第37話 決着

 


 太古の魔王。彼は元来普通の家庭に生まれた普通の子どもだった。ある時までは。その当時……破壊神が封印されてから少し経った頃、破壊神が封印された影響で、戦争が再び巻き起こった、それは彼が住む国ガルス王国でも同様だった。



「お前たちの国は我が国に対してひどい行いを行った。お前たちは関係ないと思う感も知れない。すでに五〇年が経過しているからな。だが、私はお前たちの国を許すことはできない。まずはお前たちの首を国王に送る。君たちは必要な犠牲だ。皆殺しだ!」


 と、一人ずつ殺されていく。彼に行きつけの八百屋の店主、彼にいつも話しかけてくれていた近所の奥さん、彼のいとこ、父親、母親、みんな殺される。しまいには彼の幼馴染の女の子まで殺されてしまった、最後の一人になった時に、彼は目覚めた。


 彼は闇の王と契約し、面白いものを見せるという条件下で不老の力と、闇の力を得た。


 その力は図覚ましいものだった。一瞬でその場にいた敵の兵士たちを全員闇の波動で皆殺しにした。

 彼は笑った、復習の楽しさに打ち震えた。

 彼は魔族の女と共にアース帝国に


 太古の魔王。彼は元来普通の家庭に生まれた普通の子どもだった。ある時までは。その当時……破壊神が封印されてから少し経った頃、破壊神が封印された影響で、戦争が再び巻き起こった、それは彼が住む国ガルス王国でも同様だった。



「お前たちの国は我が国に対してひどい行いを行った。お前たちは関係ないと思う感も知れない。すでに五〇年が経過しているからな。だが、私はお前たちの国を許すことはできない。まずはお前たちの首を国王に送る。君たちは必要な犠牲だ。皆殺しだ!」


 と、一人ずつ殺されていく。彼に行きつけの八百屋の店主、彼にいつも話しかけてくれていた近所の奥さん、彼のいとこ、父親、母親、みんな殺される。しまいには彼の幼馴染の女の子まで殺されてしまった、最後の一人になった時に、彼は目覚めた。


 彼は闇の王と契約し、面白いものを見せるという条件下で不老の力と、闇の力を得た。


 その力は図覚ましいものだった。一瞬でその場にいた敵の兵士たちを全員闇の波動で皆殺しにした。

 彼は笑った、復習の楽しさに打ち震えた。

 彼は魔族の女と共にアース帝国に宣戦布告した。その際にラースメニア王国と同盟を組んだが、残念ながら裏切られる結果となった。

 結果、太古の魔王ラストは追われる身となった。

 その後、彼を打つために、各国は戦争をやめ、彼を打つために同盟を組んだ。彼を野放しにしておくと彼は全てを滅ぼしえるからだ。


 彼はその国々全部に対し宣戦布告をした。


 彼は魔獣をコントロールした。人間に対抗しうる力を手に入れるために。


 そして全面戦争が始まった。魔獣をコントロールした魔王軍と、異世界から来た勇者を含む連合軍と。


 その戦争は全土を巻き込むものとなった。

 その中で勇者と魔王は圧倒的な力だった。戦争は数だという意見もある。だが、結局は将の、個々の力だ。


 その戦争は結局三年もの時間がかかり、

 遂に決着した。魔王が間一髪のところで敗れたのだ。


 だが、彼は滅ばなかった。彼は封印されただけで、死んではいなかった。


 彼は気が狂うだけの時間を封印の闇の中で過ごした。だが、いつか世界を一つの手にして、圧倒的な武力で戦争のない世界の実現のために、決して意識を途切れさせなかった。

 いつか復活して平和な世界を作るために。


 そして封印が解除された後、彼は今の世の中を知るために軽い旅をした。


 その時に詩音という支配者がいるという事が分かった。

 彼女は恐怖で世界を支配していた。彼は激怒した。詩音に対して。

 平和な世界には恐怖はいらないのだ。





 SIDE詩音


「私は絶対に負けられんのだ」


 ラストは闇の力を一気に開放してきた。そのためその周囲には闇のオーラのようなものが見える。


「お、本気出しちゃう?」


 本領発揮だね。わくわくする。


「油断しないでください」

「分かってるよ」


「無駄話をするなあ!」


 ラストは魔法の球を乱れ打ちしてきた。嫉妬でもしてるんだが。

 その球は一見荒れているように見えて、方向は正確だ。

 的確に私とリリシアの方に飛んできている。


「なるほど。やるね。でもさっきまでのようにはいかないから!」


 魔力で壁を張って攻撃を防ぎ……えい! と、炎の球をプレゼントする。


「そんな攻撃は効かん」


 その攻撃はラストの手によって止められる。


「分かってるよそんなこと」


 と、言った瞬間にリリシアが空から突撃する。


「勢いをつけてという訳か。小雀な!」


 ラストは、数発ものすごいスピードの闇の弾丸を放ち、リリシアの勢いを止める。

 だけど、


「私もいるよ!」


 と、水の激流をくらわす。


「っち、体の向きが」


 ラストが一瞬怯んだすきに、再び突撃を開始していたリリシアの拳がラストに直撃する。


「効かんなあ!」

「強がらないで!」


 私もすぐに突撃する。連撃大事!


「ぐう! おらあ!」


 ラストは闇の渦を生み出す。


「くそ、こっれ呑み込まれる」


 その闇の渦にはとんでもない重力が詰まっているみたいだった。超小型ブラックホールっていう感じかな?

 だけど、そんなこと言ってる暇もないほどにやばい、引きずり込まれるうううう。


「私が支えますよ」


 そう言ってリリシアが私を回収して空を飛んだ。助かった。


「おお、サンキュ」

「サンキュって何ですか?」

「ふん!」


 と、ラストは重力魔法を使い、さらに私たちの身にかかる重力をあげる。


「こんなこともできるの?」


 万能だなあ。


「おらおらおらおらおら」


 と、魔法の連弾を私の方にぶつけようとする。漫画とかだとこういうのは対して効かないのが通説だけど、今は現実、絶対当たったら痛い。


「私が撥ね退ける! あなたはそのまま高度を維持して」

「はい!」


 と、バリアを作り出し防ぐ。


「私もねえ、ある程度は竜の力があるから強いのよ。影が薄いとか言わないでよね」

「私は思ってませんよ」

「沈めえええええ」


 体が地面に向かっていく。ラストが重力をあげたのだろう。


「任せて!」


 と、風で体を支えようとする。これによって落ちる速度を緩めることが出来る。


「そんなことをしていては沈むのも時間の問題だ!」


 と、ラストは私に向けて魔法を連発していく。確かにこのままでは時間の問題だ。でも!


「私が数秒時間をかせぐ。その間に魔法の準備をして!」

「はい!」


 と、私はリリシアの腹を蹴り突撃を試みる。


「何を血迷ったか、そんな攻撃は効かん!」


 鋼の針のついた盾を展開するが、


「甘いわね」


 風で私の体の落ちる場所を変える。


「何だと!」

「行け!」


 思い切り私の体がラストに直撃し、ラストの腹に私のウインドソードが突き刺さった。これが漫画とかなら、竜が腹を食いちぎるエフェクトでも入っていそうだ。

 ともかく流石にもうこれで終わりだろう。


 だけど、闇の渦はまだ消えていない。ちくしょう、ラストが気絶したら消えるとかないの?

 リリシアが私を回収するために必死に追っているが、流石に間に合わないだろう。


「まずいわね」


 私は闇に沈んでいく。底の見えぬ闇の中へと。

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