第48話 妖精国

「怪しいな。よそもんか?」

「よそもんと言ったらよそもんだけど。それがどうしたの?」

「それがどうしたのってお前。ここは妖精の国だぞ」

「妖精国?」


 聞いたことがない。


「そうだ。人間が入ってきて良い場所じゃない」

「いや、私そんなの知らないから」


 と、妖精の忠告を無視に、そのまま中に入ってゆく。


「待て! 言うことを聞け!」

「聞かなーい」


 私の行動は誰にも止められんのさ!

 何しろ、この国の住民などでもないのだから。


「フェアリーチェイン!」


 と、妖精族の男が唱えるとすぐに鎖が私に巻き付いた。


「わわ、拘束されちゃった」


 厄介だわ。拘束魔法を使われると、一回負けて拘束された記憶がよみがえる。


「さあ、謝れ!」

「何を?」

「不法侵入したことだ」

「私はそんなつもりないから!」


 と、鎖をあっさりと破った。この鎖は柔らかくて助かった。


「そんなものでは私を止められないよ。もっと強くやらないとねー」

「……ふざけあって! フェアリーオーラー!」


 と、私に向かって波動が飛んでくる。はあ、面倒だなあ。もう!


「ドラゴンフレア!」


 と、炎を出し、相殺させる。


「あなたたちには私は捕まらないよ!」と、そのままに逃げ続ける。まあ目的地は……あの大きな城だ。そこに行けばこの国の仕組みが分かるし、地上への戻り方もわかるはずだ。もしかしたら飛ぶ方法だってわかるはずだ。

 それに何より探検って楽しいし!


「ここかあ」


 と、目的地である、大きな城にたどり着いた。なんか映画に出て来そうな城だ。


「おじゃましまーす」と言って恐る恐るその中へと入っていく。


「わ……広!」


 早速大広間のようなものがあった。私の漫画の知識によると、ここはダンスをしたりする場所だ。


「何やつ!」


 中にいた妖精たちが大声で叫ぶ。うわあ見つかっちゃったか。まあ堂々と入ってるから当たり前だけど。


 仕方ないから処理していくか。


「フレイムバースト!」


 と、炎の大砲のようなものを放ち、妖精たちにぶつける。


「くっ、皆で、バリアを張れ!」

「はは!」


 と、バリアが展開される、さっきまでの感じで言うのならこれはフェアリーバリアっていうのかな?


「うわああああ」


 と、そんなことを考えていると、あいつらが皆、倒れたようだ。というか、灰になった。私の魔法の威力にバリアが耐えられなかったようだ。

 てか、妖精も死ぬと灰になるんだね、知らなかった。また新たな知見を得られたわ。


「まあ、次いこっと」


 と、階段を上る。ここには何があるんだろう。


 そこにはいろいろな部屋があった、なんか人間みたいな暮らしだね。まあ私には関係がない。こいつらは面倒くさいから全員さっさと滅べ。


 そして、数々の要請を灰にして、最上階っぽい部屋に入った。


「お主は……」

「私は荒巻詩音。この国を興味本位で滅ぼそうとしているやばいやつだよ。それで、一つ聞きたいことがあるんだけど。妖精って何?」

「まさか、簒奪者に言うわけがなかろう、さっさと立ち去れ」

「いいよ……教えてくれるんだったらね」


 と、私は彼女に向け、魔法を放つ準備をする。


「この妖精女王,ティターニャと戦おうとは、この無礼者め、すぐに、地に帰してくれるわ!」


 と、すぐさま、私に向けて返しの攻撃をしてくる。

 てか、ティターニャってテンプレっぽい名前だね。



「えー、そんな攻撃で……私がやられるとでも思ってるの!? 滑稽だね! 妖精女王。でも、私に勝つにはねえ、軍隊でも持ってこなきゃね。妖精女王ティターニャ!」


 と、勢いよく、その攻撃を魔法で消し去り、竜の力をまとい、妖精女王に一気に近づく。


「これが攻撃だよ」


 と、彼女の頭を思い切り殴る。すると、彼女は灰になってしまった。


「あれ? もう勝ったの?」


 これだとあまりにもあっけない結末なんだけど。


「まさか私がその程度の攻撃でやられるとでも?」


 と、後ろから魔法を食らった。


「へーそう言うこともできるんだ。すっかり騙されたよ。でもね、私も、そんなに甘くはないの。


 と、パンチの瞬間に妖精女王ティターニャに仕込んでいた魔法を爆発させる。


「ふむ、なるほどマーキングか」

「そゆこと。まあそこまで効かなかったのが私の誤算だけどね」

「貴様は誤算ばかりになる。この私と戦うのだから」

「へー、まあやってみてよ。また私に誤算を生み起こすのなら」


 と、私は軽くジャンプをして、妖精女王ティターニャへ炎を上から放つ。


「ふむ」


 と、妖精女王ティターニャは軽く受け流し、窓の外へ出た。


「あーこりゃあ。逃げる気かー?」

「逃げる気ではない!」


 と、翼を広げ、空に飛んで行った。


「だからなんでお前は飛べるの? この不公平!」


 結構な人間が飛んでるし!!


「叫ぶ暇でもあるのか?」


 と、上からオレンジ色の波動が飛んできた。


「完全なズルだぞ。もう私怒ったもんね」


 と、ドラゴンの部下たちを呼び出す。どうやらダンジョンの中では召喚できなかったが、ここではできるらしい。


「という訳でね。殺していきたいと思うわけですよ。はい」


 配信者的な話し方で煽る。


「誰としゃべっておるんだ?」

「別に誰相手でもいいでしょ。はあ、もう激おこぷんぷん丸。もう謝っても許さない」

「だから何を言っているんだ? まあいい。侵略者の末路は死あるのみだ」

「知らないし」

「フェアリーフレイム」


 と、私目掛けて炎が飛んでくる。


「ねえ、フェアリーつける意味って何なの?」


 と、聞きながらその攻撃をはじく。


「上位魔法だからだ」


 と、再び同じ魔法を放ってくる。


「へー」


 と、魔法で相殺する。


「上位魔法も大したことないね」

「うるさい」



 炎の魔法、水の魔法、雷の魔法が四方から私に向かって飛んでくる。


「なーるほど。そう言う感じね」


 と、バリアを張り、その攻撃をいなし、そのまま彼女に飛び乗る。


「ねえなんでここにいると思う?」


 と、私は妖精女王ティターニャに聞く。


「知らん。離れろ」

「えーやだ」


 と、私の体に薄い膜を張り……


「こうするためだよ」


 と、彼女の首元に手を当てていった。


「何!?」


 と、彼女の返答を待つ前に彼女の首を切り落とし、首から灰になって行った。


「これで勝ちかな。私落ちちゃうけど」


 と、その瞬間、


「え!?」


 背中に衝撃を受け、そのまま地面へと叩き落される。


「言ってなかったか? 私は灰になれるって」


 チートじゃん。そんなの……。だが、考える暇もないまま、連撃を食らう。竜はお利口なことに私を助けようとしてくれているが、どう考えても間に合わない。いや、間に合ったとしても、ただの火にいる虫だ。集中攻撃を食らって、死ぬだろう。


「うわあ」


 地面にたたき落され、そのまま攻撃が続けられる。体は回復していくが、これはまずい。やばい。


 そしてそのまま意識を失った。

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