第47話 ダンジョン主マキナ
「早速来たねえ! でも私には魔法は効かないの」
と、こっちに向かってくる。
「魔法効かないってどういうこと?」
「ダークネスフレア!」
と、リリシアが闇の炎を放つ。だが、それ主の体に当たった途端、すぐに消滅した。
「かなり魔力を込めてたはずなんですけど……」
「使えな!」
「それは貴方もでしょ」
「私は戦えるもん! 竜王女モード!」
と、竜の力を完全に身に宿す。
「ドラゴンパンチ!」
と、竜の力を込めたパンチを彼女に喰らわす。
「ふん!」
だが、あっさりと受け止められ、そのまま投げ飛ばされる。
「貴方もつかえ無いじゃ無いですか」
「うるさい!」
そしてリリシアが闇のオーラを纏い!
「私がやりますよ」
と、闇の力で主に殴り掛かる、だが、それも軽く受け止められ、弾き返される。
「あなたもじゃーん!」
「殴ってやりましょうか?」
「え? 私と戦うの? いいよ、軽く粉砕してあげるから」
「そっちがその気ならやりましょうか」
「あのー、私の存在忘れないでもらえます?」
と、向こうから岩が飛んできた。主の魔法だ。
「そっちは魔法ありなの!?」
私とリリシアはそれを軽く避ける。
「まあ、魔法なしとは一言も言ってませんでしたし」
と、リリシアは冷静に分析している。私には何が何だかわからないんだけど!
「魔王、相手は向こうから魔法を放ってくるみたいです。ここは二人で共闘しましょう」
「そうだね……で、なんか策はあるの?」
「私が囮になります。そのすきにあなたは全力で油断した隙を見て、ぶん殴ってください」
「わかった」
と、私と彼女は別行動をとる。まず、彼女があいつに対し、思い切り殴りにかかる。
「そんな単純な手、私に聞くとでも?」
と、主は魔法を連弾ではなち、リリシアを空から地へと叩き落す。しかし、リリシアは諦めすに再び、宙に浮いて、主のところまで向かおうとする。しかし、再び雷の魔法を食らい、地へと落つ。
その隙を逃したくはない。その一心で、裏の階段を上がり、彼女の方へと向かい、そのまま……
「ドラゴンパンチ!」
と、竜のオーラをまとった手で、主の体に攻撃をくらわす。
「何?」
と、そのまま地に落ち、それをリリシアが闇のオーラを纏った攻撃で、はじき返す。だが、主はそのまま体制を取り直し、むくりと立ち直る。
「なるほど、そう言う訳ね、ただの囮だったという事ね。そんな子供じみた戦略に引っかかるなんて、このダンジョンに一〇〇年もいたので実践感覚が薄れたわね。だって誰もここへはこられなかったんだから」
と、走り、そのまま元の位置まで戻る。
「でも残念でした。私にはかないません。あなたたち程度ではね。まあここまで来たのは褒めてあげる。でも私程度に勝てないことには神にだって勝てないかもよ」
「あなた……神のことを知っているんですか?」
「ええ。そりゃあ当然よ。私はダンジョンの主なんだから。まあそれはいいわ。神だとか、魔族だとか、エルフだとか、妖精だとか、そんな種族とか私には関係がない。わたしはただ、ここを守っているだけだもの」
と、再び襲い掛かってくる。
「ねえ」
「わかってます……けれど!」
そして防ぐ手段もなく、殴り飛ばされる。
無理なの。私、俺つえー出来ないの? やっぱり。思えば闇の王とか太古の魔王とかいうわけわからない奴らが襲ってきたときから変だった。私苦戦してたし。本当むかつく。ムカつくムカつくムカつくムカつく。私だけが強かったらいいのよ! 弊害や壁なんていらない。
「うおおおおおおおおおお!!!!」
パワーがたまっていく。これなら!
