第13話 海の王国

 そして、これじゃあダメだと思いますしんどいながらも図書館に向かった。何か新しい情報があるかもしれないと思って。


 私は本を読むのが得意ではない、むしろその真反対の場所にいると言える。そんな私が眠さに耐えながら調べた結果、海の中に海の王国があると書いてあった。


 私は早速そこに向かった。

 とは言っても海辺まで来たところで気づいた。私泳げないじゃんっと。とりあえず衣服を学校の制服から水着に変えたところまでは良かったのに。むむむ、どうしよう。私の魔法に泳げる魔法なんてないしなー。


(そうだ! 竜はどう?)



 という訳で、


「いでよ! 竜王!!」


 と、竜王を召喚した。そこで、竜王は一応は泳げることが分かった。

 でも、そこでまたちらつくのは、水気圧とかどうなるんだ問題だ。私はよくわからないけど、ある一定以上まで行くと生身では死ぬ深さがある。どう考えても今回の目的地は、空気圧とか大丈夫じゃない場所にある。

 空気圧とかってどうしたらいいんだろうか……


 魔法で防げないかなと寄り合えず、空気の塊を体の周りに作った。

 私の周りを風で覆ってあげたら周囲の空気圧とか関係ないじゃんとかいう理論だ。

 そしてそれから水の中に竜王の背に乗って入っていく。

 この状況はまるで浦島太郎だ。まあ、私竜助けてないし、それどころか、無理矢理使役してるし。

 と、水の中を見ると見事に綺麗な水だった。どうやらこの世界の海はマイクロプラスチックとかの問題には無縁らしい。

 魚が大勢綺麗に泳いでいる。


(魚って、日本と同じなのかな?)


 と思って魚達を見る。この世界には魔物が多いのだ、もしかしたらこの魚たちも魔物と分類されるそれかもしれない。

 だが、この魚たちは襲ってくる気配がない。どうやらあまり気にしなくていいらしい。



 そしてしばらく潜っていると、魚達が大勢逃げているのが見えた。


(これは……まずい?)


 そう思って、身構えると案の定大きなサメのような魔物がが来た。

 おそらくあれがこの海のボスだろう。

 早速私は戦闘準備を整えようとする。

 しかし、私あれと戦えるのかな? しかも水中で。


 そしてサメが襲いかかろうとしてきた。

 とりあえず私の風のバリアの外から風を放出して、水の唸りを作らせた。

 そして水流をサメにぶつける。


 その攻撃でサメは一瞬怯むが、すぐに立ち直り再びこちらに向かってきた。

 私は負けじとどんどんと攻撃を加えていく。だが、ただの水流の波では、全く足止めにもならない。


(くっそー!)


 私はとりあえず凍らせることにした。風の中に魔力を込め、その魔力を風と共に水中に放出して、水を凍らせる。

 サメは急な氷に対抗できずに固まった。


(ふう、これで勝ち?)


 だが、それで終わったなら話は早かった。しかし、現実はそうではない。水の凍りつきが中途半端だったようで、サメはすぐに氷から脱出して、弱りながらもこちらを狙ってくる。


(全く、私は美味しくないぞ!)


 と思いつつ、また距離を取らなければならないということで、竜王に会釈し、水を放出し、スピードを上げる。

 食い止めるのが難しいのなら、こっちが逃げれば良い。サメよりも早いスピードで。

 実際にうまくいったようだ。サメはどんどんと私たちから離れていく。



 そしてそんな苦難を乗り越えつつ、私は海の王国に着いた。


 私は風のバリアを張ったまま、中に入る。すると早速


「何者だ!」


 と、人魚の兵士たちに止められた。人魚かあ、実在したんだ。

 まあそんな感情をさておき、ここに来た経緯を説明したい。だが、口を動かしても向こうには声が届かないようで、すぐに攻撃してきた。


(もう! この分からずや!)


 そして私は水を動かして門兵を攻撃する。

 水の中なんて関係ない、私にとってはこんな雑魚瞬殺だ。

 そして私は堂々と国の中に入っていく。


 だが、このままでは職質とか受けるだろう。というわけで、人魚に変身した。これで簡単には怪しまれないだろう。


 まず私にとって先決なのは王様に挨拶をすることだ。だけどこれは上手くいくのかもわからない。なにしろ私にはコネクションがないのだ。聞き込みをしてもいいが、私的にはこれもない、私は聞き込みが苦手だし、そもそも怪しまれる可能性がある。いくら人魚に化けているとはいえ、なんとなく危ない気がする。


 仕方ないその三の方法で行くか。

 そう、国を乗っ取る。

 これが一番楽な方法だ。


 さて。


 そして私はどんどんと王宮に向かって行く。その間に何か情報を怪しまれない程度につかみたいところなんだけど、


「今日も魚やすいよー!!」

「ねえねえ、最近のレースの、ヤスファ選手がいい感じだよ」

「昨日面白いことがあったんだけど」

「ねえ、メルカのこと好きなの?」


 うん。普通の会話しか聞こえてこない。

 もっと変な話が聞けたらいいんだけど。


 今、私は王宮に向かってる。でも、いい情報を得られたら、そっちに作戦を変更するのもありだ。

 そして、進むと、豪華な町通りに出た。先程の場所よりも全体的に建物の質がいい。

 ここではいい情報を得られるのだろうか。




「ねえ、あの都市伝説って知ってる?」

「知ってる知ってる!!」


 都市伝説と言うワードに反応して、私は耳を傾ける。


「あの王女アスリハ様が住んでいる離宮の近くにある森の中、あそこに宝物があるらしいよ」

「ああ、最近話題の魔導書?」

「ええ。あれを手にすると最強の力が得られるらしい」

「最強の力って……そんな漫画とかじゃないんだから」

「でも、そう言うの憧れない?」

「憧れるの子どもだけだから」


 なるほど、森の中か。そこにあるんだなー。さて、行くか! 新たな大冒険へと!!

 しかし、これで征服するという面倒なことをしなくていいのは助かったよ。うん。



「ここか」


 王宮に向かって進むこと数時間(体感)王宮っぽい建物に着いた。だが、ここで一つやらかしに気づいた。


(離宮どこ?)


 離宮の場所を聞いていなかったのだ。これではうまく進むこともできない。


 これは聞き込みをしなければならないのかなあ。でも、絶対そんなやつ怪しいよなあ。そんなことを考えていると遠くから「アスリハ様待ってくだされ!!」という声が聞こえた。


 これはチャンス? と思い、彼女らを尾行することに決めた。彼女の行く先が離宮の可能性もあるのだ。しかし、何で離宮じゃなくて、王宮から出たんだろう。まあ、それはいいか。


 追っていくうちに段々彼女に見惚れていくようになった。 長い赤髪にすらりとした手。女の私でも惚れてしまうかもしれないくらいの美貌だ。


 おっとイケナイ。そんなことを考えていたら見失ってしまう。


 そして尾行を続けること三十分(体感)彼女は豪華な建物の右にある森に入って行った。


(え、ここあれだよね。さっき言ってたところだよね)


 そして私は同じく彼女を追って森の中へと入っていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る