第2話
バタバタバタ…
「院長、大変です!あの子が…C―2516kが記憶を取り戻しています!」
暗い部屋のなかで、僕はアオの為に情報を集めていた。アオだって…感づいてはいるだろう。ここは実験施設だ。それも…人間が人間を遊ぶために使うための実験をしているんだから…。表向きは病院、裏の顔は収容所兼実験施設…。ここで僕は産まれた…。
―9年前…ソラが5歳の時
お母さんは僕に言った。
「ソラ…ごめんね、貴方には本当はこの施設の管理者になって貰うつもりだったの…」
僕は安堵する。ここの管理者なんてごめんだ。
「でもね、貴方…とても人気があるの…青空のような透き通った水色の髪に、雲をそのまま写したような瞳…」
僕はお母さんの声が変わったことに気がついた。
そうだ…僕は愛されてなんかいないんだ…
今、思い出した。僕はこの容姿のせいで気に入られて、毎日のように殴られ蹴られ…洗脳の為に…薬を投与されていた…。
僕はお母さんに向かってこう言った。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ痛いのは嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!もう嫌だよ!辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい!」
そんな僕を見て母さんは嘲笑った。
「ふふっ…可愛いソラちゃん…今、首輪をつけてあげる…」
パチッ…
僕の首にチップと番号が入れられる。嫌…誰か助けて…
―現在に戻る。
今思い出しただけでも吐き気がする。あの出来事から9年たって僕は自殺した。そして…僕が死んだ部屋に…アオは居るんだ…
アオは…僕と同じぐらい綺麗だ…
アオという名前に合わない夕焼け空の紫色の髪、太陽の色をしたオレンジの瞳…
狙われてる…すぐ分かった…僕が居なくなったからって…アオを外から連れてくるなんてサイテーだ…
アオは…一体どうなるんだろう…
「…本当か?クソッ…せっかくソラに代わる個体を見つけたのに…」
あぁ…アオ…僕が悪いんだ…ごめんね…
もし僕が生きていたなら…君に飼われたかったな…
ソラは彼女へ思いを馳せてそのまま暗い部屋の中で眠った。
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