「ドラゴンブレッド!」
と、彼女のもとへと走っていき、思い切り叩く。すると彼女の口から帯だたしい量の血が流れだした。
「あはは私強いじゃん」
と、次は蹴りをくらわす。そして次は頭で頭突きを噛ます。ああ、強いって気持ちがいいな。気分が久しぶりに高揚してきた。
「ああ、最高最高最高最高最高!」
と、頭を踏みつぶしていく。
「ちょっと、魔王!」
「え?」
見ると、そこには無残な死体が転がっていた。血の抜けた、顔の晴れた、無残な死体が。
「ああ、やっちゃった?」
「ダンジョンの主を殺すなんて」
「大丈夫でしょ。何とかなるって」
「ええ、何とかなるわ」
と、復活してきた。
「良かった。生きてた」
「生きてたじゃないわよ。よくもあんなぼこぼこにして。まあそれはともかく、ダンジョンクリアおめでとう。だけど、リリシアちゃんは不合格。ごうかくはあなただけね」
「え、てことは私は」
「私に認められるまで、ここから出られないわ。だから詩音ちゃん。ごめんね、少しだけ待ってね」
「あ、はい」
え、待ち時間? 早く、神とかいうやつをぶっ潰したいんだけどなー
そして、何時間も何時間も、リリシアと、主のバトルが繰り広げられる。ああ、暇だ。なんかこう、俺つえーもいいことばっかりじゃないな。
「はあ……」
ため息をつき、
「ねえ早く終わらせてよ! 私暇なんだけど!」
と、大声で叫ぶ。あまりにも暇すぎて、もう無理だ。
「少し待ってください」
と、リリシアは主相手に奮戦をする。だが、結局ダメージを与えられない。これじゃあ負けだ。
「ねえ、リリシア。私の退屈を終わらせるために速くしてよね」
「わかってますよ!」
「ねえ、主」
「西ではありません。マキナです」
「マキナね」
名前そうだったんだ。
「私にも訓練相手ちょうだい? 暇すぎてどうしようもない」
「わかった。じゃあこいつらと戦って、まあ私に勝ったあなたなら朝飯前の運動にすらならないかもしれないけど」
と、何百もの魔獣が出てきた。さっきは死ぬほど戦いたくなかったのに、不思議なものだ。
「宇おおおお!」
と、一つずつ、殴って破壊していく。全部ガラクタのように感じる。もう無理だ、私は……また最強になってしまった。俺つえーと俺強くない、どっちのほうがいいんだろ。
「はあ」
私はガラクタの前で無垢に立っている。もう、何もできない。やっぱり私は……
「メガニックフレアああああああ」
と、壁に炎をぶつける。ぶつけぶつけぶつける。
「何を!?」
マキナが驚く。だが、私は止まらない。ダンジョンの奥はどうなっているんだろう。好奇心が勝る。
「フレアあああああああああ」
と、どんどんと掘り起こしていく。
「さっさと、壊れろおおおおおおお」
と、ダンジョンの壁を破壊破壊破壊していく。
「はあはあ」
もう、一〇〇メートルは掘り起こしただろう。だが、何も出てこない。
「どうやったら出てくるのおお?」
もう魔力は切れた。だが、パンチがある。
「もうやめてください。暇だからって壁を破壊しないでください」
「じゃあこの先に何があるか教えてよ」
「やめてください!」
「じゃあ! 死ぬ?」
と、殴り、マキナを殺す。
「このダンジョンの中では私は死なな」
殴り殺す。
「だから!」
殴り殺す。
「もういい」
殺す。
復活した瞬間殺す。復活した瞬間に殺す。復活した瞬間に殺す。復活した瞬間に殺す。そんなことをやっていると……
「何をやっているんですか?」
リリシアもここに来た。
「見てわからない? 殺してるのよ。だってダンジョンってまだ三回くらいしかクリアされていないし、まだ誰もダンジョンの仕組みなんて知らないんだもん。だからなぞを解明しようってわけ。そこにね、神の謎があるかもしれないし。何か悪いの? ねえ!」
「そこはマキナの言うことに従いましょうよ。ねえ!」
「知らない!」
と、しゃべってる間も、マキナを殺しまくる。
「こいつが壁を壊すことを許すまで私はやめることはないから、私はね興味を持ったことにはとことんしつこいのよ」
と、そのまま殴り殺していく。
「はあ、もう何十回くらい殺したんだろ。もうあきらめたらいいのに。ねえ、マキナ」
と、血まみれのマキナの何十個の死体を見て言う。
「私は……」
マキナが呟く。
「もう死ぬの嫌でしょ? 素直に掘り進めさせてよ」
「私はあなたを悪だと判断しました。あなたはもうここから出られません」
「ちょっと!」
と、彼女が私を見てくる。私知らないもん。
「もう私は消えます。ここで余生を過ごしてください」
「……」
「……」
「どうする?」
「どうするも何もあなたが謝りに行ってくださいよ。私は何も悪くないんですから」
「えー」
「早くしてください。私たちが死しますよ」
「えー。でも、ここ掘り進めて外に出させてくれない?」
「本当に反省してるんですか? 早くしないと、神に地上が破壊されますよ」
「それは大丈夫でしょ。知らんけど」
「そう言う問題じゃあないでしょう」
リリシアの言うことを無視して、そのまままた掘り進める。ここに退路があると信じて。
「魔王!」
掘り進める。ただ無心に。
「魔王さん!!」
この先に私が欲しいものがあると信じて。
「どこ?」
「詩音さん!」
「何?」
「だから謝りませんか?」
「いや、私はがんばる。それにあなたはともかく、私は別に死んでもいいし」
「そう言う……問題じゃ!」
「うるさい!」
と、彼女を跳ね飛ばす。死なない程度にやったから何とか生きているはずだ。さて、私は私のしたいことをやらなくてては。神など二の次だ。
「はあ!」
と、どんどん、どんどんと。さあ、私の狙いの物出てこい!
「……これは」
そこにあったのは、未知なる世界だった。町の建築も何もかも違う。
こんな感覚は異世界に来た日以来だ。
「何だあお前、壁から来やがって」
「え?」
そこの住民らしき男から声をかけられた。
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