第8話 ダンジョン2

 一歩足を踏み入れると、「ようこそ、挑戦者よ」と、笑顔で言われた。

そして続けるように、


「私はこのダンジョンの主だ。貴様に我が能力をさすげよう」

「え? 本当に?」

「ああ。本当だ。だが、私の出すモンスターに勝てたらな」


 なるほど。モンスターか。つまり、ボスキャラということか。まあいい、これで能力が手に入るのなら! 誰とでも戦ってやる!


「受けま……」


そう言いかけた時に、


「ちょっと待った! 俺も冒険者だ。俺もモンスターと戦うぜ」


そう言いながら、金髪の顔の整った男性が出てきた。


「待ってください。モンスターと戦えるのは原則一人までです。モンスターに余分に戦いをさせるわけない。だからまずは二人に戦闘してもらいましょうか」


 あれ、なら余計難しくなってない? 出来るだけ魔力を温存しときたいのに。まあいいや。


「すぐにやろう!」

「おう!」


 そしてすぐに私は風剣を持って敵の男にかかっていく。


「はあ!」


 と、すぐさま斬りかかる。だが、すぐさま剣ではじき返され、そのまま彼は炎をまとった剣で私の方へと斬りかかる。

 私はそれを後ろに下がってよけ、炎の弾を複数彼に向けて発射する。彼はそれらをすべて剣で切り払った。


 おそらくだけど、あの男、あの組織のボスよりも明らかに強い。だけど、私の敵ではない。


「行くよ! ライジングバレッド!」


 と、雷の速い弾丸をぶつける。それを炎の剣で切ろうとするが彼の剣はそれによってはじかれる。よし! これで行ける!


「うおおおお!」


 と、斬りかかる。


「悪いな……」


 彼の腕から炎が発射される。


「俺にも魔法が使えるんだ」


 と、不意を突かれてそのまま攻撃を食らった。


「ううぅ」


 と後ろに除ける。そして彼は剣をすぐさま握ってそのまま私に向かってくる。私の体勢が整わないうちに。


「でも、ごめんね。私は……」


 と、上から雷を落とす。


「魔法が得意なんだ!」


 私の得意分野は本来剣じゃなくて魔法だ。剣道未経験者の私にとって剣術はなんとなくでやってるし。

 しかし、その魔法はぎりぎり軌道をずらされ、奴は致命傷は負わなかったようだ。


「うおおおお!」


 そして今度こそ私の方へと向かってくる。


「でもね、あれだけじゃないんだ」


 と、私の体にバリアを生み出し、攻撃をはじき、そのままバリアを爆発させる。これにより金髪に不意の一撃を与える。そして、そのまま風の剣で彼の体を突き刺す。


「これで私の勝ちですね!」


 と、剣を突き刺す。


「いいのですか? 殺してしまって」

「どうせ私のせいってわからないし、そもそも私の邪魔をした人が生きているっていうのが納得できないの。あ、もしかして善人じゃないと試験を受けられないとかそう言うのあるの?」

「安心しろ。そう言う決まりはない」

「じゃあよかった。なら思う存分戦うね!」


 と、モンスターが生成される。三つの首を持つしっぽの長いモンスターだ。私を殺せとプログラミングをされているのか、私に向かって早速三つの炎を吐いてきた。


 すぐさま五つの水球を飛ばし、炎を相殺し、そのままモンスターに二つの水をぶつける。


「ぶあああああああ」


 と、とさらに四つの炎を私に向けてさらに吐き出してくる。まるでゲームのキャラだ。行動パターンが決まっている感じがする。


「なら話は早い!」


 と、とにかく火をかき消すように水をぶつけまくる。だが、それに応じて炎が増えていく。このままではこの部屋が炎に包まれていくだろう。そうなったら面倒くさいなあ。だったら早く……


「仕留めないと!」


 と、雷の弾を複数放ち、そのまま首の付け根を攻撃する。


「ぐあああああ」


 炎だけじゃなく、水も雷も泥も含む多くの種類の弾を放つようになってきた。これは攻撃パターンが増えてきたな。これはまずいなあ。本当によける場所がなくなって来た。


 でも、もしこれがゲームだったらもうHPは三割も残ってないだろう。


 ただ、これはゲームじゃない。別の行動をしてくる可能性もある。と言うかそもそも私ゲーマーじゃないんだけど。


「ウインドバリア! ウインドバリア! ウインドバリア!」


 とりあえず攻撃が激しすぎるのでバリアで防御していく。

 ゲームで言うところの怒り行動みたいなものだったら一定時間すぎればましになる気がする。


 ただ、攻撃が止む気配が微塵としてない。これは受け続けてもガス欠になるだろう。ならば!


