第46話 ダンジョン2

「またこれですか」


 と、リリシアは少しだけイラついた感じで言った。本当に魔獣が多い。彼女が怒るのもわかる。私の方がムカついてるし。面倒くさいったらあらしないわ。本当に、前のダンジョンより長いし。


「はあ、ドラゴンファイヤー!」


 すぐにドラゴンの力を借り、強大な炎を放つ。もう、魔力残量とかどうでもいい! もう、むかついたらフルで放つ。ストレス溜まった人生なんてクソだし。そもそも飛べないだけでムカつくけど。


「はあはあはあはあ!!!!!!!」


 微塵も生き残りを残さない勢いで、魔獣を全て焼き払う。


「これでどう? もう全滅だね」

「私もストレス発散したかったのですけど」

「やっぱりあなたもストレス溜まってたの? ごめんね、私が吹き飛ばしちゃって。あ、ここで私と戦ってストレス発散する?」

「いいです。無駄な魔力を使いたくないし……そんなことよりも早く行きますよ」

「分かった」


 つまらない奴……

 

 ワンパターンまじでつまんないし、新敵さっさと出て欲しい。ゲームだったらもう画面閉じてたよ。本当。


「ゴーレムとドラゴンとビックスライムですね」


 新敵と言ってもそうじゃないのよ。一体で出て欲しいのよ。タイマンがしたいのよ。

せめて二体でお願い。

まあいい、すぐに吹き飛ばすか。


「ドラゴンサンダー!」

「ダークブレス!」


 と、二つの魔法によって敵が粉砕された。


「よほどストレス溜まってたのね」

「それはお互い様でしょ。もう飽きました。早く出口はついて欲しいのですけれど」


そんな時上から声が響く。


「よくぞ我がダンジョンをここまで攻略した。だが、まだまだ終わりではない。ここから難易度が上がるから覚悟しろ!」


 と、天の声がした。はあ、面倒くさい。ゲームとかでもそうだ。こう難易度を求めるくせに、いざこう難易度クエストが実装されたらみんなめんどくさいと言って、運営を叩く。まあ、これが自然の理だ。


「さあ、次行きますか」


 と、小走りにリリシアは走って行った。やっぱりリリシアもイラつき始めてるか。さて、私が大人を見せるか。


「ちょっと待って、焦ったっていいことないよ」

「あなただって焦ってたじゃないですか」

「まあそうだけどね、でも、すこし魔力回復させた方がよくない? そろそろ私たち怒りすぎて魔力ぎりぎりで所」

「まあそうですけど」

「だから休もう!」

「……正論ですけど、正論なのがむかつきます」

「なんなのさ。この我儘」

「わがままで結構です……さて食べましょうか」

「やったー!」


 そして彼女が持ってきたお弁当を広げる。中には魔獣の肉や、米やその他さまざまな野菜が入っていた。私がいなくなって、どうしたものかと思ったけど、何とかなったようだ。

 もともと、野菜の育て方とか、全然ちゃんと教えられなかったから建国当初は本当にやばかったし。


「おいしい!」


 品質も落ちてない。普通においしい、幸せだ。


「さて、行きましょうか、魔力も大分回復しましたし」

「だね!」


 と、立ち上がり、再出発をする。


「ねえ、ここって」


 その先にあったのはただっ広い異空間だった。


「絶対罠ですね」

「さっきは何とかなったけど、今回はどうなるんだろ。針山が突き出たりとかかなあ」

「今度こそ、ボスかもしれませんよ」

「えーさっき罠って言ったのそっちじゃん」

「まあそうですけど、さっきの天の声? みたいなのが嘘っていう可能性もありますよ」

「そうだよね。どっしよっかな。まあ先に進むしかないよね」


 と、一歩ずつ先へと進む。


「やっぱりー!」


 上から針がいっぱい落ちてきた。


「またバリアで防ぐしかないでしょう:

「やっぱり? めんどくさ!」


 と、バリアを展開する。耐え忍ぶのしんどいんだけどさあ。


「やっぱり出口ないみたいですね」

「あ、でも待って。もしかして攻撃とかできるんじゃない?」

「どういうことですか?」

「みててよ、あ、その前にあなたのバリアを広げてもらっていい?」

「かまいませんけど」


 と、リリシアがバリアを広げ、私はその中に入っていく。


「行くよ! ドラゴンフレア!」


 ファイヤーじゃなくてフレアだ。まあ技名は完全に気分だけど。


 すると天井が崩れ始めた。穴が開いたからだろう、どんどん崩れていく。


「お願い!」

「わかりました」


 と、リリシアにしがみつき、そのまま空を飛ぶ。もしかしたらショートカット出来てるかもしれない。


「行けー!」

「うるさいです」

「私は空を飛ぶのが好きなんだ」


 自分で飛べるのとは、違って、コントロールできないし、そりゃあ自分で飛ぶのが一番楽しいけどね。


「ここは?」


 そこにはまたただっ広い空間が広がってた。


「もしかしてエンドレストラップ?」

「ですね」

「はあ、仕方ない。行くよ!」


 と、足を再び踏み入れる。マジでもう罠はやめてほしい。確かに私は前のやつみたいに魔獣が出てこない奴のほうがいいなと入ったよ。でも、罠が好きでもないのよ。もう本当に頼む。ストレスたまってるから!


「何も……出てこない?」

「みたいですね」

「クリアかな?」

「早すぎませんか?」

「まあ、私が無理矢理ぶち壊したんだし。裏技的な感じで」


 そしてどんどん向こうに進んでいく。警戒は怠らずに、先へ先へと……


「おめでとうございます。早いですねえ、ここまで来るの。さっきの会話から一時間も経ってないよ。もしかしてずるい手を使った?」

「ギク!」

「ギク?」


 たまたまはたまたまとは言え、ショートカットしたのは事実だ。言い訳はできない。


「まあそれはいいわ。とりあえず最終試練!!!」


 と、沈黙が流れる。


「この私と闘いなさい!」


 と、可愛らしい見た目のした、所謂ロリキャラみたいなキャラが出てきた。これは……どういう役回りなんだろう。そういやまだダンジョンのこと知らないなあ。とは言え、前のダンジョンの記憶はある。あれは、モンスターを召喚してた。そう言うわけであいつの姿は一切見ていない。だが、今回は違う、ダンジョンの主が出てきた。まあでも、やることは同じだ。


「行け! ドラゴンフレア!」


 と、主に向けて炎を放つ。

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