が現れるかな。

少し時間をかけてジャングルの中心部に到着したので魔力を放出する。


が、時間が経てど一向に魔物は集まらない。


「あれ?魔物は確かにいるはずなんだけどなぁ」


そんなことを呟いていると、突然僕の腕が消えた。

一拍置いて襲いかかって来る激痛。


「ぁ!ぐっ………いったぁぁぁ!!」


何をされた?

魔物か?

近くにはいなかったはずだ!


「神癒のイヤリング……発動」


イヤリングに魔力を込めると効果が発動し、腕が生えてくる。

けど痛みがまだ残ってる。


「本当、回復系のアイテムを取っておいて良かったよ……

にしても本当に痛い」


損傷は治ってるから幻痛なんだろうけど、未だにジンジンする。


「さて、どうやって使役しようかな。まず相手の姿が見えないことには精神魔法が使えないからなぁ」


精神魔法も範囲攻撃みたいに範囲洗脳とかできないかな。

うーん、魔法ってイメージと魔力操作次第で結構何でもできそうだし、行けそうだけどなぁ。

イメージ……範囲洗脳はあんまりイメージつかないなぁ。


洗脳って個人にかけるものって認識があるし。

となると………魅了?

範囲魅了……行けそう。


魅了をイメージしながら一定範囲に僕の魔力を振り撒く。

香水を振り撒くように、愛嬌を振り撒くように。

ちょっとするとジャングルの木の上からジャガーみたいな魔物が降りてきた。


ジャガーはそのまま僕の近くに寄ってきて体を擦り付ける。

手を出してみるとゴロゴロ言いながら首を撫でさせてくれた。

か、可愛い……!!


ジャガーの他にも大小様々な虫の魔物、ドライアドやフェアリーみたいな妖精まで寄ってきた。

範囲魅了ってすごい。

一匹一匹丁寧に使役していく。


ついでにジャガーに島を案内してもらいながら島中の魔物を使役して回った。

丸二日かかったけど、全部の魔物を使役できた。

うんうん順調だね。






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読んでくださってありがとうございます。夕方頃にもう1話投稿する予定ですので、是非読んでみてください。

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