「うおおおお」


 バリアを展開しながらの体当たり。正直言ってバリアの耐久力が持つかどうかは微妙なところだ。敵に近づけば近づくほど攻撃が激しくなってくるし。

 でも、私の耐久力だったらたぶん大丈夫だろう。


「いけー! 」


 パリーンと言う音がする、その次の瞬間体にダメージを負った。このくそ痛いじゃない!


 だが、この痛みを無駄にしたくないし、私を傷つけた報いを受けなければならない。


「裁きを受けなさい!」


 と、何とか、魔法をゼロ距離で放つ。雷の弾丸だ。すると次の瞬間、モンスターは地面に沈んでいった。


「勝った?」


 と思った次の瞬間進化して出て来た。その姿はまるで龍だ。私にはない飛行能力を持つ、私が二番目か三番目になりたい種族だ。あ、もちろん一番は鳥だけど。

てか!そこまでゲームみたいにしなくても。第二形態とかゲームとかくらいにしかないから。知らないけど。


「うおおお!」


 すぐさま。炎をぶつける。


「竜なんか消えてほしいの!」


 と、とにかく炎を打ちまくる。だが、


(あれ、竜って炎が効かないのが常じゃない?)


 と、すぐに思いすぐに雷に変えた、するとさらに効き目があるみたいで竜がさらに痛がった。これはチャンス! と、雷をどんどんとぶち込む。


「りゅおおおおおおおおおん!」


 と、方向を放ち、周りが破壊された。そして竜はこちらに体当たりをしてくる。やばい、対応できない!


「きゃあああ」


 と、壁に思い切りぶつけられる。だが、


「このっ痛いじゃない!」


 と、バリアで竜を覆ってその中で雷を爆発させる。さっき思いついた。


「いったああああああああ」


 当然のことながら、私までダメージを負い、服はぼろぼろになり、肌がかなりはだける。でも私は不死身、ダメージを受けてもすぐに回復する。服もすぐに魔法で作れる。だが、竜はどうだ?


 見ると、もう瀕死だった。これはさすがに私が勝ったか?


「うおおおおおおんんん」



 と、暗黒のブレス? を放ってきた。これはまずい。速すぎる。これはまず避けられない。バリアは、まだ復活出来ない。油断してた。これは……受け切るしかない。痛いの嫌だけど。


「くううう」


 と、最後っ屁を何とか受け切る。そしてすぐさまジャンプして竜に斬りかかり、そのまま風剣で竜の首を斬る。


「これで終わり?」

「……」


 するとすぐさま竜から光が放たれる。すると次の瞬間竜が爆発した。自爆……予想してないわー


 意識を失う……わけには行かない! 私はあの拷問で若干体制が付いているのだ。うん、いける。死ぬほど痛いけど。

そしてなんとか意識を保った。

不死身の唯一のいいところとして、すぐに体力が回復するというのがある。すぐに痛みが和らいてきた。

 そして目を開いたらそこにはただっ広い空間が広がっていた。


「これは……進んだらいいのかな?」


 と、一歩ずつ進んでいく。


「敵は……いないか……」


 周りをきょろきょろと見る。まだ討伐成功とは言われていない。油断したらさっきのようになるだろう。


「これは?」


 まぶしい光に包まれた空間。そこには魔導書のようなものが置いてあった、思わずそれを開く。

 すると何かが私に流れてきた。それは……私の望んだものかと言われれば違う。だけど、近いものではある。


 それはいわゆる操竜術だった。これを使えば私は飛べなくても竜には乗れる。これは大きな一歩だ。正直言って落胆はしている。だが、それでも飛べるという事、これで私は一歩リードできる。私自身で飛ぶことに。


 となったらまずすべきことは竜を捕まえることだ。だけど、竜がどこにいるのかわからない。だが、付属品として竜以外の魔物も操れるらしい。つまり魔物を使えばたどり着ける可能性が高い。


 そして力も単に上がってる気がする。魔力も同様にね。


 つまり、私の夢への第一歩だ。


「さてと、ここだよね」


 と、円盤のようなものに乗っかる。すると、光が発して、地上に舞い降りた。


「ここは?」


 そこにはただの雪原が広がっていた。正直寒い。うぅ、本当に寒くてたまらない。不死身だからとはいっても、寒さに対抗できるわけじゃないし。


「こういうのって……ダンジョンクリアしたら周りは人が集まって、あーよくクリアしたとか言われるんじゃ無いの? 褒められないのなんか……気持ち悪い。あーあ、もっと、褒美がないとなー」


 と、少しずつ歩いてゆく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る