ジェリアvs
どうやらルロイとの喧嘩(?)も終わったようで
ジェリアとルロイは互いにそっぽを向いて帰ってきた。
(この二人、やっぱり互角なんだな…)
改めてルロイの凄さを感じた。
数が少ないため詳しいことは分からないが
これまでルロイとまともに張り合えたのは、ルーナ様とジェリアだけ。
この二人がまともな物差しでは計れないため
詳しいことは本当に分からないが、
一つだけよーく分かるのはルロイもすでにバケモノレベルということ。
御前試合第三回戦。
満を持してジェリアが登場する。
◇◇◇
舞台の上から伝わる緊張感が場外にも伝わるのか、
見ている竜人族は全員口をつぐむ。
「どうしてあなたが部外者の肩を持つのかしら?
私たちは誇り高き竜人族、他の力を借りるのは恥。
教わらなかったの?」
「生憎、こっちはこんな塞ぎこんだ場所でやってるおままごとに興味ないから。
こんなところに引きこもってちゃ、そうもなるわよね。
そろそろ目、覚ましてみたらどう?」
「目、覚ますのはあなたの方よ!!」
ジェリアの挑発に乗ってしまった竜人族の少女が
ジェリアに襲いか掛かろうとしたものの軽くいなされた。
それどころかその力を利用されて投げ飛ばされている。
その手捌き、体捌きの全てがあの人と重なって見えた。
僕は知ってる。今、ジェリアがやったあの技を。
孤児院にいた時、ルーナ様がジェリアにやって見せた技。
「こんなものかしら?竜の力を使える竜人族が
ただの体術で転がされてどうするのよ?」
転がった少女を尻目にジェリアは吐き捨てた。
「これはね、あんたらが見下してる人間の編み出した体術よ。
これでもまだ力が全てなんて言うのかしら?」
もしかしてジェリア…
魔法を一切使わずに戦う気じゃ…
ジェリアが僕の存在に気付いた。
こっちの考えを見抜いてか見抜かずかは分からないがサムズアップ。
…いやな予感がする。
「あなた…私たち誇り高き竜人族をバカにする気なの…」
「あんたらがここでホコリかぶってる間に私は世界を見たわ。
知ってる?世界にはね私を赤子みたいに転がす奴もいれば、
魔法を得体の知れない使い方する奴だっているの。
そろそろその凝り固まった考え、捨てたらどう?」
ジェリアと向かい合う少女に額に青筋が浮かんだ。
「正しい竜人族になるための教育が必要ね。
その魂に刻み込んであげるわ、力こそが全てってこと。
私たち竜人族がその頂点に立つってこと!!」
捲し立てる少女に向かって
静かにジェリアが腕を伸ばした。
「力に固執するのは私が最後でいいの。」
舞台の周りに張られた結界がミシミシと音を立てて軋む。
二人の間には今、それほどに莫大なエネルギーが集まっていた。
「
「
放たれた魔法によって結界が激しく揺れて軋む。
少女の放った炎はまるで竜のように
ジェリアの魔法を飲み込まうとしていた。
竜が噛みつくかのように、牙を突き立てるようにして
向かい合って放たれた魔法を破ろうとしている。
(ジェリア…)
「いや、あれはクソ女の方が勝つな。」
突如、ひょっこり横から飛び出したルロイがそう言ったことで
僕の意識は現実へと引き戻された。
「それってどういう…」
「見てれば分かる。」
腕を組んでじっとぶつかり合いを見守るルロイ。
でも僕には今どっちが押しているのかすらも詳しく分からない。
その時だった。
ジェリアが魔法を放つ手の形を変える。
さっきまでは開いていた手のひらを閉じ、人差し指だけを立てた。
同時に出力が上がる。
一気に炎を押し始めた。
「手を広げてればその分広範囲を対象にできる。
だがあの女はそれを一点に絞った、だから出力が上がってるってわけだ。」
「さっきの喧嘩でやられたからな」と言って笑いながらルロイは語る。
そう言っている間にも
ジェリアの魔法は対峙する炎をかき分け、消滅させていく。
「これで…終わり…」
ッジェリアの口がそうつぶやいたように見えた。
同時に赤の光線が炎を切り裂き、少女の頬をかすめる。
「どう?まだやる?」
へなへなと座り込む少女。
審判は戦闘不能と判断したようだ。
「勝者、ジェリア。」
ジェリアが勝った、ルロイも勝った。
残るは僕だけ。頑張らなくちゃ…
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