第58話 潜在能力
「ここが儀式の場よ」
そこには広い石でかたどられた舞台があった。
「ここで儀式を行います」
「へー、こんなのでできるの?」
「そうだよ。もし疑うなら邪悪なる物には出て行ってもらおうかな」
「あなたに私が打てるとでも思ってるの? 私にかあkれ場貴方なんて瞬殺なんだけど」
「それはどうなのかな。私も巫女だから強いよー」
そして二人がにらみ合う。
リリシア的にはこんな展開待っていない。
「詩織さん、黙っててください」
「黙ってててって、私の自由にさせてよ」
「その結果巫女さんの機嫌を損ねて、私が強くなれなくて、結果的に神に滅ぼされたらどうするんですか?」
「むう、和合ったよ。さっさと終わらせてね」
「かしこまりました」
そして巫女が説明を始める。
「今日する儀式はね、下準備が必要なんだ」
「下準備」
「そうそう、戦ってもらうね」
目の前に巨大なドラゴンが現れる。しかも漆黒の翼が生えている。
生半端では勝てないという事は一瞬で分かるほどの邪悪なオーラだ。
「負けませんよ。そんな竜には」
リリシアは空高く飛び上がり、妖精のオーラを纏った拳でドラゴンを殴る。
その拳を喰らいドラゴンの目が赤く光る。
リリシアをその一撃で強者と認めたのだ。
そして、勢いよく、リリシアの方に突っ込んできた。
「よっと」
リリシアはそう言って素早く上に飛び上がり、妖精弾を数発ドラゴン向けて放つ。ドラゴンは一瞬怯むが、決定打は与えられていない。
リリシアは即座にそれを理解し、決定打を放つにはどうしたらいいかを考える。
――気に溜めて、放つ!
リリシアは手に力を込める。
全力でエネルギーを増幅させていく。
いつの間にか手には莫大なエネルギーが生み出された。
――あとは、この一撃をどのタイミングで打つか。
放ってもよけられたら元も子もないし、受けを取られるかもしれない。
放つなら絶対のタイミング。そう、ほぼゼロ距離の状態で放つのが理想だ。
ドラゴンは、ドラゴンで莫大なエネルギーを溜めている。半端に近づけば返り討ちに会う。
「だからこそだねえ」
詩織がリリシアを見て呟く。その党のリリシアはそのエネルギーを一旦小さくする。
そして、一気にドラゴンへと向かってお釣る。
「でも、それでドラゴンが倒せるかなあ」
ドラゴンの中のドラゴン。
このドラゴンは強大な防御力を持つ。
生半端な攻撃では倒れない。
でも、李理沙は考えていた。守備力をそぐ方法を。
まず簡単な方法だ。氷でドラゴンの足場を凍らせ、一時的な自由を奪う。
これ自体はすぐに抜けでるだろう。だが、本当に重要なのはここからだ。
リリシアはその一瞬の隙を見逃さなかった。
すぐさま、空に岩を造りドラゴンの頭上に落とす。
その効果で、空に飛ぼうとしていたドラゴンは不意の岩に頭をぶつけ、そのまま地に落ちる。
「今」
リリシアは即座にドラゴンの近くに行き、ドラゴンにエネルギーをぶつける。
勿論ゼロ距離で放った攻撃は、ドラゴンの皮膚を貫通し、ドラゴンを一撃で死に至らしめた。
「これでどうですか?」
「んー、ゴーカクだね。お姉ちゃんすごいよ。じゃあ、早速やっていくね」
「待って、私は?」
詩織が食い入るように言う。
「大丈夫だよ、君はそのままでも強いんだから。もう潜在能力なんてないよ」
「そう」
「じゃあ、さてと、ここに立っていて」
そう言った巫女は、リリシアにエネルギーを送り込む。
「うわああああああああああ」
リリシアは叫ぶ。
あふれんばかりのエネルギーに体がどんどんと傷ついている。
「ちょっとこれは想定外だよ。まさかここまで強いとはね、こんなに潜在能力がすごい人は見たことない。これは、まさに最強だね」
そう言った巫女の言葉を聞いて、詩織は唇をかんだ。
詩織は詩音みたいにリリシアのことをよく知っているわけでは無い。
ただ、捨て身の力を使って強くなった詩織に対してあんなに、潜在能力を開放すrなどというくだらないことで強化されているリリシアが許せない。
「私の方が頑張ってるのに」
詩織はそう誰にも聞こえない程度の声で呟いた。
「これを、私の力に」
リリシアが苦しみながら悶える。
「私の物になれえええええええ」
リリシアがそう叫ぶと、リリシアからエネルギーが消えた。
「これが私の力ね……」
そう呟リリシアは手を握り締めながら呟いた。
そして儀式が終わった後、リリシアと詩織はその場を立ち去ろうとしたが、
「待って、私と戦え!!」
そう、リリシアに毒の攻撃を加えた。
「詩織さん、貴方今は本気は出せないはずでは?」
「そんなの関係ない!!! 私はあなたを倒さない!」
リリシアにはその姿は焦っているように見えた。
今の詩織に勝てるはずがない。
解放前のリリシアならまだしも、今の自分には。
「さっさと終わらせましょう」
リリシアがそう言うと、空へと一気に飛びあがる。
――なんて体が軽いの。
前までとは比べ物にならない力。
詩音に拘束されたとき、あの時は元がゼロだったから置いといても、闇の王の力を奪った時よりも、ダンジョンで禁術を教えてもらった時よりも強い。
これなら。
「ダークフェアリーバレット」
その弾丸はものすごいスピードで詩織に向かって行く。
詩織はぎりぎりでそれをよけるも、地面に大穴が空く。
「ちょっとー、これじゃあここが壊されるんだけど」
そう言った巫女は、二人を何とかせねばと動き出す。
その次の瞬間だった。
二人は魔大陸に戻っていた。
「え?」
「どういうこと?」
だが、体に感じる違和感。
それで、二人は自分が飛ばされたのだと即座に判断した。
「それでどうだったんじゃ。その様子では成功したように思えるが」
「はい、かなりの強化をしてもらったと思ってます。これなら戦力にはなると思います」
「そうか。……あとは詩音殿が目を覚ますまでだな」
「それと私が再び戦えるようになるまでね」
そして、それから一週間の時が経ち、詩音は目覚めた。
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